Column いえズーム コラム

環境広場さっぽろ2014で見た「来年から買える」スゴイ未来

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環境広場さっぽろ2014で展示された燃料電池車

環境広場さっぽろ2014 は、8月1日(金)から3日(日)まで開かれる、近未来のエネルギーや地球環境を考える総合的な環境イベントで、2002年から毎年この時期に開かれています。

エコカーの展示も恒例となっており、クリーンディーゼル車など既に市販されている車の展示もありますが、私が興味を引かれたのは燃料電池車。

コンセプトモデルで、今回の展示はモックアップ(実物大模型)ということで動かすことはできませんが、近未来なデザインがちょっとワクワクします。

この燃料電池車(FCEV)は、水素と酸素を結合させて発電し、その電力で動くという原理。水は電気分解したら水素と酸素に分かれますが、燃料電池車はその逆の原理を利用しています。水素と酸素は、地球上どこにでもある物質ですが、水素だけ取り出し、貯蔵するという技術が難しく、ようやく市販車が来年初めに発売されることになりました。

近未来の車といえば、電気自動車(EV)もありますが、使い勝手の最大の違いは航続距離と燃料補給にかかる時間。EVは150~250km程度の航続距離なので、遠距離を走るのには向いておらず、都市部のコミューターとして期待されています。また、充電時間は最低数十分はかかるので、ガソリン車と同じ使い勝手にはなかなかなりません。

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ホンダのロボット「アシモ」を連想してしまった水素ステーション

これに対しFCEVは、航続距離が600~700kmあり、燃料となる水素の充てんも3分で終了。これなら、ガソリン車と使い勝手がほとんど変わりません。もちろんEVと同じで排ガスは出しませんし、クリーンエネルギーの自動車として有望視されています。

自動車メーカーも、模倣されやすい電気自動車よりも、高度な技術が必要な燃料電池車に力を入れたい考えがあるようです。というのも、水素は液体で貯蔵するには絶対零度に近い-260度が必要だったり、安全性などでかなり気を使う物質だからです。その安全性に対する配慮などは、長年研究を続けてきた日本の自動車メーカーが一歩進んでいるという話もあります。

このFCEV、これからの家づくりにも関係してくるかもしれません。
それは、災害などの停電時、自家発電機として使用できるからです。
出力は9~10kwで、1週間近く家庭に電気を供給することが可能だとか。

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北九州市で行われている実験の詳細

今までの「スマートハウス」は、大容量の蓄電池や電気自動車を使っていましたが、蓄電池は1日分の電気を蓄えようとすると100万円ぐらいします。電気自動車のバッテリーはもっと大容量ですが、先に書いたように航続距離が短いので自動車として使う場合、遠出には不向きです。FCEVを利用した電源供給は、既に北九州市のスマートシティ実験でも使用されているそうです。

気になるFCEVの価格ですが、今のところ700万円台となっています。高級外車が買えそうな値段ですね。ただ、国から200万円程度の補助金が出るという話があるので、実現すれば500万円台になります。車の大きさから言えばガソリン車の300万円クラスと同等なので、差額は200万円台まで縮まります。この差額が非常時の発電機になると考えれば、法外に高い値段とは言えないでしょう。大容量の蓄電池も100万円以上しますので、それにプラスして走れるとなれば、結構買いたい人も出てくるのでは?

問題は、水素の充てん場所。実は全国に十数カ所しかありません。北海道にはたしかまだないはずです。ガソリンスタンドどころか、EV充電スタンドと比べても桁違いに少ないです。というのも、通常のガソリンスタンドに比べて建設費が数倍かかるからだそうです。


もう1つの問題は、水素という物質の取扱の難しさ。

プレジデントオンライン「トヨタでも「燃料電池車」を普及させられない理由」
http://president.jp/articles/-/12956

これを読むと、「う~ん」となります。
効率の良いエネルギーを、「安全に」「安く」利用するのは、そう簡単ではないですね。

2014年08月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。