「スマートハウス」「HEMS」など、聞き慣れない言葉が最近住宅業界で流行しています。不勉強な私も、東京の展示会で勉強しようと飛んで行ってきました。
人工島にある近未来都市に会場があった
室温や発電状況、消費電力等のほかに外部からの情報も表示するHEMS
タブレット端末に映し出された部分の消費電力をリアルタイムで表示する
HEMSのみを販売している会社の展示ブース
HEMSって何?
9月28日、29日は「ジャパンホームショー」という住宅業界の総合展示会取材で東京まで出張しました。
札幌にいると今ひとつわからないのが「スマートハウス」「HEMS」という言葉。インターネットでは、さまざまなニュースが飛び交い、このような家づくりが盛んになるのかなあという印象があります。でも、具体的な情報がなかなか入ってこないので不安に感じる住宅会社もあるようです。
そこで最先端の商品やシステムの提案が行われる展示会で現状を見てみようと考えたのです。会場は、東京ビッグサイト。お台場エリアの近くです。
HEMSというのは、「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略です。といってもそれだけでは何のことだかわかりませんね。
家の中で使われる様々なエネルギーの使用状況、使用量を一目でわかるようにアイコンやグラフ、デジタル表示を使って「見える化」するのがひとつ。さらに、その使用量が最小限に済むようにするためアドバイスなどを行うものです。
HEMSは必要なの?
それでは、なぜそんなことが必要なのでしょうか?
その答えが「スマートグリッド(次世代送電網)」の中にあります。発祥となったアメリカでは、元から電力の需給状況が不安定で、電力需要が発電能力を超えてしまい、大停電になったことが過去何度かありました。そこで、電力需要などを細かく把握し、送電のムダをなくし、小規模な発電所の電気を送電網に効率良く乗せることで送電網を「賢く(=スマート)」して安定した電力供給を可能にしようという考え方です。
このスマートグリッドを実現するための1つの要素がHEMSなのです。つまり、電力の需給がひっ迫してきた時に、ムダをなくし、トラブルを押さえるためにHEMSが必要とされているのです。日本の送電網は世界的に見ても優秀なこと、また発電能力に余裕があったことなどから、今まではスマートグリッドに対して積極的に取り組んでいませんでした。
ところが東日本大震災以降、電力不足がクローズアップされ、企業には電力不足がひどくなる夏の間一定の節電が義務化、家庭では節電への努力が求められました。すると、このために電車が間引き運転されたり、工場の稼働時間が制限されるなど、経済への悪影響が目立ち始めました。
そこで注目されているのが、家庭やオフィスでの電力の使用状況を当事者が把握し、具体的な節電意識を高めようというHEMSと、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」を既存の送電網に乗せるためのスマートグリッドの実用化なのです。そして、HEMSを活用するスマートハウスは、次世代住宅の切り札のようにマスコミなどで言われています。
もっとも、「ほぼHEMS」と言えるものが数年前から太陽光発電とセットで発売されています。どれくらい発電しているかなどの情報を表示するモニターがそれです。実はこのモニターには、月々の消費電力の目標値とその差を表示するなど、HEMSといっていい機能が装備されています。太陽光発電を取り付けた家庭で「節電が楽しくなった」などと答えている人がいるのは、この機能があるからです。
節電意識の向上という点では、HEMSが住宅の標準装備になる可能性が十分あります。
次回はHEMSと関係の深いスマートハウスについて考えてみます。
※ご参考※
国内企業10社がHEMSアライアンスを発足 http://eetimes.jp/ee/articles/1107/12/news074.html
全ての電球にIPアドレスを http://eetimes.jp/ee/articles/1105/18/news035.html
スマートグリッドのHEMSが抱える問題 http://yushimiura.blogspot.com/2011/04/hems.html
2011年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。