Column いえズーム コラム

太陽熱で冷房ってホンマでっか?

太陽熱で暖房ではなく冷房、という話。自然エネルギーの利用はどんどん広がっているようです。家庭で使われるのは少し先のようですが、既にビル用としては製品化されています。

marukita-deci_web.jpgみなさん。太陽熱って言うと「暑い」とか「暖かい」イメージですよね?自然エネルギーを活用するというと、太陽熱温水器とか、太陽光発電などが頭に思い浮かびます。でも、最近注目されているのは「太陽熱でエアコン冷房」なんです。えっ?


「ホンマでっか?」と突っ込みたくなる話ですが、ホントのようなんです。
簡単に言うと、デシカント空調という一種の冷房で使われます。


1)空気を除湿する
乾燥剤で空気を除湿する→乾燥剤は水分を含む→その水分を飛ばすために温風を乾燥剤に吹き付ける→乾燥剤は再び空気を除湿する

2)除湿した空気を冷やす
除湿した空気を水で冷やして冷風を作る→冷風として室内に吹き出す


marukita_deci.jpg※1)の部分は、市販されているゼオライト式除湿機と同じ原理です。除湿機は温風を使うために室温が上がるというデメリットがあります。また、温風を発生させるために電気ヒーターを使うので電気代もそれなりにかかります。

※2)の部分は打ち水の原理だと考えて下さい。冷風扇なんかも同じですね。しかし、冷風扇と違って、外気温より10数度も低い冷風を作ることができる本格的な冷房装置です。


で、太陽熱がどう役立っているかですが、1)の乾燥剤に吹き付ける温風を作るのに使うのです。


white250-450.gifシリカゲルやゼオライトなどの乾燥剤は水分を飛ばすために100度の温風が必要ですが、日本のある大手化学メーカーが開発した新素材の乾燥剤を使うと、60度ぐらいの温風で十分だそうです。これぐらいの温風なら、太陽熱利用で十分作れます。すると、電気ヒーターが不要になるので経済的です。

新素材が高価なので、ビル用など大規模なシステムでしか実用化されてないようですが、技術革新が進めば、家庭でも使われる日が近いかもしれません。


【写真右上】 三菱樹脂が開発した「AQSOA(アクソア)」という高性能水蒸気吸着材の説明
【写真右下】 三洋電機のデシカント冷房機紹介ページ

2011年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。