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家づくりの根幹!構造材の素材・加工を学ぼう 昭和木材プレカット工場を視察


住宅の柱や梁、壁、床などは建築基準法上の「主要構造部」と呼ばれ、家に住む人の命と財産を守る上で、きわめて重要な部分です。しかし、モデルハウス見学などでは、それらの部分は内装材などに覆われていて見ることはほとんどできません。

そこでiezoom編集部は、今回、札幌圏を中心に道内各地の大手ハウスメーカーや工務店などに、年間約1200棟の木造住宅の柱、梁、床などの木材の仕入れ、加工、保管、納品などを行っている昭和木材札幌支店のプレカット工場を取材させていただきました。

昭和木材は、1913年創業の総合木材会社。「木材なくして優れた住環境なし」という信念のもと、植林、原木生産、そして国内外から製材、集成材、構造用合板などを仕入れ、住宅用のプレカットや2×4パネルの生産品、家具、木工用製材などを本社と5支店4事業所で全国販売を行っています。


さらには本社所在地の旭川では、住宅事業部による家づくりも行っており、まさに家づくりの最初から最後まで一貫して高いクオリティを追求しています。

プレカットとは?



そもそも1980年代頃までの家づくりは、大工さんが梁や柱の配置を考え、木材を仕入れ、現場で木材を加工する場所に印をつける「墨付け」を行い、加工などを行う「刻み」を、経験と技術に基づいて、1か月近い日数をかけて手作業で行っていました。

現代では、95%以上が、その工程をプレカット工場で、機械が1日で行います。その結果、図面に従った精密な加工を済ませた状態で、現場に木材が搬入されるため、住宅建設現場での手間と工期が大幅に削減されました。ではプレカット工場では何が行われているのか、見てみましょう。

まず住宅会社が図面、仕様表を作成する



家づくりは、設計者が平面図や立面図などの図面や、仕様表などを作成することから始まります。建売住宅や規格住宅なら、住宅会社が自らの考えでプランすればよいですが、自由設計の注文住宅であれば、建主の要望を踏まえた図面、仕様作成が行われます。そのプランや見積りを建主と協議、修正などを経て図面、仕様などが決まります。

プレカット工場のCAD技術者が部材を割り出す



その後住宅会社は、昭和木材のプレカット工場に図面や仕様書などを送ります。昭和木材の札幌支店には9名のCAD(キャド:コンピューターを用いて図面をデジタル化すること)技術者がいて、住宅会社から受け取った図面や仕様書に基づきプレカット図の作成に入ります。



柱、土台、筋交い、梁、間柱など、1軒の住宅で1000以上にものぼる部材を、建物の耐久性や窓の大きさなどに応じた適切な木材の太さや間隔などを考慮し、1棟ずつ丁寧に検証しながらプレカット図を作成します。



プレカット図に基づいて、木材加工の詳細が決まり、そのデータはプレカット工場に送られます。昭和木材札幌支店のプレカット工場は、2014年に工場を増設し、全ての加工機を一新する設備投資を行いました。



柱、横架材、間柱、野地床合板、登り梁、幅600長さ7000ミリまでの大梁などさまざまな部材を加工するため、多種多様な機械があります。加工の形状によって先端の刃物を切り替えながら迅速に加工していきます。



在来工法、金物工法、ツーバイ工法など様々な工法に対応しています。



床合板は柱や配管などの場所や形状に合わせた加工が必要になります。



床合板1枚でも15キロ以上の重さがあり、カットを大工が現場で行うより、プレカット工場であらかじめ、済ませておくと現場の負担が大幅に軽減されます。



加工されたプレカット材は、丁寧にチェック、梱包されたあと、



出荷される日まで雨風の影響を受けない屋内で保管され、



現場での工事が行われる日に荷物が届くように、前日のうちにトラックに積み込み、朝一番で出発するという配送を行っています。

品質向上の取組



プレカット工場の品質管理などについて、昭和木材株式会社札幌支店営業部の高橋宗佑次長(右)と中村元哉さん(左)にお話を伺いました。

Q 石狩工場ではどのくらい家のプレカットを加工していますか?

A 機械の生産能力としては1日に約200坪、6棟くらいの加工が可能です。昨年は約1200棟ほどの加工実績で、特に札幌圏の住宅会社様には多く採用いただいています。まだ増産できますのでぜひお問合せください。

Q 昭和木材の作るプレカットの強みは?



A 昭和木材は木材輸入、製材・乾燥・加工などを行う総合木材メーカーで、旭川に製材工場、札幌(石狩市)と秋田にプレカット工場を有し、道内はもちろん全国各地に家具や住宅用木材をお届けしています。そのため、世界各地から木材を仕入れる際も、有利な調達ができます。

木材は乾燥や濡れなどで曲がり、あるいはカビなどの問題も起きる可能性もあるため、加工前も、加工後も、雨風の影響を受けない倉庫内での保管を行っています。

プレカットマシンも道内では最大級。複雑で高度な加工を正確に、早く行うことができます。

さらに、現場への納品日から逆算したタイミングで加工を行うことで、乾燥収縮などが少ない良好な状態で現場にお届けするという工程管理も行っています。

毎朝の機械チェックによる精度確認、そしてZD(Zero Defect)運動=無欠点運動という、従業員一人ひとりの品質、生産性向上活動によるクオリティ向上にも取り組んでいます。

Q 住宅会社や施主の要望にどう応える?

A リビングの大空間や意匠的に凝ったものを要望される場合も、住宅会社さまや建主さまのご要望にできる限り対応しております。



自社は別のPC会社のプレカット材を使っていた大工が、ヘルプで他社の現場に入り、そこで使われていた当社のプレカットの精度にほれ込み、自社のプレカット材も当社の製品を採用いただいたということもあります。プレカット材も、工場によってクオリティには違いがあります。プロの目で評価いただけたときは大変嬉しいです。


昭和木材の現場に納品されるプレカット材も翌日朝の出荷前の状態でスタンバイしていました

昭和木材の現場に納品されるプレカット材も翌日朝の出荷前の状態でスタンバイしていました


Q 同行いただいた昭和木材住宅事業部さんにも一言

昭和木材には、旭川に住宅事業部があります。国内外の良質な木材を仕入れ、自社の工場で構造材を加工し、また家具職人による造作も行っています。お客様の要望にできる限りお答えするために、札幌支店のCADスタッフの方々の力も大いに借りています。

また、建て方工事などの際には、お施主様を現場にご招待し、柱などに、お施主さまのお名前が入っていることや、施工上のこだわりなども見ていただき、我が家への愛着を深めていただけるようにしています。



https://www.youtube.com/watch?v=lwluaeA8feA
動画もあります。参照ください。

2023年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

昭和木材株式会社 住宅事業部の取材記事