Story 取材記事

海を臨む、家族が一つにつながる家 小樽市・Kさん

アジアン風や骨董品の家具が映える、自然の素材の色と風合い。間仕切りやドアが少なく家族が一つにつながっていられる間取り。Kさんの憧れの家は、EZO ArchiStudio代表の大谷慎一郎さん設計、(株)丸三ホクシン建設施工で実現しました。



自然の素材を生かした、コンパクトで開放的な家

小樽の海辺のまち、祝津。海岸から約2km、海も山も見渡せる場所に、Kさんのお宅はあります。海側から道路側へ一直線のシンプルな傾斜屋根と壁面は、全面道南杉で統一されています。道路側から見ると窓が少ないこともあり、室内の様子はほとんど見えず、一瞬、喫茶店か美術館を思わせるような佇まいです。

玄関ドアを開けると、すっきりとした納戸の木の壁があり、中が丸見えにならないようになっています。床は道産のトドマツ、内装は全体的に落ち着いた色合いで、所々に置かれた骨董品の家具がマッチしています。吹き上げ天井のダイニングキッチンを通って階段を上ると、中2階のスキップロフト、(お立ち台と呼んでいるそう)、さらに上った2階ロフトは子ども部屋で、アジアのリゾートを思わせるハンモックが掛けられています。2階からは小樽の海が、そしてリビングやキッチンが見下ろせ、1階のダイニングから呼び掛ければ、子ども部屋から返事が聞こえてくるような距離感で、親子がいつも家の中でつながっています。



1階のキッチンには蓄熱を考慮した汚れが気にならない石のタイル。ペレットストーブのやさしい炎とも相まって、外国の家庭のキッチンのよう。リビングは海を一望できる全面の窓、そして低いテーブルとソファーを置いたくつろぎの空間です。玄関から洗面台、リビングまで27坪、間仕切りやドアが少なく、細長くシンプルな間取りです。

隣家や道路から見える面には室内への視線をなるべく受けないよう窓は少なめにし、そのかわり庭と海に面したリビングと2階子ども部屋には大きな窓を配置。プライバシーが守られるだけでなく、中から見える景色も海と庭で、住宅街にいることを忘れてしまいそうです。

石膏プラスターの室内壁は左官職人がオーナーさん、建築家、施工者立会いのもと、実際にコテのタッチをいくつか見せ、比較検討した上で、自然なテイストで施工しました。

外壁に使用した道南杉は、自然素材の風合いが魅力的で、オーナーさんと建築家が意気投合し採用されました。メンテナンスの負担が少なくなる特殊な塗料を使ったことで、日焼けや風雨により次第に味わい深い外壁となっていきます。



オーナーさんの夢と建築家の感性が重なり合って

実は、Kさんと大谷さんの奥さんは親しい友人同士。大谷さん自身が設計した自宅を見て、自然素材を大切にする住まいづくりに感激したといいます。当初は同じ場所にあった家のリフォームを考えていましたが、祖父母の代から住んでいた築70年の小さな平屋。建物の基礎や躯体を調査したところ、老朽化などにより今後長く住むための必要な性能確保が難しいことが判明。話し合いの末、限られた予算の中で思い通りの家づくりを実現するために、新築に踏み切ることにしました。そして、予算との兼ね合いを考慮しながら憧れを現実化する話し合いを開始、幾度となく打ち合わせを重ねて憧れを詰めた設計図を完成させていきました。



施工工務店は、設計者の大谷さんとオーナーのKさんが求めるプランに対応できる十分な施工能力、予算面や信頼面など様々な条件をもとに話し合いをした結果、丸三ホクシン建設に依頼。「見栄えだけでなく、生活するうえでの使い勝手やメンテナンスのしやすさを考えた、理由のあるデザインと施工、適正価格」が、大谷さんの目指すものと一致したと言います。また、150mmの断熱材を採用したほか、換気などの住環境を計画する上で大切な気密測定の結果も隙間相当面積が0.4と高い性能を実現しました。

大谷さんの仕事を見て「こんな家に住みたい」という思いからスタートした片岡さんの家づくり。実際に住んでから約5カ月が経ち、家族みんなも大満足の家づくりでした。

記者の目

オーナーさん憧れのモデルが建築家の自宅...というところから始まった家づくり。お話の中でも建築家に対する信頼感が伝わってきました。オーナーさんお気に入りの家具とのコーディネートや、お子さんが遊びまわることに配慮した設計も素敵だなと感じました。メリハリのある窓の配置は海と山を臨むロケーションが存分に生かされており、ここから夏の景色を見てみたくなりました。

2011年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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