3月26日、(株)キクザワの認定長期優良住宅完成見学会が恵庭市内で開催されました。自然素材をふんだんに使った2×6工法の超高断熱・高気密住宅。この日は好天に恵まれ、1日で40組以上の見学者が訪れました。
天然素材が優しい個性派ナチュラルモダン
軒が深い中折れの切妻屋根にトップライトをシンメトリーに配置した調和のとれた外観。色味を抑えた道南杉に白の塗り壁を組み合わせた個性的だけど落ち着いた雰囲気の住まいです。「可能な限り北海道産の木材を使用しています」と社長の菊澤里志さん。柱材には含水率を15%まで下げた狂いの生じにくい道産トドマツ材を採用しているそうです。 性能面では、国の省エネ基準を大きく上回る仕様。断熱性能を表すUA値=0.27w、隙間を表すC値=0.27cm2。断熱構成は、基礎外側がビーズ法ポリスチレンフォーム120mm、土間下が同60mm、壁と付加断熱の合計が超高性能グラスウール280mm(一般的な高性能グラスウールの305mm相当)など。窓は全てトリプルガラス入り樹脂サッシです。換気は第3種換気システム。表情豊かな変化にとんだ空間
奥行きのあるゆったりした玄関ホールに真新しい木の香りが漂っています。右手にあるシュークロークはスキーやゴルフバッグのようなかさばる物でもスッキリ収納できる広さ。ダウンジャケットやコートを掛けておくハンガーも付いています。 天然素材の味わい深さを生かしたリビングダイニング。緩やかな吹き抜け勾配天井が四角形の部屋にはない面白さを生み出しています。無垢のナラ材のフローリングとオフホワイトの塗り壁の質感が暖か。ナチュラルモダンなデザインですが、吹き抜け周辺の木部の塗装に濃い色を使っているため角度によってはクラシカルな印象を与えます。 住む人のライフスタイルに合わせて大工さんが1つひとつ丹精込めて造り上げた造作家具も見どころです。「天板には集成材を使用していません。例えばこのキッチンカウンターは1枚もののタモの無垢板を使っています(菊澤さん)」。表面仕上げは上品な三分艶。 こちらはキッチン収納。まずは右側の写真から。調味料や食用油のボトルを立てて収納できる深い引き出し、炊飯器用のスライド式の棚など工夫がいっぱいです。パントリーがあるのも便利ですね。 左側の写真は、キッチン収納にある食品庫。扉にはパッキンが付いており、中は外気を取り入れるファンが。春や秋はファンを回すことで室内よりも低い温度に保てます。 「面白い家にして下さいというお客様からのご要望がありました。お子様が独立して家を離れ、夫婦2人で老後を迎えた時のため1階に寝室を設けています(菊澤さん)」。 洗面スペースとユーティリティは別々に。洗面台脇の引き戸を開けると、寝室につながるウォークインクローゼットがあります。「クローゼットを通り抜け出来るようにして水廻りと寝室、玄関ホール、リビングを結ぶ回遊動線を確保しています」と菊澤さん。クローゼットの入り口とユーティリティが近いと洗濯物の片付けにも時間がかかりません。「手がかかった職人の仕事を見て欲しい」
2階は子供部屋が2つと渡り廊下だけのコンパクトな間取り。傾斜天井に天窓を設けたロフト付きの子供部屋は屋根裏のような夢のあるスペースです。面積自体は広くありませんが、天井が高いので開放感があります。 廊下まわりも傾斜天井が作る陰影と手すりの造形がとてもきれい。採光窓の手前には手すりと等間隔で組まれたルーバーのような足場があります。 リビングから見上げた時、圧迫感を感じません。手の込んだ造作に思わず感嘆の声を上げるお客様も。 「手間をかけた部分を見てもらいたいですね。家づくりは難しい仕事。お客様との信頼関係を築きながら時間をかけて進めていきたいというのが当社の考え方です(菊澤さん)」。記者の目
お施主様との出会いから完成まで約1年半を要した今回の住まい。大工さんの技術力の高さと暮らしに便利なアイディアの数々が印象に残っています。特にウォークインクローゼットを通り抜け可能にして寝室から洗面所への通路を作るという発想はインパクトがありました。綿密な打ち合わせに基づいて丁寧に造られた家であることが伝わってきます。2016年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。