Story 取材記事

若い夫婦が木にこだわった本格和風 秋田県大仙市S邸/村上工務店


2019年夏に完成したS邸は、家の中心に玄関を構え、堂々とした佇まいの日本家屋です。「風通しと日当たりが良い昔ながらの家にしたかった」とSさん。奥さまも「流行に左右されないから」と、夫婦ともに和風を希望する中、地元密着の村上工務店に依頼しました。

丸太の状態でケヤキを取り寄せ製材・加工



漆喰塗りの壁が木の風合いとマッチした玄関。頭上には自然に婉曲した梁が目に飛び込んできます。
これは、Sさん自身が取り寄せた欅(ケヤキ)の丸太から造られた梁です。



Sさんは、職場の同僚つながりで、木の専門家から家の柱や梁などの構造について教えてもらったそう。これが「きちんとしたものを使って建てたい」と考えるきっかけになりました。



今回の新築にあたり、その専門家の方の好意でケヤキや桂(カツラ)といった銘木を格安で譲ってもらえることに。丸太の状態から製材所で挽き割り、製材したものを、村上工務店の大工が加工しました。


丸太を製材所でひき割る


玄関の天井にも、格子状に組んだ格天井(ごうてんじょう)にケヤキが使われています。ケヤキは大黒柱や階段にも利用しています。


和室の床柱もケヤキ材


丸太梁古材の再利用で「インテリアのような梁」を実現



外観にもちょっとした工夫が見られます。外壁は美しさと耐久性の評価が高い塗り壁、右側の軒先には、見えるように古材の梁をわたしています。伝統的な建築の中にもモダンでスマートな要素を取り入れた外観に仕上がりました。

この梁は旧居にあったもの。先祖代々農家のS家には、母屋のほか、太くて立派な丸太梁で組まれた築100年を超える納屋がありました。



納屋で磨いた古材をいちど仮組み(上)、完成したリビングの天井梁


丸太梁は、今では大変貴重です。村上工務店が「ぜひ新居に使わせてもらえないか」と提案したところ、Sさんも快諾。新居での再利用が決まりました。
リビングと廊下の梁も、その丸太梁を加工したものです。

「梁や柱が隠れてしまうのが嫌で、木を見て暮らせるようにしたかった」とSさん。「梁をインテリアのように」という希望が形になりました。
材の選定から磨き、組み込み加工まで、村上工務店が4日がかりで行いました。顧客の想いを形にすることを大切にした村上工務店らしい家づくりへのこだわりです。

暮らしやすさを叶える回遊動線



間取りのポイントは、行き止まりがなく、動きやすい動線の確保です。キッチンの先にある左側の引き戸の向こうは、洗面・脱衣室。さらにその先には廊下に出られる扉があり、そのまま玄関ホールへと回遊できます。

アイランドキッチンの背後の棚はオープンタイプにしました。「夫婦ともに、お皿を見に行ったり集めたりするのが好き」と奥さま。お気に入りのお皿のディスプレイを楽しめ、使う時には取り出しやすさも抜群です。



リビングは正面と反対側の2カ所に開口部があります。風が通り抜けやすく、光や景色を採りこむ明るい空間です。

天井には、古材の丸太梁、テレビボードはカツラで造作したものです。引き継がれた歴史を感じる現代和風のリビングです。



収納力のあるシューズクローク。一部に棚板のない箇所を設けてバーを通し、傘やほうきをかけられるようにしました。お客さまをお迎えする玄関とは別に、Sさん家族はこちらから出入りしています。

玄関ホールや廊下などにゆとりの造り



建て替え前の旧居の延床面積はおよそ100坪。新居は70坪ほどになりましたが、「コンパクトな造りではなく、昔の家のようにきちんと廊下がある家」というSさんの希望で、玄関ホールや廊下にゆとりの幅を確保しています。



1階にはリビングや和室のほか寝室も配置し、床面積を広くしました。2階は収納と子供部屋です。将来的には1階だけでも暮らせる間取りです。
リビングやホールの床には、岐阜県東濃地方で産出される「東濃ひのき」が使われています。


和室には廊下と双方向から出入りができる縁側を設けています。夏は自然と風が通るので「日中、あまりエアコンをつけることがありません」と奥さまも住み心地に満足しています。



子どもが誕生し、今では家族3人の生活に。「家族一緒の生活が充実していて楽しい」と、Sさん夫婦は口を揃えます。
想いがこもった木の存在を感じながら、Sさんファミリーはこの家で新たな家族の歴史を紡いでいきます。


2022年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

有限会社村上工務店の取材記事