Column いえズーム コラム

エコと楽しさ両立 札幌で「ベロタクシー」を実現した主婦!

日常生活で、エネルギー消費や地球環境への負荷が特に大きいものが「住宅」と「自動車」です。北海道の住宅業界は「住まいの省エネ化」を住宅購入希望者に提案し続けていますが、全ての住宅がエコ住宅、とはいえないのが現状です。
 今回は、エコと楽しさを両立させる「ベロタクシー」を札幌で実現したエコモビリティサッポロの栗田敬子さんに話を伺いました。

 

エコな都市交通「ベロタクシー」

 97年にドイツで開発された自転車タクシー「ベロタクシー」を札幌でも走らせたい、自分も乗ってみたいと考え、実現してしまったのが主婦の栗田敬子さん。
 エコな都市交通として、そしてその美しいデザインに惹かれ世界中で800台以上が既に運行しているといいます。
 でも当時北海道では前例がありませんでした。札幌からも数名、東京の事業者の元を訪れ相談をした人がいたそうですが「冬期間の営業ができないと採算がとれない」と考え、結局実現しなかったとのこと。
 ところが栗田さんは、札幌の年間降雨量と降雪量を調べ、自転車の運行に支障が出る本州の梅雨時との比較を行い、あまりハンデにはならないことを確認。

<写真 ベロタクシー。後ろに座っているのが栗田敬子代表>
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 さらにドイツからの車体購入費1台あたり170万円という点に対してはコミュニティビジネスに対する低利融資制度に応募し資金を確保。2台は購入したものの、残り3台は前例のないリースを実現させ5台運行の目途を付けました。道路走行上の支障がないか警察署にも相談に行き確認。女性3名を含む14名のドライバーをサラリーマンやアルバイト、ロードレーサーなどで確保し、広告主も見つけ08年3月には法人化した上で4月下旬から早速運航を実現させたのです。

お姫様になった気分

 1年間でテレビ局が5回、新聞が4回、ラジオが3回以上、雑誌が8回以上取材に訪れ認知度も高まりました。自治体やホテルなどとの連携、㈱ロイズコンフェクトや北星学園大学などの地場企業が月38万円の車体広告掲載、イベント走行の依頼など反響は予想以上。161日間の運行で9376名が乗車。2867トンのCО2削減効果があったといいます。

 利用者の8割は観光客かと思いきや、市民の利用が過半数。札幌駅―大通り公園間の600メートルの距離は「歩けるが歩きたくない距離」のためドライバーいわく「ドル箱路線」。週に3回、お買いもので利用してくれる常連客まで現れました。

 ベロタクシーが走っていると歩行者も自動車の運転手も思わず見入ってしまうため、女性客からは「お姫様になったみたい」「美智子様の気分」と好評だそう。

エコは楽しく美しく

 栗田さんはもともと主婦で、天ぷら油を石けんに替えるリサイクルなどを行う環境系のサークルを主催していました。
 転機はエコバックの利用率調査を札幌市から委託を受けて実施したこと。「エコ活動を広く発信したくなりました。そしてレジ袋をエコバックに切り替える小さなエコも大切ですが、自動車を使用しないことによるCО2排出削減などの方が環境負荷低減効果が大きいことが分かった」と栗田さん。

<写真 ベロタクシーに乗っている時の景色。自動車より車高が高く気分が良い>
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 早速自動車に代わる乗り物をインターネットで検索しベロタクシーの存在を知りました。その後の行動は前述のとおり。
 「エコは我慢や格好悪さと結び付きやすい面がありますが、ベロタクシーは車のデザイナーが考案した形状で美しく、便利で楽しいんです。利用者のほとんどは楽しくて便利だから利用しているんです。知らず知らずのうちにエコになるのです」

記者の一言

 記者も早速乗せてもらったところ、歩くよりも速く、自動車より目線が高く、座り心地も非常によく、浴びるような視線を受け、しかも500メートルで300円という割安な料金、となかなか楽しかった。「住宅」のエコ、省エネも「楽しく」実現する方法がもっと増えてほしい、と思いました。  

プロフィール
特定非営利活動法人エコ・モビリティ サッポロ代表栗田敬子氏
07年6月設立。札幌市中央区北1条西5丁目北1条ビル5階。
http://velotaxi-sapporo.jp/

2009年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。