Story 取材記事

余市町 江田建設が建築家とつくるオーダーメイドを極めた寛ぎのヴィラ


ドラマや映画の舞台になることも多く、海や山、レトロな街並み、グルメなど、北海道の余市町は、国内外から多くの旅人が訪れる人気の観光エリアです。


内陸から眺めた余市町とシリパ岬


今回ご紹介するヴィラのオーナーもその一人。現在は東京に居を構えていますが、北海道・余市町の自然や、利便性も良く過ごしやすい町の雰囲気に魅了され、この地でヴィラを建設しました。

施工したのは、今年創業60周年の節目を迎え4代にわたり地元密着で家づくりをする江田建設。施主様に寄り添いプロの視点から最適解を導き出す提案力や、高断熱・高気密で自然な空気の流れを活用したパッシブ換気システムを採用した技術力にも定評のある工務店です。


左から江田清昭社長、オーナー、髙木淳太郎氏


設計・管理は髙木淳太郎一級建築士事務所の髙木氏。周辺環境と調和した外観、豊かで快適な住空間を追求し、丁寧かつシンプルな建築空間デザインで、個人宅から大規模建築まで豊富な経験を持つ建築家です。

完成した新居を訪ね、オーナー、江田清昭社長、髙木氏にお話をうかがいます。

余市町の豊かな水や星空、連続性のある空間設計がコンセプト



ヴィラは交通量の多いロードサイドに建っています。プライバシーを守る窓の配置。シンプルでスタイリッシュな外観です。外壁タイルは星の街としても有名な余市町にちなみ、流れ星をイメージした斜め貼りのデザインです。



中に入るとすぐにダイニング・キッチンが、その先にスキップフロアの吹き抜けリビングが続いており、中庭に面した大開口から視線が抜け、縦横に広がりを感じさせる設計です。



クローズド感のある外観からはイメージがつかないこの開放感。取材陣からは思わず「わぁ素敵!」と感嘆の声が漏れました。

髙木氏 上質なワインやウィスキーを産する余市町の豊かな水に着目し、水景の中庭を建物の中間軸として設計しています。



上下階がオープンにつながる吹き抜けリビングには、オーダーしてつくったL字型の大型ソファとコーヒーテーブルが。階段下はミニバーになっています。



オーナー 子連れの旅や休暇は体力勝負。大人たちは夜になるとぐったりしてしまいます。元気な子どもたちは2階で過ごし、大人はお気に入りの音楽を聴いたり、ミニバーのお酒を楽しみながら寛げるような空間を希望しました。

ミニバーのサイドボードはオーナー自らがAtmoph Window(アトモフ社が提供するバーチャルウィンドウ)を設置。薪ストーブのイメージ動画とBGMが流れ、空間をよりムーディーに演出しています。


写真奥が玄関ドア、ベンチ付きのエントランス。パーテーションの引き戸が左手に収まっている


エントランスからフラットに続くダイニング・キッチン。キッチンは、会話を楽しみながら調理ができるアイランドタイプです。

髙木氏 撮影した写真や動画を大画面で観賞しながら、北海道自慢の食材を料理して味わう…そんな過ごし方をイメージして設計しています。

星光壁の前室とアイテムにこだわった長期滞在型ベッドルーム

LDKからベッドルームへの動線には、余市町の星空をイメージした前室が配されています。



天の川とオリオン座など、星座を配した星空の壁面は、まるでアート作品のよう。

髙木氏 星の1つひとつを光ファイバーで表現しています。床は吸音性に優れ足触りの良いカーペット敷きです。

星光壁はオーナーより希望があり、最初は壁に穴を空けて裏から光を当てる方法を考えましたが、光ファイバーはメーカーさんもやったことがないということで、とても面白がってもらいました。

壁面はただの塗装ではありません。何度も吹き付け塗装を重ねた素材感、色のグラデーション、そしてファイバー照明との融合。この仕上りは、熟練職人の手でしか生み出せません。昼でも漆黒の夜空を感じさせる色合いに仕上げてくれています。



カウチに座って眺められる中庭の水景。余市湾と豊かな土壌を現したデザインです。サスティナブルな発想で、水は雨水を、冬はロードヒーティングで溶けた水を引き込んでいます。木々は北海道由来の植生を採用し、北国の豊かな四季が楽しめます。

オーナー 庭を眺めながらティータイムでホッと一息入れたり、夜は星空灯と読書灯の明かりで寛いだりと、大人数で過ごす「動」の時間から、一人安らぐ「静」の時間への切り替えができる空間が気に入っています。



前室の先にあるベッドルーム。ラグジュアリーで洗練された空間です。



フロアの奥はオープンにつながる浴室と洗面室になっています。



バスタブやシャワーヘッドなどは、イタリアから取り寄せたこだわりのアイテム。大人2人が並んで使える洗面化粧台とパウダーコーナー、その奥には洗濯乾燥機も完備。



部屋の一角にはデスクを用意。間接照明が効いたトイレも備えています。

壁一面が巨大スクリーンになる子ども部屋を配した2階



2階につながる吹き抜け階段からの眺め。ホールの壁面のバーチャルウィンドウは水景と対比した遊び心を感じさせる演出です。



2階には1階と同じ仕様のベッドルームのほかに、こちらの子ども部屋をプラン。壁一面に映し出したプロジェクターで、ゲームや動画を楽しめ、芝生をイメージした床の上で思い切り遊べる空間です。



オーナー 香港では親戚が集まって過ごすことが多く、大人と子どもがそれぞれに寛げる空間を希望しました。この部屋にはシャワールームもつくっており、遊び疲れたらそのまま就寝できるスタイル。大人数でワイワイと、お泊り会の雑魚寝空間がコンセプトです。

異文化の出会いとチャレンジ精神が産んだオリジナリティあふれる建築

意外性と個性、面白さや斬新さが際立つヴィラ。こうしたプランを実現するまで、どのような道のりがあったのでしょう。皆さんにお聞きします。


左から江田社長、江田常務、オーナー、髙木氏、iezoom編集長・白井


設計プランはどのように形になりましたか?



オーナー 文化や育った環境、年代など、髙木さんと私のバックボーンの違いからくる、「感じ方の違い」が私は面白かったです。すり合わせることで意見やアイデアが融合し、ユニークな設計デザインが生まれました。

髙木氏 多くのお客さまが二の足を踏んでしまうようなことも、えいや!と飛び越えていただけたから出来たことがたくさんあります。

例えば、マスターベッドルーム。オープンで一体感のある空間にするために、浴室と寝室の間には、排水口はあるものの仕切りを付けず、フラットな床続きにしています。

江田建設に施工を決めた理由は?


パッシブ換気システムの排気筒


髙木氏 余市町を施工エリアとしている工務店を探し、複数社見積もりをとったところ、一番真摯に回答をしてもらったことがきっかけです。

エアコンをかけなくても吹き抜けの大空間が快適なのには驚いています。断熱・気密に優れていることはもちろん、パッシブ換気システムの高性能を実感しているところです。

江田社長 1枚90㎏ある吹抜窓や、ベッドルームの浴室、片持ち風の階段など、当社にとっては初めてのことばかりでしたが、とても得るものが大きく、勉強になりました。
ヴィラの建設は初めての事で、住宅造りにおけるプランニングの仕方とは生活動線やくつろげる空間づくりが特に印象的でした。

昨今の物流遅延問題や積雪による人員確保の難しさなどの工期に関わる部分では、髙木先生の頭の回転の速さで品質を落とさずに施工面での変更をご提案していただき、何度も助けられました。また、それに対してのオーナー様の理解力もあり、妥協できる点と出来ない点をはっきり伝えて頂けて、完成形を想像しやすく、こちらの体制も整えやすかったです。

オーナー様の家づくりのお手伝いをする事の難しさを改めて痛感し、初心を思い出す事ができた現場でした。

冬場になれば高断熱高気密の暖房性能を体感していただき、寒冷地でも住宅は快適に暮らせると実感して頂けると自負しております。



髙木氏 この鉄骨のササラが入った片持ち仕様の階段ですが、一般的には反対側にも鉄を入れてくださいと言われてしまうところを、江田建設さんは、トライしてくださいました。そういった挑戦が、創造性の高い住空間の実現につながっています。

記者の目



オーナーと建築家、そして地元の工務店が、遊び心を持ちながら、互いに切磋琢磨し、挑戦し続けた家づくり。完成したヴィラは、感動と驚きでいっぱい。本物の「オンリーワン」を拝見した取材でした。

カメラ スタジオスーパーフライ 大道貴司
記事 iezoom編集部


2025年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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