できる限りフェイクは使いたくない
田園風景にみごとに溶け込むモデルハウス 恵庭郊外ののどかな田園風景の中に、しっくり溶け込むウッディーモダンな三角屋根の家。(株)キクザワのモデルハウスは、完成して間もないとは思えないほど、周囲の風景に馴染んでいます。決して典型的なカントリースタイルの住宅ではないのに、どうしてそんな印象を与えるのでしょう。そのヒントは、ドアを開けてすぐに見えてきました。角度を変えて見ると、珪藻土入り塗り壁ならではの風合いが感じられる 靴下のまま家の中を歩いてみると、床から木の感触が伝わってくる。階段の手すりもむき出しの木?と見紛うほど自然な肌合いだし、壁もクロス貼りではなく珪藻土入りの塗り壁と杉板。見る角度によって様々な表情が感じられます。そう言えば、新築物件特有の鼻をつく刺激臭もまったくしません。
無垢の床。年月が経つほどに木の味わいが楽しめる
「この家は、可能な限り無垢材を使っています。デザインとして木の質感を大事にしたのはもちろんですが、できる限りフェイクは使いたくないと思ったんです。人間は自然界で生まれて育ってるわけですから、天然のものがいちばん合っている。
表面に木目が印刷された塩化ビニールの「貼りもの」は、古くなるとみすぼらしくなります。日が当たり続けると色褪せるからです。でも木(無垢材)っていうのは日焼けすると"味"が出る。この大きな違いがあります。刺激臭が全くないのは、天然素材を可能な限り使っているほかに、ホルムアルデヒドのような刺激臭を分解するという抗酸化工法を採用しているからです」
と菊澤社長。
開放的でありながら、プライバシーもしっかり確保
ソファーに寝転び読書したりテレビを観ながら、薪ストーブの炎を眺められる間取りがユニークなのも、見逃せないところ。玄関からは、リビングへ真っ直ぐ進む動線だけでなく、右手のクロークから寝室に入れるようにもなっています。そして寝室から洗面所を通ってキッチン、リビングに入ることもできます。ダイニングやリビングからは、2階の子ども部屋が見えます。子ども部屋に壁がないからです。どこにいても、なんとなく家族の気配を感じられるのです。
ウッディーモダンだが、どこかクラシカルな印象もあるダイニング
「とても使いやすい家だと思います。例えば東大に受かった子どもは自分の部屋で勉強した人よりも、リビングやダイニングで勉強した人のほうがずっと多いと言われている。親子のコミュニケーションが大事なのです。そういうことも踏まえ、こういうオープンな間取りにしています。そうすることによって、家族とのコミュニケーションも取りやすくなります」(菊澤社長)
広くとられた洗面所。ダイニング、主寝室、キッチンとあらゆる部屋から入れるまた、脱衣室だけが独立していたり、洗面所の隣のユーティリティにお客さんでも堂々と入っていけるように考慮されていたり。開放的でありながら、プライバシーもしっかり確保されているというアイデア、気遣いが素晴らしい!
炎が揺らめくのが見えるだけで気分が癒される
家のアクセントである薪ストーブを2Fから見下ろす土間にあるスタイリッシュな薪ストーブは、この家の気の利いたアクセントになっています。玄関から続く土間からは、大きな窓から見える緑の風景も手伝って、なんだか美術館のよう。でも、こんな開放的な家にストーブひとつなんて、真冬は寒いのでは?「心配ありません。ストーブは暖房器具としては、あくまでもサブ的なもの。メインの暖房は、ガスによるエコジョーズを利用した低温温水のセントラルヒーティング。リビングのソファーに寝転んで読書したりしていると、炎が揺らめくのが見えるだけで気分が癒されるでしょう?」と菊澤社長は微笑みます。聞けば、この家の壁には340ミリという分厚い断熱材が使われていて、とても暖かいつくりになっているのだそう。各部屋の温水パネルから暖かい空気が緩やかに立ち上り、家全体がまんべんなく暖かくなるのだとか。しかもお風呂ほどのぬるい温水を使うので、いかにも「ここから熱を出してます!」という不自然なぐらいの熱気を感じることもありません。心にも身体にも、とても優しい家なのです。
2Fも開放的。ドアはないが、それぞれの部屋の奥は見えないつくり「当社がいちばん大切にしているのは、お客さんとのコミュニケーション。ネット社会になって人と会わなくても仕事が進められるといっても、人と人の繋がりがいちばん重要だと思っています。ひとりのお客さんに対してひとりの担当者が、打ち合わせ、図面書き、見積もり、現場管理、アフターケアまで全部やります。納得してもらえるまでとことん付き合いますし、一生の付き合いだと思っている。ただ家をつくるだけじゃなく、"家の町医者"でありたいんです。何か困ったらお客さんは電話をくれる、僕たちは対応する。そうやってお客さんと、地域の人たちと繋がっていく。それが本来の文化だと思います」
菊澤さんのポリシーが、そのまま現れたような家。風景にすっかり馴染んでいたのは、そんな理由だったに違いありません。
記者の目
落ち着きがありながら、遊び心も感じられる。この家のいちばんの魅力は、そんなところにあると思います。設計を担当した女性スタッフによる「正面、横向きと角度の違う三角屋根が並んだ家をつくりたい」というユニークな発想からスタートし、理想の屋根を実現するためにつくった家だからかもしれません。しかも、やや鋭さのある45度から途中でゆるい勾配に切り替えることで柔らかさを出した、というこだわりも素敵です。2013年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。