丸三ホクシン建設の首藤社長自宅にて。手前に昨年1年の光熱費がまとめられている
首藤さん宅の放熱パネルは、素手で触っても熱くない。でも部屋は暖かい
首藤社長(右から2番目)が車庫奥にある地中熱ヒートポンプについて説明
棟晶・早坂社長(写真左)が外壁55cm断熱について模型で説明。この厚みが迫力を呼ぶ
業務用の高精度温度計で19.7度を記録した1階リビング。暖房スイッチは全く入ってない状態だ
早坂社長が身を乗り出して説明するなど、熱気にあふれるモデルハウス内
密度の濃い視察後は、皆で「トンデンファーム」に行ってジンギスカン食べ放題の昼食
先日、盛岡から地域工務店数社の社長さんが札幌に来られ、「先進的な住宅を見学したい」ということで、ご案内しました。
本来の目的は、BISという北海道が認定する、住宅の断熱・気密施工に関する資格講習を受けることで、「せっかくだから住宅も視察したい」と当社に相談されたのでした。
そこで、スケジュール等も考慮してご希望に合う2軒の住宅をチョイスしてご案内しました。
我慢しない省エネ住宅へ
最初にご案内したのが石狩市にある丸三ホクシン建設・首藤社長の自宅です。
札幌良い住宅でも紹介していますが、首藤社長はご自宅をモデルハウスとしても随時公開しており、太陽光発電と地中熱ヒートポンプを使った高断熱・高気密仕様の住宅にしています。
首藤社長が話したのは「計算上の数値ではなく、実証することが大切」ということでした。というのも、ご自宅のQ値と呼ばれる断熱性能値は約1.2Wと超高性能ではありません(次世代省エネ基準は大幅に上回っています)。
しかし、昨年1年間の暖房、給湯、照明、家電などすべて合わせた光熱費はわずか10万6000円。実際は太陽光発電で13万5000円以上の売電収入があるため、光熱費は差し引き2万9000円の収入があるという「ゼロエネルギー住宅」を先取りしているのです。
一行は、「でも、すごく暖かいですね」と感心していました。
室内の温度計を見ると23度あります。北海道ではごく普通の暖房温度です。
室内はパネル暖房ですが、循環している温水の温度が32度とお風呂や体温よりも低い温度なのでパネルにうっかり触ってもヤケドする心配がありません。小さなお子さんがいても、安心できます。それでいて、室内はポカポカなのです。
「光熱費を節約するためにケチケチしたことは一切してないですよ。強いて言えばプラズマテレビを液晶テレビに買い替えたぐらいです」と首藤社長。自信を持って話せるのは、実証しているからですね。
断熱材10トン使ったパッシブハウス
次は高速を飛ばして江別へ。
そこには、棟晶が公開中の「日本初、リフォームパッシブハウス」があります。
中に入り、まずは断熱材の厚さに一同驚きます。
「おお~っ」とついつい声が上がります。
それもそのはず。外壁の断熱材は厚さが55cmもあるのです。
工務店の社長は、同行者と断熱材といっしょに写真を撮り出しました。
「人といっしょに写すと断熱材の厚さが想像しやすいかと思って」
なるほど。想像できないですもんね。この厚さは。
棟晶の社長・早坂さんが「この住宅に使った断熱材の重量は10トンもありました。通常の6~7倍あるそうですよ」と話すと、どよめきがおこりました。
さらに、「実は昨年11月末の完成以来、一度も暖房を入れていません」と話すとまたびっくり。私が1階南面の温度計を見ると19.7度あります。
「パッシブハウスの認定を受けるために日射取得が大事だとは聞いていましたが、これほど効くとは私も思ってませんでした」と早坂さんは言います。
参加していた社長さんの1人がこう言いました。
「いやあ、これは断熱材で暖房する住宅と表現してもいいですね。パッシブハウスって『ほんとに必要なのか?』と思っていたけれど、体感してすごさがわかりました!」
もちろん、断熱材に暖房する機能が備わっているわけではありませんが、この家にいるとそんな錯覚を起こしてしまうのです。
暖房のスイッチを入れなくても、普段通りの生活をしていると、人間や家電製品などから熱が発生します。この住宅では、これらの発生熱だけで室温を一定に保てるのだとか。ちゃんと温度変化のデータも取ってありました。
ジンギスカン食べ放題で北海道を満喫
昼食は、パッシブハウスの現場から車で10分ほどの「夢工房トンデンファーム」で。
「昨日もラムしゃぶだったんで似てるけど」と言われ、引率役の私は心の中で反省(苦笑)。
ラム肉だけでなく、豚やトンデンファーム特製のソーセージなどもあり、食べ放題の60分はあっという間に過ぎました。野菜やデザートもあってなかなかオトク。腹一杯食べました。
2012年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。