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壁紙(クロス)選びのポイントをおさえよう
マイホームを建てる時、楽しみでもあり迷ってしまう要素となるのが壁紙(クロス)選びです。好みの壁紙でコーディネートした住空間が実現したら最高ですが、壁紙はメーカーや価格、柄や色、素材や性能など選ぶ基準が色々あります。今回はそうした壁紙選びのポイントを整理してみたいと思います。
壁紙(クロス)選びはどのように進むのか?
間取り図(プラン)が決まったタイミング
家づくりで壁紙を選ぶのは、間取り図(プラン)が決まった段階が多いです。インテリアコーディネーターが付く住宅会社では、プロのコーディネーターが提案する場合もありますが、自分で好きな壁紙を選べるのが注文住宅の醍醐味ですよね。実際には、どの壁にどの壁紙を使うかを、各メーカーの見本帳(カタログ)を見ながら選んでいきます。
デジタル・カタログや壁紙サンプルを活用しよう
壁紙(クロス)のカタログはとても分厚く、各社ごとに数冊から数10冊あるため、インターネットでデジタル・カタログを検索して、好みのキーワードで絞り込む方法が手軽です。候補が決まったら、小さく切った壁紙サンプルを取り寄せて、実際のイメージを確認してから決めるとよいでしょう。
壁紙(クロス)のランクは大きく分けて2つある
壁紙には価格順にランクがあり、価格は壁紙の厚さや材質によって決まってきます。一般的によく耳にする量産クロス(500番台)と高級クロス(1000番台)に大きく分けることができます。
高級クロス(1000番台)
1000番台は1000円/m以上のメーカー希望価格ということから、そう呼ばれるように(仕入れ値は350円/m前後ほど)。
量産クロス(500番台)
量産クロスは150円/mほどの価格帯から手に入る。
予算に合わせて使い分けるのがおすすめです。
壁紙(クロス)の国内主要メーカーと商品特徴
主要な壁紙メーカーと商品の特徴
サンゲツ
国内最大手で、施工性の良さにも定評がありラインナップも豊富。スヌーピー柄あり。
リリカラ
デザイン性が高くウィリアム・モリスの柄などブランドコレクションも。ミッフィー柄あり。
シンコール
オシャレな柄が多く、ウォーリーやリラックマなどのキャラクター柄や蓄光壁紙など子ども部屋に適したラインナップも。
トキワ
上品からカジュアルまで豊富。通気性に優れた自然素材や、新素材デニム壁紙、アニメ「ワンピース」柄なども。
ルノン
ディズニーのキャラクターがさりげなく入った柄モノや、消臭壁紙などが人気。
東リ
床材において圧倒的シェアを誇るメーカーで、医師や木目などの素材感を生かした壁紙や、不燃認定壁紙など商業施設に適したラインナップが豊富。
そのほかの注目メーカーと人気商品
イケダコーポレーション
自然素材でできたドイツ製の紙クロス「オガファーザー」が人気。自然塗料デュブロンで気軽にメンテナンスが可能。
トミタ
日本の伝統美を追求した「HANAコレクション」などテクスチャーや光沢を活かしたオリジナル壁紙が人気。
三洋
抗ウィルス性壁紙「ロンプロテクト ウォール」は受注生産ながら優れた抗ウィルス効果と防菌・防カビ性を発揮。こちらは病院や学校で重宝されている商品です。
壁紙(クロス)の種類
ビニールクロス(塩化ビニル樹脂系壁紙)
安価で高耐久で掃除がしやすく、ラインナップも多いため広く流通していますが、接着剤にホルムアルデヒドなどの有害物質を含むため、シックハウス症候群が懸念されます。ホルムアルデヒドの発散基準は等級(F☆☆~F☆☆☆☆)によって確認でき、☆4つが最高等級で揮発性が低く優れたものと見なされます。
紙クロス(紙壁紙)
パルプを使った輸入壁紙が多く、和紙や合成紙タイプもあります。吸音・通気性に優れ、寝室や和室に最適ですが、ビニールクロスに比べると薄いため、施工が難しく、水拭きできない商品だと汚れが付着する恐れがあります。
繊維系クロス(布壁紙)
木綿や麻などの自然素材タイプ、化学繊維を使った不織布壁紙、シルク、サテンなど様々あり、高級感があるためホテルの内装などによく使われています。防火性が無いものはキッチンには不向きで、手入れははたきをかけ、水拭きは避けます。
木質系壁紙
他の素材よりも高価なため、腰壁やアクセントクロスとして採用されることが多く、カントリー調や木の温もりをプラスしたい時におすすめです。
無機質系壁紙(珪藻土壁紙/漆喰壁紙)
珪藻土や漆喰といった無機質の素材を使った不燃性の壁紙なので、防火性に優れています。リーズナブルに塗壁の質感を再現でき、珪藻土タイプは消臭効果も期待できます。施工は下地処理を丁寧に行う必要があります。防汚性は低めです。
プラスチック系壁紙
ポリエチレン・ポリプロピレンといった合成樹脂を使った「オレフィン壁紙」のことを指します。柄は木目調や石目調なども豊富です。耐久性・防汚性に優れ、焼却の際有毒ガスがほぼ発生しない環境にやさしい素材です。
いま人気の壁紙(クロス)色々
2022年、流行りそうなカラーはナチュラルなグリーン
コロナ以降、自宅で過ごす時間が増えたこともあり、インテリアデザインの配色が改めて見直されています。海外ではすでに、プライベート空間でリフレッシュしたい、寛ぎたい、そうした願望を叶えてくれるナチュラルカラーの代表格「グリーンカラー」の人気が高まっています。
また、窓枠やドアノブ、蛇口、様々な金具など、どんな配色にも合わせやすく、モダンな印象に仕上げてくれる「ブラックカラー」がアクセントカラーに採用されることが多いようです。
柄としては、葉っぱや花柄などの「自然モチーフ」が人気。これも家に居ながら自然を感じられるインテリアの工夫につながりますね。
ペールカラーやニュアンスカラーの壁紙(クロス)
無地の壁紙では、ここ数年はハッキリとした色よりも、パステルカラーよりも彩度の低いペールカラーや、淡色にグレーを混ぜたようなニュアンスカラーが人気色。
木目やレンガ、コンクリートなど素材感たっぷりの壁紙(クロス)
流行りのインテリア・テイストに似合う壁紙も人気。木目調やレンガ柄、コンクリート柄など、西海岸風や男前インテリアにアクセントとして使われることが多いようです。
黒板タイプやマグネットタイプの壁紙(クロス)
子育てファミリーのお宅でよく見かけるのが黒板タイプやマグネットタイプの壁紙。ホワイトボードを壁紙の代わりに貼るお宅もあります。お子さんがお絵描きをしたり、インテリアとして黒板アートを楽しむスペースになっています。
使う場所によって性能やデザインを見極めよう
キッチンやトイレ
キッチンやトイレなどの水回りは、防水・防汚に優れた手入れがしやすいものや、消臭や防カビ、抗ウィルス機能が付いたタイプがおすすめ。またガスコンロを使うキッチンは防火機能があると更に良いでしょう。トイレなどの小さな空間は思い切り派手な柄もので冒険するのも一案です。
寝室や書斎
寝室や書斎などはホルムアルデヒドの揮発性の少ないものや自然素材のもの、リラックスできる織物などの繊維系の壁紙がおすすめ。機能は防臭や吸湿性にすぐれたものが向いています。寛ぎや癒しのカラーと言われるブルーの配色も人気です。
玄関やホール
ゲストが最初に目にする玄関や、家族共有の空間であるホールなどは、オーソドックスでナチュラルな雰囲気がおすすめです。玄関は抗ウィルス、防汚、撥水性のあるものなどが理想的。ホールは部屋と部屋のつながりを考慮した配色がポイントのようです。
ポイントをおさえて壁紙選びを楽しもう!
壁紙(クロス)選びにはいくつかのポイントがあり、色や柄、機能、メーカーや価格などを判断した上で選ぶことで、より居心地よく快適な空間が叶います。セレクトによって全く違った仕上がりにもなり得る壁紙選びは、家づくりの中でも是非楽しんでいただきたい工程のひとつです。
IEZOOM編集部では、壁紙(クロス)の使い方が素敵な実例を紹介した「まとめ記事」もつくっています。こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
少しだけ実例をご紹介!
奥様が決めたカラフルなクロス(壁紙)札幌市T邸/山忠高島建設
玄関ドアを開くと、LDKとつながる吹抜の土間空間に、スケルトン階段が伸びるTさん邸。家族がつながるオープンで使いやすい設計に加え、カラフルな壁紙を組み合わせたインテリアも素敵な一棟です。
家づくりで一番楽しかったことを伺うと「何といってもクロス選びです。壁紙は全て私が選びました。サンプル帳をお借りして現場に持参し、現場を見ながら選定していきました。
2階ホールの腰壁にパッションピンクを使っていますが、吹抜け階段の白い壁に色が反射してうっすらピンクに染まるんです。それも計算のうち。思わずガッツポーズが出ました。」と奥さま。
天井クロスは植物を模したウィリアム・モリスの図案 札幌市A邸/白田建築事務所
屋根勾配を活かした2階主寝室は、特にクロス選びにこだわった空間。飽きのこないよう、壁は無地にして、天井に柄をもってきました。植物を模したウィリアム・モリスの図案です。洗面トイレ室にはチェック柄のアクセントクロスを採用しました。清潔感と共にリズミカルで楽しい雰囲気になっています。
室内はAさんが選んだセンスの良い家具や雑貨でコーディネートされていて、住まいにしっくり馴染んでいます。「元々持っていたものばかりです」とAさん。「好き」なものがぶれないことも、家づくりやコーディネートの秘訣のようです。
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札幌で一人暮らしを楽しむ完全分離二世帯住宅/白田建築事務所
奥さまこだわりの個性的なクロス使い 江別市M邸/リビングワーク
家づくりで後悔しないためには、いい意味で「わがままを通すこと」も大切。凝り性だという奥さまが自分で図面を描き、イメージを伝えて完成したのは「暮らしているだけで毎日が楽しくなる家」です。
2階も奥さまのこだわりが発揮されています。2つの子ども部屋は、個性的なクロス使いが目を引く内装で、共有のクローゼットでつながる設計。洋服の貸し借りなど、姉妹だからこそできるお楽しみもありそうですね。
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ハンモックのあるリビング/江別市Mさん リビングワーク
アクセントカラーの壁紙でモダンで垢抜けた印象に 音更町N邸/ウッドライフ
扉を開けると広がるLDKは、木をふんだんに使い、温かみのあるカントリー風の雰囲気。白を基調とした明るい空間を、ダークブラウンの梁や柱、ソファと壁紙のカラーとが引き締め、どこかモダンで垢抜けた印象になっています。
記事はこちら 小麦畑が似合う三角屋根と白壁の家 音更町/N様邸 ウッドライフ
部屋ごとに異なるアクセントクロスを 帯広T邸/高坂ホーム
南の海のような深みのあるブルーのクロスを部分貼りしたダイニング。
内装と照明は奥様のセレクト。家の中が全て同じトーンにならないよう部屋ごとにアクセントクロスで変化をつけています。
階段裏側のキッチンへと続く廊下。フクロウ柄のクロスを壁一面に貼って明るく楽しい雰囲気にしました。プライベートな2階はナチュラルな1階とは趣の違う遊び心いっぱいのトロピカルなインテリアがメイン。
階段を上った先のホールは熱帯の植物をモチーフにした大柄のクロスを大胆に使いました。真っ白な空間に鮮やかなターコイズブルーというインパクトのある配色は奥様の思い出に残る沖縄のコテージを参考にしています。子供部屋もホールと同じ白とブルー系の組み合わせ。ツリーパターンの個性的なクロスをアクセントに男の子の部屋らしい爽やかな雰囲気にまとめました。
記事はこちら 「1階にもう1部屋」があるリゾートスタイルの家 帯広市・T邸/高坂ホーム
クロスやインテリアをくすみカラーでコーディネート 網走市藤田邸/光輝建設
「見た目をとても大事にしました。内装の色味が統一されていて、照明や家具、雑貨など自分の好きなものに囲まれている―そんな家にしたいと思っていました」と奥様。その想いがかなった室内は、白いクロスをメインとしつつ、木目柄の床・天井材や建具、草花・樹木をモチーフとしたウィリアム・モリスのクロスなども使ってコーディネート。
よく見ると、白いクロスは真っ白ではなく、彩度が低くて少しグレイがかった白。いわゆる“くすみカラー”です。カーテンや時計なども“くすみカラー”で揃えました。奥様は「ひとくちに白といっても、色味や彩度によっていろんな白があり、悩んだりもしました」と家づくりを振り返ります。
また、室内で目に入る色が白ばかりになると疲れてしまうのではないかという心配もあったそうで、その点はインスタグラムで気に入った画像などを光輝建設のコーディネーター・濱野霞さんと打ち合わせを重ねながら決めていったとのこと。
記事はこちら “くすみカラー”に包まれた家族に優しい家 網走市・藤田さん/光輝建設
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【札幌】壁紙(クロス)を工夫した住宅11選
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