2012/01/27 江別商工会議所主催講演会 講演概略
「デフレの正体」と北海道経済の展望 日本政策投資銀行 藻谷浩介参事
↓下記は私のメモ書きを復習するために打ち込んだものです。講演内容のごく一部です。
藻谷先生の講演録はネット上に膨大にあります。本当にたくさんあります。著書もあります。
経済に疎い私の書いたものですから内容の正確性は保障できません。
正確な話をお知りになりたい方は、そちらを当たっていただけるとありがたいです。
東大法学部卒→日本開発銀行→コロンビア大学→日本経済研究所→日本政策投資銀行。
江別市は札幌のベットダウンであり、札幌が危機にある以上その面では厳しい。
一方江別市は「生業としての農業と製造業がある。これが全国各地のベットタウンと異なる。
江別製粉が日本の製造業の優れたモデルであり、小麦を主食とする外国人の友人が、江別の小麦製品は非常においしいと絶賛している。北海道産の米も美味しいし小麦も魚も極めて美味しいがなぜか北海道人はザンギなどを旅行客に食べさせようとする、宿泊費やツアー代を赤字覚悟で安くしようとする。根本的に間違っている。
講演席に講師向けに水が用意されているが、フランス製のボルビックではなく道産の水であるべき。
もっと北海道民全体が、北海道全体の生業を考えるべき。
最近講演会場で、地域のことより日本経済や世界経済について発言を求められる。足下より世界のことが気になる浮ついた風潮→日本が貿易赤字になった、円高だ、だから危機だとあおり立てるテレビは９割間違っている。
TPP問題とは何か。あれだけテレビが騒ぎ立てても理解している人は少なく、結局何も動かない。
江別の売場は90年度に79000㎡→2005年度？に100000㎡で27％増。しかし売上は10％増程度。苦戦。
札幌は同じく売場が３割増だが、売上げは8％ダウン。地下鉄も百貨店も売上げダウンで苦境。
東京23区は売場が4割増えたのに売上は10% ダウン。
札幌や東京が一極集中で一人勝ちしているという謝った観念論・思い込み＝中年男性に多い。
テレビで話す専門家はウソ、間違いが多い。それを信じ、常識人ぶるのはやめろ。実データを見ろ。
東京は楽天やアマゾンなどネット通販が売上げに含まれている。ネット通販を除くと15％ダウン。
国内でモノが売れないという事実。これはデフレのせいではない。
輸出はどうか。９０年→０６年。日本の輸出は8割増。輸出は激増している。日本は国際競争力が増している。
震災と超円高。4月には日本の自動車部品工場が軒並みストップ。
しかし２０１０年は輸出６４兆円、２０１１年は６２兆円。ほぼ変わらない。9月には輸出が伸びている。
日本のモノ作りは円高のせいでピンチ→ウソ。日本でしかつくれない高度な製品を日本は作って売っている。
パナソニックは世界６位のロボット生産会社。サムソンやＬＤのスマホの４割は日本の部品。競争力がある。
３１年ぶりの貿易赤字になったのは輸出２％ダウンのせいではなく１５％の輸入増のため。
なのにテレビで評論家は円高で日本のモノ作りは危機だ。輸出できないと騒ぐ。
大多数の人が観念で事実を見ずに騒いでいるときは大抵間違っている。
原発が止まり、結果原油や液化天然ガスを輸入せざるを得ない。エネルギー自給率ダウン・輸入増。
世界中で原油相場が高騰しているのはフクシマの結果、エネルギー需要が伸びたから。
しかし灯油は値上がりしていない。なぜか＝円高だから。
円高が日本をピンチにしている？逆だ。円高のせいでエネルギー輸入コストが少なくて済んでいる面もある。
今、フクシマ原発近辺の暮らしはひどいありさま。しかしこれが瀬戸内海や琵琶湖周辺なら、周辺に大都市が多くもっと大変な被害だった。地域の飲料水も悲惨な状況になった。茨城で原発事故が起きたら東京は悲劇。女川原発なら仙台は最悪。フクシマ原発の近くはまだ周辺に大都市がない方。しかも海側に放射能などが流出し都市部には直接放射能の広がりが少なかった。泊なら札幌は壊滅したのではないか。
脱原発の策はあるか？北海道だけは風力や地熱、サハリンからのパイプラインで賄える。その道がある。
しかし東京３０００万人は自然エネルギーでは無理。水も自給できない。唯一の策は
電球をLEDにして電力７割削減、エアコンの買い換えなど。高性能家電の数十年の省エネ進化を認識しろ。
円高は止まらない。一ドル５０円台もありうる。日本は所得黒字（外国からの金利配当）や輸出で外貨を稼ぎまくっているから。黒字だから円高になる。
日本は中国の発展の恩恵で年間5兆円も貿易黒字。中国が栄えるほど日本ももうかる。
円高で北海道観光客が減り困る？ウソ。北海道人はすぐ旅行商品を値引きするが1万円を使う中国人を１００人呼ぶより１００万円使う中国人を一人招くべき。
韓国はサムソンなどが好調で・・とテレビは言うが、実際はサムソンはインドや中国などで製造。韓国人の経済は豊かにならない。
北海道人はつい外国人を歓迎した上でディスカウントしてしまう。でもアジアの人は北海道のＢ級グルメやサンギが食べたいわけではない。高くてもいいから凄く美味しい魚などを食べたい。
日本人はＫＹ（空気読まない）ではなく、恐るべきＳＹ（数字読まない）。事実ではなく意見ばかり言う。
日本は外国に輸出で負けている、モノ作り大国が危機だという全くのデマが流布している。
では事実は何か。
日本は外国には勝っている。しかし国内では安いものしか売れない。それが事実。
日本は20兆円の輸出増。結果日本人の所得は14兆円も増えている。
なのに儲けた日本人は何も買わず貧乏人のふりをしている。
札幌市民の税務署への申告所得は１０００億円も増えている。バブル期よりも稼いでいるのに買わない。
景気対策は効果がない。個人の懐に金が入っても使わないから。だから消費が伸びない。
今の日本人は貯金残高が増えるのが嬉しい。死ぬときの貯金額が人生最高の貯金額。金を持って死ぬ。
その金を相続する人の平均年齢が６７歳。彼らも金を使わない。
たまに使う人も札幌にマンションを買うのではなくドバイで買っている。
江別は０５年→15年に人口が2000人減る。しかし15-64歳は6200人減る。65歳以上は9000人増。
年寄りは金を使わない。75歳以上の３割が病気になる。救急車を呼ぶ人の９割が75歳以上。
働く人がいなくなり、金を使わない高齢者が激増し、子どももいなくなる。江別市民の総年収が激減する。
札幌は10年で人口が3万人増える。15-64歳は74000人増、65歳以上は15万人増。結果客は減る。
東京もデパート、銀座、JR、マンション販売全てダメになってきている。金を使わない高齢者が増えているから。
消費税増税しても税収はさほど増えない。相続税増税したほうがいい。使い残した人から金をとる。
お年寄りと若者の行動は違う。儲けても金を使わない。
なおそれでも日本は崩壊しない。
少子高齢化が進み現役世代が激減。エネルギー需要が減り、食糧自給率も増える。
輸出はロボットが生産し、現役世代が減っても輸出は増える。農業者が減っても農業生産は集約化で増える。
自動車や家電などのメーカーは円高であっても輸出を増やし儲けているが、危機だと言って有利な状況を得ようとしている。
スイス人は日本人の１．９倍給料を得ている。フランス人も高い給料を得ている。
日本企業は退職者を増やして支払いを減らしている。だから消費も伸びない。
北海道の人はしっかり加工して豊かで高いものを売り、従業員に高い給料を払え。
アジア人が憧れる北海道は、もっと高く売れ。
金を使わないおじいちゃんに金を渡す政策はダメ。
藻谷先生は、講演中「こんなに北海道経済にとって大事な話をしている時に寝ている人がいる」
「そういう人に限って新年交例会挨拶の場に立って日本経済について間違ったことを言ったりする」
と、厳しく一喝されたりしておりました。
歯に衣を着せぬ直言の数々。
むっとしたり反論したくなる人もいて、敵も多いと言われるのでしょう。
実際、講演参加者たちに質問を投げかけ、間違った認識に関してむしろかなり否定的なことも言われたりして、その場でもむっとした人もいたのでは・・・。
講演時間を40分も延長して熱弁をふるってくれた藻谷先生のご講演。
私個人としては当日facebookで講演会の存在を知り、雑務を放棄し駆けつけた甲斐は十分にありました。
自分が日曜朝のテレビ番組の誤った内容などに惑わされず、しっかり考え、道を進んでいけるように、大事なお教えをいただいたな、という思いです。
2012年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。
