木のぬくもりが優しい日本的なたたずまいの家は、いつの時代も変わらぬ人気があります。Aさんご夫婦が住む家は、建物は昔ながらの技術を随所に用いた昭和の香りがしますが、間取りは階段ホールの書斎スペースなど現代的。レトロモダンな雰囲気のこの住宅の魅力を取材しました。
昭和の暮らしに憧れて
「京都の街並みやお寺が好き。見ているだけで心が癒されます」と語るAさん。今年1月に完成したばかりの新居にも伝統建築をこよなく愛するAさんのこだわりがたくさん詰まっています。「昔の民家の味わいを今の住宅にいかに取り入れるかを考えました」(Aさん)。
1階は土間のあるリビングダイニングと和室、水廻りを回遊動線上に効率よく配置。2階には造作した本棚など書斎コーナーのあるホールと寝室、子供部屋があります。「間取りは今風。子供が小さいので生活しやすさを重視しました」(Aさん)。
リビングの土間は玄関とつながっています。除雪のあと、靴のまま暖かい居住空間に入れるので冬は重宝。濡れた上着は玄関の暖房パネルや下駄箱の脇に吊り下げておけばすぐに乾きます。そういえば、日本の農家も土間をうまく利用していますね。
「干し椎茸や切干し大根を作ったり、観葉植物を飾ったり。子供のシャボン玉遊びにもちょうどいいスペースです」(Aさん)。
デザインと質感で古民家らしく
裸足で過ごすことが多いというご主人の希望で床は無垢のパイン材。塗料を塗ってから乾拭きする方法で古材の枯れた質感を表現しています。建具や収納も同じ塗装で統一しました。暖かみのあるクリーム色の塗り壁が木部の重厚感をほどよく和らげています。
「色選びが大変。経年による褪色が気になって、建てた時期が異なる住宅をいくつか見せてもらいました」(Aさん)。
リビングと玄関ホールの間には組子細工を施した数寄屋風の引き戸があります。「開けた状態でもリビングから戸が見えるように、壁にかかる形(アウトセット)にしてもらいました」とAさん。
ホール側から開閉しやすくするため、表と裏で引き手の位置を変えたり、巾木が当たる部分を削って戸を開けたときにきれいにおさまるようにするなど、細かなところまで職人さんの丁寧な仕事ぶりが目立ちます。
タイル貼りのレトロなキッチン
キッチンの食器棚は引き出しの前板が間口の内側に収まる昔ながらの造り。高い施工技術が要求される和家具の造りです。「引き手の金具は手持ちの輸入家具と同じようなデザインのものを探してもらいました」とAさん。作業台も兼ねているそうです。
すりガラス入りの扉が付いたレトロ調の吊り戸棚も食器棚と同じ構造。紺のモザイクタイルを貼ったキッチンとお似合いです。「手入れは今のところ水拭きだけ。目地の部分が黄ばんでくるかもしれないけど、それも味があっていいと思います」(Aさん)。
ユーティリティとトイレは少し趣を変えてアジアン調にコーディネートしています。
イメージが正確に伝わるように、打ち合わせの時は必ず写真を用意。担当したキクザワの欠塚さんは「方向性がハッキリしていて対応しやすかった」といいます。メンテナンスは家族みんなで
「キクザワのモデルハウスを見に行った時、接客してくれたのが欠塚さん。性能や施工について図を描きながら丁寧に説明して下さったことが印象に残っています」(Aさん)。
5社をピックアップしましたが、自然素材を生かしたデザインと住宅の性能がAさんの希望に沿っていたことから同社を選んだそうです。「千歳に近い恵庭の会社だから、すぐに来てもらえるというのもあります」(Aさん)。
暖房・給湯は最近人気のガスセントラルの「エコジョーズ」。住宅性能はもちろんエコポイント対応。暖かさと省エネを両立できるレベルです。
「日当たりが悪く寒い官舎に住んでいたので、とにかく暖かいのがうれしい。無垢のフローリングの柔らかな肌触りも気に入っています。メンテナンスに、家族総出でワックスかけするのも楽しいかも」(Aさん)。
記者の一言
知人から営業と現場の担当者が違うと混乱すると聞いていたAさん。キクザワは引渡しまで同じスタッフが1人で管理するシステムでわかりやすかったといいます。地場の工務店ならではの強みが発揮された家づくりです。
2011年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。