Story 取材記事

「江丹別」(旭川)の レストラン「Chirai」の魅力


「江丹別(えたんべつ)」に「Chirai」(チライ)というおいしいレストランがあることをご存じですか?



店名の「Chirai」(チライ)は、アイヌ語で幻の魚とも言われる「イトウ」の意味。イトウ釣りが好きなオーナーシェフの嵯城要介(さじょうようすけ)さんの思いが込められた店名です。玄関ドアの取っ手は江丹別の白樺の枝です。



外観は全面道南杉の板張り。天気が良ければ、広いウッドデッキで食事もでき、ワンちゃんと一緒に食事もokです。



エントランス前には川で採取した流木もあってナチュラルな雰囲気です。



店内に入るとすぐの場所に、白樺の樹皮を活かしたスツールが。思わず座ってみる人が続出。



店内の天井はウェスタンレッドシダーの板張り。板張りのラインが、カウンター、ベンチと同じ方向で空間自体をシャープに見せています。



このお店の自慢の一つ。5.5メートルの大きなカウンターテーブルは



北海道民おなじみの木「白樺」をきこり、家具職人、建築家、林業研究者、地元の生産者、学生、地域おこし協力隊員などたくさんの人の力を借りて江丹別の山から伐り出し作成しました。
(記事はこちら https://iezoom.jp/entry-412.html )



↑動画もあります。



カウンターづくりに関わったのは「白樺プロジェクト」というグループで、愛着ある白樺のカウンターに会いに、Chiraiにやってきます。白樺プロジェクトはhttps://shirakaba-project.jp/pg153.html



ベンチタイプの椅子も白樺プロジェクトの一環として、道産材の高度活用を目指すための研究の一環として、北大の雨竜研究林の木材を伐り出して制作されています。



オーナーシェフの嵯城要介(さじょうようすけ)さんは、旭川グランドホテル(現omo7旭川)をはじめ、旭川市内数店でシェフとして勤務し、日本の文化とフランス料理を融合した料理、そしてベーカリーやスイーツも得意な腕の良いシェフ。ご自身の食へのこだわりを実現するために独立したのです。



江丹別産の乳飲み豚のハムや



旭川近郊の生産者と連携し、地場食材をふんだんに使った料理がたくさんあります。



この見た目はシンプルなティラミス。とても美味しくて心に残りました。奥さまがパティシエということもあり、美味しいスイーツもChiraiの魅力です。



「もういちど、7歳の目で世界を…」をコンセプトに、様々な教諭陣の授業を通じて大人が学ぶ「熱中小学校」の江丹別分校の皆さんも集い、お店と江丹別の両方を盛り立てようと話し合っています。

熱中小学校江丹別分校のyoutubeチャンネル
 



旭川から江丹別に移住し、タイニーハウスで暮らしながら「chirai」で働くすずかちゃんが活躍していたり、2019年秋のオープンで、まだ開店まもないですが、地元江丹別の人たちも「地域で唯一、美味しい酒と、美味しい料理が堪能できる」と足を運ぶ人が増えています。

ほかにも、前述の白樺プロジェクトや、熱中小学校江丹別分校などの関わりから口コミが広がったり、



周辺人口220人の小さなエリアに、人気レストランが登場したという話題性もあって新聞やテレビ、雑誌、web媒体などに紹介され、大賑わいになっています。

旭川市江丹別のレストラン Chirai(チライ)の概要


店名 Chirai(チライ)
住所 北海道旭川市江丹別町中央121-1
電話 0166-76-4747
定休日 月曜日(祝日の場合は火曜休)
時間 11:00~15:00(ラストオーダー14:00)
17:00~21:00
ディナーは前日まで予約制
コース料理予約は1週間前まで
駐車場 あり


嵯城さんは「フランス料理の本格的なコース料理なども私の得意分野です。1週間前にご予約いただけると、フレッシュトリュフや活イセエビなどの高級食材、北海道ならではの食材も使ったお料理をご用意させていただきます。でもChiraiはそれだけではありません」と言います。



「江丹別の、地元の方々が気軽に通える、居酒屋的な雰囲気もある、食事とお酒と会話を楽しめる楽しいレストランにしたい。そして観光客が、江丹別をはじめ旭川近郊の食材、料理を堪能できるレストランにもなりたい。いろんな方に喜んでもらえる柔軟なお店にしたいと思っています」と意気込みを話してくれました。

江丹別ってどこ?

ところで、そもそも江丹別(えたんべつ)ってどこ?という方もいるかと思います。


旭川市ホームページから引用


江丹別は、昭和30年までは「江丹別村」でした。現在は旭川市に編入され、旭川市内です。



旭川駅から北北西、幌加内町に向かって車で約30分で到着します。途中の道は、田んぼや森、川を眺めながら、信号機もほとんどない、爽快なドライブが楽しめます。

江丹別はお天気のニュースで「その日の全国最低気温」を記録することもあるため、「江丹別」という地名に聞き覚えのある方も多いようです。

江丹別は、周囲を森に囲まれ、夜は満点の星空、チーズや豚肉、野菜など素晴らしい食材にも恵まれています。保育園や小中学校もありますし、ちょっと車を走らせれば旭川市内のお店や病院、映画館などに行けるので利便性も良い「北海道移住」の穴場です。

この「江丹別」に魅せられ、旭川から江丹別に家族で移住し、自宅を建て、さらに、ご自身のシェフとしての腕を活かし、レストラン「Chirai」(チライ)を開店された嵯城要介さんにお話を伺いました。

嵯城さんが江丹別に移住した理由

嵯城さんファミリーは、もともと北海道第2の都市、人口約33万人の旭川市在住でした。



右 嵯城要介さんとお子さん
中央 パティシエでもある奥さま
左 奥さまのいとこでchiraiで働くすずかちゃん

お子さんが3人いるので、子育て環境を意識し、住むエリア、住まい自体をよりよい環境にしたいと考えました。そこでいろいろなハウスメーカーの展示場を見学したり、エリア的にも旭川市内だけでなく、東川町や当麻町など旭川近隣も含め検討を開始しました。

嵯城要介さんは、これまで複数の店舗をシェフとして開店から運営までやってきた経験があります。そうした経験をもとに、オーナーシェフとして、自分の店を持ち、食材、料理、お店のサービスや雰囲気づくりも含めて一からやってみたいという思いがありました。

この2つがそもそもの動機です。

どの住宅会社で家を建てるか、どの地域に住むかはこの段階ではまだ決まっていませんでした。

きっかけは伊勢昇平さんの熱烈歓迎

嵯城さんが、マイホームを建てたり、自分がオーナーとなるレストランを開店させたいという思いは夫婦で話し合うだけでなく、友人・知人にも話したりしていました。

そんな中で「江丹別の青いチーズ」の生産者として有名な、伊勢昇平さんとも話をする機会がありました。
伊勢さんは最近はyoutuberとしても活躍中です。
https://www.youtube.com/channel/UCIdwf0FxeAAVY6xGsPGM3hA 



伊勢さんは、嵯城さんの構想を聞いてすぐ、「江丹別を世界一の村にしたい。そのために一番欲しいのは、まずは飲食店・レストラン。嵯城さん!ぜひ江丹別に来てほしい」と熱烈に勧誘しました。

「江丹別の青いチーズ」も活かしたい!



シェフとして、江丹別に美味しいブルーチーズがあるというのは大変な魅力だと感じました。「江丹別の青いチーズを料理に活かしたい」というのは江丹別移住への大きな動機になりました。2019年末には、「江丹別の青いブルーチーズケーキ」を伊勢さんと嵯城さんが共同開発し、店頭だけでなく販売も開始しています。facebook頁から注文・申し込みできます。詳しくはこちら

朱鞠内湖へイトウ釣りに行きやすい



嵯城さんはイトウ釣りが趣味で、休日には旭川から道道72号線で、江丹別を通過し、幌加内町の朱鞠内湖に足繁く通っていました。

狙う魚は幻の魚、怪魚ともいわれるイトウ。熊をも飲み込むほどの巨大な主がいたというアイヌの伝説もあり、人気漫画ゴールデンカムイでも登場人物の白石が飲み込まれるシーン、そしてイトウを美味しく食べるシーンが描かれています。

嵯城さんはルアーで、これまで1メートル超えのイトウを50匹以上釣り上げています。研究者や釣り具メーカーの依頼を受けてガイドを担うこともあります。
 
嵯城さん「釣りは子どもの頃からの趣味で朱鞠内湖にも何百回も通っています。イトウは陸封か降海型か、天然か養殖か、何年育ったかなどで姿形が全く異なります。朱鞠内湖のイトウは筋肉質で顔もシュッとしています。釣れないことも多い『釣れない釣り』なのでイトウ釣りをする人は少ないですが、たとえ釣れない日でも、森に囲まれた美しい朱鞠内湖で過ごすのはとても楽しいんです」



釣った魚は撮影後リリースします。同じイトウを3度釣った経験もあるそうです。

ということで嵯城さんにとって江丹別は、釣りに行くときに通りかかる馴染みのエリアで、バイカーなど観光客の往来も意外と多いということも知っていました。

江丹別なら支えてくれる仲間がいる

旭川近郊には自然も豊かで利便性もある、人気の移住エリアがいくつかあります。東川町は、既に移住先としては大人気で、またさまざまな飲食店が新規出店しています。嵯城さんも東川町や当麻町なども候補として検討していました。

嵯城さんが「江丹別」移住に惹かれたのは、さきほどお伝えした「江丹別のブルーチーズ」などの素晴らしい食材、そしてイトウ釣りができる朱鞠内湖が近いからだけではありません。

何よりも、支えてくれる仲間との縁を感じたからです。

伊勢昇平さんに「江丹別に来て!」と熱烈歓迎されたあと、旭川の住宅会社「アーケン」の藤原立人さんとも出会いました。



「アーケン」の藤原立人さんは、大工出身で建築家でもありますが、家や建築物だけでなく、暮らし、趣味、健康、移住、環境などの面への関心も深く、例えば

「食から作る家づくり」プロジェクトを立ち上げ、https://www.ahken.jp/food/ これまでに数多くの飲食店や、食をオーダーキッチン、パントリーなど食を大切にする住まいづくり、料理教室が開ける家などに関わってきた経験があり、旭川近郊のさまざまな食材も数多く知っていました。料理研究家や食に関する学識経験者、そして農業者などとの連携もあり、伊勢さんとの交流もありました。

また、ムスリムの方々をはじめとするインバウンド対応などの面でも、シェフである嵯城さんとディスカッションができるほど、食への関心の高い住宅会社社長でした。

江丹別での土地探し、プランニング、移住後の暮らしやレストランのことなどを、嵯城さん、伊勢さん、藤原さんが話し合うなかで、構想が膨らんでいきました。

「白樺プロジェクト」が、レストラン開店を後押し!



嵯城さんにとって思いがけない提案の一つが、さきほどご紹介した、Chiraiに5.5メートルのカウンターを配置すること、そしてその木材を、江丹別の伊勢ファームが所有する山林に育つ白樺を使って作るという藤原さんの構想でした。


左がきこりの清水省吾さん


藤原さんは、その構想を最初、伊勢ファームの森を管理・整備している木こりの清水省吾さんに相談しました。清水省吾さんはフリーのキコリ&ハンター(罠)、命師。伐らないキコリ、エッセンシャルな林業を展開しています。旭川雪まつりで、旭川圏に観光に訪れるムスリムの方々を歓迎するための雪像(モスクの礼拝堂)づくりのために、藤原さんが木こりの清水さんに「チェーンソーで雪像づくりできますか?」と聞いたのがきっかけです。

雪像づくりの休憩時間に「江丹別にできるレストランに、地元の白樺を使って、5.5メートルのカウンターを作りたい」と相談。すると木こりの清水さんは大いに興味を示しつつも「重いですよ」とリアクション。「じゃあ、100人集めたら運べる?」という話になりました。さすがにすぐには実現できるような話ではありませんでしたが、後日、


左が「木と暮らしの工房」代表の鳥羽山聡さん


東川町の家具職人で白樺プロジェクトの中心メンバーでもある「木と暮らしの工房」代表の鳥羽山聡さんが、「北海道の原風景でもある白樺林を活かすためにも、十分に育った白樺を活用したい。暮らしに身近な『食』に関わる部分で、例えばお皿、コースターなどに白樺を活用したい。アーケンの藤原社長は『食からつくる家づくり』をやっているし、何か連携できませんか?」と相談。

その話がヒントになって、江丹別のレストランに

1 江丹別産の白樺の大きなカウンターを、たくさんの仲間と一緒に作る

2 レストランで作るお皿なども白樺で作る

という具体案が誕生。そのことで、食事に訪れる方に、白樺の魅力、地元の森の豊かさや大切さを伝え、レストランの魅力アップにもつなげて、白樺プロジェクトの発展にもつなげようと考えました。オーナーシェフの嵯城さんも大賛成、江丹別の森で白樺の伐り出しを行うために、山林の所有者の伊勢ファームさん、木こりの清水さんの了解も得られたので



山から白樺を伐り出すというプロジェクトが実現したわけです。右手前がオーナーシェフの嵯城さん。

レストランの開店準備で、山から木を人力で伐り出す
というのは、嵯城さんにとっては驚きの展開でした。
記事はこちら 
白樺プロジェクトは、2015年に、北海道立総合研究機構 森林研究本部林産試験場が、シラカバやダケカンバをチップなどで利用されるだけでなく、付加価値の高い活用法を見出すために開始した研究でした。



白樺プロジェクトの面々も、レストランChiraiに白樺のカウンターができたことがとても嬉しいようで、お披露目会で以下のようなコメントをいただきました。(敬称略)

北海道は広葉樹の資源量が多くポテンシャルも高いのでこれまでも、白樺を使った木工品などを売るための方策を旭川大学の横田宏樹先生や、北海道大学の吉田俊也教授、家具職人の鳥羽山聡さん、杉達浩昭さんなどと探ってきました。

今回、嵯城さん、伊勢さん、清水さん、藤原さんなど、志を同じくする仲間が増えて、困難だった課題を乗り越え、食と白樺と地域活性化がつながりました。(秋津裕志:北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場)

幌加内町に北海道大学の研究林が25000ヘクタールあって私も白樺の研究を20年やってきました。でもレストランのカウンターや椅子、食器などに活用する取組につながるとは想像していませんでした。皆さんとご一緒できて光栄です。(吉田俊也:北海道大学教授 北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション北管理部)

Chiraiのシラカバのカウンターは樹齢70歳くらい。私たちの大先輩です。こんなにたくさんの方々と森から木を伐り出し、家具職人などいろんなプロの力を借り、カタチにできたのがとても嬉しい。木のことをわかると木を愛せるようになります。(清水省吾:里山部 自伐型林業)

アーケンの藤原さんに白樺の活用について相談したところから、レストランChiraiのカウンターに、という話が生まれたのが半年前。嵯城さんも快諾していただいて話がどんどん進み驚きました。

白樺のカウンターも、私たちが作ったようで、自然が作ったものだと思う。素敵なレストランができ、江丹別が「世界一の村」に近づくと思います。(鳥羽山聡:木と暮らしの工房)

白樺のカウンターを前提に、設計デザインと内装、インテリアなどを考えました。白樺の明るい色合い、ナチュラルな雰囲気に合わせました。良い建物ができて嬉しいです。(太田貴洋:アーケン株式会社

22歳で北海道に移住し林業を経験、現在は北大雨竜研究員で森林管理をしています。多くの人が林業の門を叩きますが、去っていく人も多い。現場の創意工夫を可能にする制度設計ができれば変わると思います。今回のプロジェクトをきっかけに、林業者以外の方々も含め、多くの方が森に関心を持てると林業が変わっていくと思います。皆さんに出会えてよかった。(北海道大学雨竜研究林 研究協力技術班長 坂井励)

伊勢ファームさんの「蒼い森」に、環境にやさしい道を作る作業や、今回のシラカバのカウンターづくりに参加させていただきました。Chiraiも蒼い森も、多くの人に知ってもらえると嬉しい。長多邦裕:元当麻町地域おこし協力隊 ハンター バーベキューインストラクター https://www.facebook.com/kunihiro.nagata.98

江丹別にはこれまで、飲みに行く場所がありませんでしたのでChirai開店は大変うれしい。チーズづくりや酪農体験などを通して、江丹別を盛り立てる伊勢さんや私、そして食を通じて江丹別を盛り立てる嵯城さんも仲間になって江丹別が発展できるように頑張っていきたいですね。(荒川求:旭川あらかわ牧場合同会社 酪農・酪農体験・チーズ製造など)

4月に27人の皆さんとシラカバを伐りに行って、その後もアーケンさんはじめ多くの方の力でChiraiができました。私一人の力では決してできないこと。ありがとうございます。(嵯城要介:Chiraiオーナーシェフ)



家づくりについて

この記事は、レストランChiraiや白樺プロジェクトのことなどを紹介してきましたが、このサイト「iezoom(いえズーム)」は、家づくりのポータルサイトです。最後に少しだけ、嵯城さんの家づくりにも触れさせてください。



建物の右側と2階は住宅です。



外装材が道南杉の板張り。木製の玄関ドアもとてもナチュラルな雰囲気です。



天井が高く、開口部も大きいので解放感いっぱいのLDK



家事の最中も家族が赤ちゃんの様子をいつでも見守りやすいように、小上がりの空間を設けました。



寝室、子ども部屋とリビングが近いプランニング。



大きなウッドデッキ



見晴らしも最高です。

嵯城ファミリーの新居建設にあたって、土地探しは伊勢さんが地域のご縁を頼りに、地主さんとのきっかけつくりを行いました。

設計施工を担当した旭川の住宅会社アーケンは、藤原社長が、嵯城さんが地域に溶け込めるように、白樺プロジェクトと嵯城さんとのつながりを作ったりと家づくりだけでない部分で奔走しました。建物自体の設計や現場監督は住宅も店舗も経験豊富なアーケンの太田貴洋さんが担当しました。

嵯城さん自身も、東川や当麻ではなく江丹別に興味を持ち、将来設計も含めて、ご家族と真剣に話し合いを重ねました。

嵯城さんは「最初は、ハウスメーカーの展示場なども見学に行きました。でも江丹別や青いチーズへの思いが溢れる伊勢昇平さん、いろんな縁と提案をしてくれるアーケンの藤原社長との縁がとても良くて、江丹別を移住先に選び、建物はアーケンさんにお任せすれば、あとは自分の頑張り次第でうまくいくと思いました。アーケンさんは人のつながりも作ってくれる住宅会社です」と振り返ります。



アーケンの藤原立人社長は「家や店舗を建てるだけでなく江丹別の森、白樺、ブルーチーズ、旭川圏の農畜産物などを活かすことで、レストランChiraiの目玉を作りお店を繁盛させたいと思いました。開店以来、毎週のようにテレビや新聞、雑誌、webの取材などが来てくれて思った以上に紹介され、大人気店としての立ち上がりに成功したと思います」と振り返ります。

嵯城さんも「お店は料理やサービスだけじゃなく店内の雰囲気も大事です。そういう意味でもよい建物を建てていただきました。伊勢昇平さんのお兄さんが作る乳飲み豚がハム、ロースト、パテなどにするととても美味しいし、荒川さんのホエーもランチメニューに活かしたい。美瑛のアスパラやトマト、江丹別の青いチーズはレアチーズケーキやニョッキ、キッシュにしたい。タルトやジェラードなどいろいろメニューの構想が広がります」と抱負を語ります。



江丹別に移住したことで思いがけない効果もあったとか。「『飲食業界あるある』なんですが、レストランをオーナーシェフとして開店させる場合、深夜までの開店準備などで多忙になり、家族のコミュニケーションが薄れて家庭不和になることが多いのですが、自宅にレストランを併設させたこと、そして江丹別という郊外なので、市内で飲み歩いて人脈を広げるというようなことが逆にできませんし、妻が子供を背負ってレストランでスイーツを作ったりもするので、家族と一緒に過ごし話せる時間も増えたのが良かったです」と言います。

あとがき

Iezoom(いえズーム)はあくまで家づくりのサイトです。ところが、ライフスタイルを軸とする家づくりが得意なアーケンさんが建てた家を取材にいくと、食や趣味、農業、移住、インバウンドなど関心が多岐にわたり、家だけじゃない話題、人脈が次々に出てくることがあります。もちろん住宅会社なので、住宅専用?の家がメインですけども・・・

今回の取材でも藤原社長の口からは、江丹別で森林浴、グランピング、バードウォッチング、白樺活用法、酒のつまみ的な居酒屋メニュー、冬の体験ツアーなどいろんな話題と、さまざまな面白い人の話が出てきました。

つまり、旭川の住宅会社、アーケンで住宅、あるいは店舗併用住宅などを建てる場合、思った以上の提案、人脈などが生まれるというわけです。


2020年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

アーケン株式会社の取材記事