私が持つキッチンのイメージは、小学生の頃に住んでいた集合住宅のキッチンですね。母(料理研究家の坂田蓉子さん)は、よくパンを焼いてくれました。学校の帰り道、家の辺りまでくるとロールパンの匂いがするのです。もう嬉しくて走って帰っていました。
このキッチンを作る際にも、使い勝手や機能を重視するからといって作業用のオールステンにはしたくなかったのです。極力、生活感が出るようにしたかった。ですから、色合いを優しいベージュ系にしました。キッチンや調理器具に関しても、母から受け継いだことが影響していますね。水切りざるは、少し値段が高くても一重のしっかりしたものを選ぶとか...。
キッチンはいつもきれいに保ちたいと思っています。特にレシピを作っているときなどは、失敗することも多々あります。そういう時は、キッチンをきれいにすることで、気持ちをもう一度リセットすることができます。しかし、収納を多くするだけできれいになるわけではありませんね。キッチンのものというのは、とかくモノが増えてしまいがちです。収納は少し余裕のある状態を維持することを心がけた方がいいと思います。
キッチンをきれいにするには、必要最低限を知ることもきれいさを保つポイントです。調味料や食材は、人から「おいしいよ」と聞いても簡単に買わずに、吟味することもひとつです。私もよくあることですが、調味料やスパイス、ドレッシングが気づいたときには賞味期限切れなんてことありませんか? もったいないですし、収納もその分を無駄にしていますね。無駄を少なくするために、家で作れるものは自家製にしてみる。例えば、ラー油は家にあるごま油、唐辛子、香味料を合わせるだけで簡単に作ることができます。他にもドレッシングなど、思ったよりも、家で簡単にできるものは多くあるものです。
私は仕事柄、教室にいらっしゃる生徒さんに、料理はまず基本に忠実に作りましょう、と言っています。これは、その後の料理にとても大切なことだからです。でも、私はそれを分かった上で独創性を出してほしいと思うのです。キッチンも料理と同じで、必要最低限の基本的なものを踏まえ、自分なりの個性を出していい場所だと思うのです。
坂下美樹さんのおすすめレシピ(「こちら」をクリックでレシピが表示されます)
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●人参のオレンジマリネはこちら
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2009年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。