年間20棟ほどの木造戸建て新築住宅やリフォームに取り組む晃和住宅は、提案力と施工力に定評がある工務店です。今回ご紹介するT邸は、山登りがお好きなT夫妻のお宅。30代のご夫妻と、幼稚園に通う娘さん、春から年々少クラスに入園する息子さんが暮らしています。
1階は7帖の土間がLDKとつながる回遊式の間取り
ここは北広島市の静かな住宅地。赤い三角屋根と横張りの外壁サイディングの家がT邸です。
お子さんが生まれる前はよく山に出かけていたというT夫妻が、家づくりで希望したのは「山小屋のような家」でした。
雪解けのぬかるみや草抜きなどの手入れが省けるように、庭全面には人工芝を敷いています。まずは1階からご紹介します。
玄関ドアを開くと、奥行きが6m、約7帖ほどの土間が広がっています。壁一面に造作した棚は外出着や山道具などの収納スペース。土間からつながるリビングは、登山靴を脱ぐ入口から広間につながるような造りが、まさに山小屋仕様です。
土間スペースにも床暖房が設置されているので、雪や雨で濡れた服や靴もすぐに乾きます。
写真正面は収納で、裏側は階段室になっています。収納と階段を中心に、土間、洗面室、キッチン、リビングを回遊できるように配しました。「子どもたちは、汗だくになるまで追いかけっこをしています」と夫妻は笑います。
玄関土間からつながる洗面スペース。左手にはトイレがあります。洗面ボウルにINAXを採用した造作で、大きな鏡はTさんが用意したものです。
洗面スペース(奥)はキッチン(手前)につながっています。
LIXILを採用したキッチンは、モノトーンでまとまっています。
晃和住宅に依頼した決め手は、山小屋風のデザイン面と実用面の絶妙なバランス
施工会社を探す際に、夫妻はまず「山小屋」「札幌近郊」をキーワードにしてネット検索。山小屋風の家づくりが得意な会社の候補が数社ある中から、メンテナンスの手間がかからず、山小屋のエッセンスを残しながらも実用性と機能性を重視して選んだのが晃和住宅でした。
南幌町のモデルハウスを見学した後に、自分たちで見つけた土地に建てる家の設計・施工の依頼を決めました。
奥さま 山小屋風を希望したのは、たくさんの人を招ける「誰でもウェルカム」な家をつくりたかったからです。完成した我が家を見て、友人からは「子育てサロンみたいだね」と言われるのですが、まさにそんなイメージで設計してもらいました。
希望の住宅実例がない中で晃和住宅とイメージ共有のために利用したのが、北アルプスの山小屋を紹介するガイドブックやネット検索で見つけてきた画像だったそう。子どもたちが家の中を走って回れるように、中心に階段を配置する希望を伝え、プランニングが進みました。
LDKは約23帖。壁や仕切りがないので、子どもの成長とともに使い方を変化させられます。
見た目が軽やかになるよう天井の板目を互い違いに組んでいます。施工していた大工さんからのアドバイスで実現しました。
土間コンクリートは、リビングの一部になっています。子ども連れの親族が3世帯泊まりに来ても。狭さを感じない開放感が魅力です。
リビング側の階段室壁につくったクライミングウォール。娘さんはすいすいと上手に登っていきます。
床はナラ材、壁と天井はカラマツの針葉樹合板、土間部分の天井にはOSB合板を使っています。
梁を利用しブランコも設置。雪に閉ざされる季節でも、子どもたちが体を動かして遊べる環境です。
2階のホールは、アレンジ自在なセカンドリビング
2階のホールを挟み、向かって右手に主寝室、左手に2室子ども部屋があります。はしご階段で上るロフトは収納としても活躍。子どもたちにとっては、秘密基地のような場所です。
傾斜木質合板屋根を生かした吹上天井は圧巻のスケール感です。
ホールの一角はブックスペースになっています。壁一面の造作本棚も、山小屋のイメージです。
採光窓を設けた明るい空間。
ブックスペースの奥はご主人の書斎になっています。左の扉は、主寝室に通じる4.5帖のウォークインクローゼットです。
きちんとアドバイスしてくれるからこそ、なんでも希望を伝えられた
総合建設コンサルタント会社でダムなどの河川構造物設計に携わるご主人は、家の構造や施工方法など、一つひとつの希望や疑問を晃和住宅に伝え、納得しながら家づくりを進めたとふり返ります。
ご主人 ラフプランを作っていただいてから、「これは要る、要らない」と決めていきました。こちらの希望が家の強度や構造の関係で理に適っていない時は、「おすすめしませんよ」と言ってくださったので、信頼して何でも相談できました。窓やコンセントの位置などの細かい希望を伝えた時も、親身になって対応してくださったことが印象に残っています。
暖房には床下にパイピングを張り巡らせたセントラルヒーティングの床暖房を採用。1階は仕切り壁がないオープン設計ですが、室内は足元からポカポカで、どこもやさしい暖かさに包まれていました。
山小屋風という見た目はもちろん、高断熱高気密の快適性も、誰もが寛いでしまうT邸の心地よさにつながっています。
【記者の目】
唯一無二でありながら、奇抜ではない居心地の良さは山小屋そのもの。取材スタッフがすっかりリラックスしてしまったのも、木材の持つ木味(きあじ)の力なのかもしれません。
【建築概要】
1階床面積 | 74.53㎡(22.50坪) |
---|---|
2階床面積 | 74.53㎡(22.50坪) |
延床面積 | 149.06㎡(45.00坪) |
構造・工法 | 木造在来軸組工法 |
断熱(壁) | (内)高性能 GW 16K 105mm+(外)A種硬質ウレタンフォーム2種20mm |
断熱(天井) | 吹き込み GW 18K 300mm |
断熱(基礎) | 押出法ポリスチレンフォーム3種50mm(基礎内外両面) |
断熱(窓) | 樹脂サッシLOW-Eトリプル・ダブルLow-Eトリプルガラス |
換気 | 第3種換気システム |
暖房 | エコジョーズ・床下暖房 |
2025年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。