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東川町移住で叶えた心地よい暮らしと仕事 monokraft清水さん/雅建築企画


大雪山・旭岳の麓に位置し、豊かな自然と田園に囲まれた東川町東10号に、三角屋根に板張りの建物が並んでいるエリアがあります。

向かって右手は住宅や家具のデザインを仕事にしているmonokraft(モノクラフト)・清水徹さんの自邸、真ん中は清水さんのアトリエ兼ショールーム、左奥に見えるミントグリーンの建物は家具工房enao(エナオ)の家具職人・遠藤さとしさんと、清水さんが共同で使っている工房です。

清水さんと遠藤さんは、スウェーデンの手工芸学校「カペラゴーデン」で一緒に学んだ間柄で、ともに首都圏から東川町に移住し、2019年からは「東10号工房」での活動を始めています。



写真は清水邸のウッドデッキでの一枚。左からenao遠藤さん、中央がmonokraft清水さん、右が雅建築企画・野上さん

3棟を設計・デザインしたのは清水さん。施工を担当したのは、旭川を拠点に高断熱・高気密で、自然素材を内外装に採り入れた、北国の風景に似合う家づくりに定評のある雅建築企画(野上雅史社長)です。

真夏の青空の下、移住の経緯や、雅建築企画との家づくり、東川町での仕事や暮らしについて、お三方にお話を伺います。

1 自ら断熱改修し、外装工事を雅建築企画が担った清水さんの自邸(母屋)



はじめに拝見するのは清水さんの自邸です。こちらは母屋に連なる車庫部分。傾斜屋根の内部はロフト物置としても使えます。



庭にはリビング窓から出入りができる広いウッドデッキを備えています。夏はここで2人のお子さんがプールを出して水遊びをしたり、家族や友人たちとバーベキューを楽しんでいます。

外壁装には道産トドマツを使用。工事は雅建築企画の野上さんが担当しました。木製サッシは津別町の山上木工による造作です。

清水さんは東川に家具製造を依頼していた会社があったことから、約15年前から定期的に東川に通うように。留学していたスウェーデンに似た気候風土や、東川町の取り組みに惹かれ、アトリエを持ちたいという思いに至ります。


改修前の住宅の様子


5年ほど前に知人を通じ、築50年の古家を購入。1960年代に北海道住宅供給公社が供給した通称「三角屋根」の住宅でした。

東京から通いながら、友人や仲間と共に躯体以外のすべてを取り外して補強し、断熱材を入れ、床を貼り替え、完成したのは2018年。暫くはアトリエとして利用し、冬季に留守にする間は蓄熱暖房機を弱小にして凍結を防いでいたそう。その後、家族と共に移住し、現在は自宅として使っています。



住宅内部は仕切り壁の無いオープンな空間。コーナーにはグラフィック・デザイナーで生活雑貨ブランド「サルビア」を主宰する奥さまのユリヲさんの仕事スペースが。



対面した壁際にあるスクエアの窓辺にはお子さんのスタディースペースが配置されていています。

塗り壁や天井の板張りもDIY仕上げ。内装は未完成ですが、その状態を楽しんでいるそう。肌馴染みのよくなった無垢床から、家族の暮らしの息吹を感じます。

2 モデルハウスと家具ショールームを兼ねた清水さんのアトリエ



次は清水さんのアトリエ兼ショールームを拝見します。外壁は道産トドマツの下見板、屋根の破風板にはレッドシダーを使っています。完成したのは2021年ですが、風景に溶け込み、まるでずっとココに建っていたような佇まいです。



玄関を入ってすぐ横に、清水さんのアトリエがあります。



リビングに入ると、正面に山や畑を望む窓があります。右手のテラスドアからはウッドデッキに出ることができます。



窓の右手にはダイニングスペースが。床には3cm厚のトドマツの無垢板を貼っています。



その奥に、シンプルなキッチンが配置されています。



窓の左手には薪ストーブと書斎、その奥には2階に続く階段が。



屋根傾斜を生かした2階フリースペース。この他、2階には個室が2部屋用意されています。


写真左/浴室は浴槽ハーフユニットにヒノキ板の壁を用いた造作
写真右/遠藤さんの製作したキャビネット。中には清水さんが集めた器やカップが飾られている



清水さん 自宅もそうですが、北海道の家を思い浮かべた時、風景に似合うのはやはり三角屋根の家でした。3.5×5間(けん。1間=約180cm)で出来る形を基本にしています。

この建物は、私のアトリエとして使いながら、住宅設計者のモデルハウスとして、遠藤さんの家具ショールームとしての機能を持たせているので、1階は入ってすぐに視線が抜ける窓を配置して開放的に、家具が映えるようシンプルに仕上げています。


2階フリースペースにあるオーディオラック


キッチンやオーディオラック、テーブルなどは清水さんがデザインしたものを遠藤さんが製作したコラボ作品。将来的にはゲストハウスとしての活用も考えているそう。

3 共同の家具工房 「東10号工房」



最後はenaoの遠藤さんと清水さんが共同で使っている家具工房にお邪魔します。外観はミントグリーンの縦板張りで、こちらはおふたりが留学していた北欧のテイストを感じます。



工房に足を踏み入れると、家具製作に必要な機械類が並んでいました。



作業中の作品は、遠藤さんが学んだスウェーデンの手工芸学校・カペラゴーデンの教授から、オリジナルデザインとしてお墨付きをもらったバード・フィーダー(小鳥の餌台・スウェーデンの庭の定番で、様々なデザインがある)。


キレイに並ぶ手道具類と、工房の一角につくった事務スペース。図面を引いたり、休憩場所にもなっている


壁に掛けられた道具の中に、日本製のノミを発見。こうした切削道具は、日本製の道具がヨーロッパの職人さんにも愛用されているそう。

移住で叶えた仕事と遊び・暮らしの楽しみ



木陰のガーデンテーブルには人が自然と集まります。栗の木にはブランコや梯子が吊ってあり、お子さんたちの遊び場にもなっています。


お手伝いをする度にお駄賃がもらえる楽しい仕組みは奥さまのアイデア


地域コミュニティーの温かさや、のんびりした子育て環境も移住の決め手に。また制作拠点と住まいを東川に集約したことで、仕事との向き合い方も、都会にいた頃とは変わりました。すぐそこにある自然が、厳しくも優しく、クリエイティブ・ワークで張り詰めた心や体をほぐしてくれます。



例えばフライフィッシィング。徒歩10分のところにある忠別川が釣り場なので、気分転換に気軽に出かけることができます。清水さんに誘われ、今では遠藤さんもすっかりハマっているそう。

また冬季にストーブで使う薪は、知り合いや自治体などが切り出した丸太をもらい、自分たちで薪割をします。お二人ともこの冬の備えは万端です。

雅建築企画とのこれから



清水さん 建築を仕事にしているので、北国の気候に耐えうる断熱気密や施工方法について知識としてはありますが、新たな技術を学んでは採り入れ、実際の施工経験が豊富な野上さんの存在はとても大きく、頼りにしています。

寒さの厳しいエリアなので、設計とそれを実現する施工の両方が協力して、高いレベルを目指すことが大切です。

野上さん 移住者である清水さんとの出会いで、地元の自然や暮らしの魅力を再確認しながら、家づくりをする機会をいただきました。

清水さんは住宅設計にとどまらず、家具職人の遠藤さんと一緒に、造作家具や内装計画までトータル・コーディネートができる家具デザイナーでもあります。

今後は、monokraftとコラボレートしながら、風土に合ったデザインと性能で、さらにこだわりの家づくりを展開する予定です。



すぐ近くではmonokraft設計・雅建築企画施工の住宅建設が進行中でした。雅建築企画にとっても新たな章の始まりです。今後もiezoomでは雅建築企画×monokraftの家づくりを追っていきます。是非お楽しみに!

【東10号工房】
E10 monokraft+enao
https://www.monokraft.jp/e10/


2023年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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