Story 取材記事

和風&高断熱住宅に特化した工務店

 北一タカハシ建設は、99年の創業以来、宮大工の技術を活かし、北海道内の30棟を超えるお寺の新築や増築、そして和風の戸建住宅を手掛けてきた会社。道内では数少ない本格的な和風住宅を得意とし、気候風土に適した断熱・気密にもこだわる住宅会社です。

なぜ寺社と戸建住宅の両方をやっているのか?

2013_0523takahashi.jpg高橋 まず社寺建築のことから話します。私はもともとゼネコンの現場監督で、20代のころは建築工事の監理や受発注で非常に忙しい日々を送りながら、身につけたものの一つが社寺建築の様々なノウハウでした。腕のある大工がどうしても足りなくて、自ら大工の育成をできる会社を作ろうと思い99年に工務店を設立したのです。

冬のお寺などに行って、体が芯まで冷えてしまうほど寒い、という経験をされたことがありませんか? 北海道の社寺建築はこれまで北陸など道外の大工さんが施工することが多いこともあって、断熱・気密をしっかりやった寒冷地対応の社寺という発想はなかったのです。私は、お寺こそ年配の方が快適に長居できる暖かい建物にすべきだと提案し、多くの住職様から賛同をいただき、これまでに30棟を超える社寺建築のお仕事をさせていただきました。もちろん社内で育成している宮大工だからこそできる仕事です。

和風住宅に北一タカハシ建設の宮大工、数寄屋建築の技術を活かしたいと最初に思ったのは道北・和寒町の「片栗庵」を建てさせていただいたのがきっかけでした。和風建築の技術と省エネ施工の技術、現代建築の機能性を組み合わせれば住宅業界唯一ともいえる感動的な住まいづくりができると考え、以来様々な住宅を建築させていただいております。
<写真:高橋一彦社長(上)と、木村棟梁(下)>

どんな家を建てている?

kitaichi01_img02.jpg高橋 例えば札幌にある私の自宅の外観はシンプルモダン系のフラット屋根です。必ずしも和風住宅だけを施工しているということではありません。得意なのは和風の数寄屋住宅、あるいは小樽や函館などで見かける明治・大正時代の洋館風の住宅、現代的な和風住宅など。しかしそれぞれのオーナー様によって住みたい家のイメージや「和」に対するとらえ方などが様々に異なります。オーナー様がイメージされているものを打ち合わせを重ね、理解して、その上で様々なプランを提案させていただいています。 <写真:和寒町の片栗庵>

kitaichi01_img03.jpg例えば北一タカハシ建設らしい格天井(ごうてんじょう)や玄関の坪庭、土間のたたき・畳・板間など足の裏から感じる和の感触、木の風合いや造作建具の提案などは他社にはない魅力だと思います。どれだけそういった要素を取り入れるかはお客様の希望次第ですし、シンプルモダン系の住宅にちょっと和の意匠を取り入れるのも魅力的な手法です。和風住宅はビニール系の内装材などを基本的には使いませんので、室内が非常に落ち着き、静電気が無くクロスが汚れない、目が疲れない、化学物質のいやなにおいもしない、癒される環境になります。こういう良さはむしろ住まわれてから実感されることかもしれませんが。

省エネ性能で言うと、平成15年1月に完成した我が家はずっと暖房の電力使用量を記録していますが、延床66坪で5年間の平均が年間4万1千円台です。熱損失係数(Q値)1Wレベルの超高断熱で(Q1住宅64kwh/m2、当社62.53kwh/m2)と、夏期に屋根からの輻射熱を遮る遮熱シートを採用した高性能な和風モダン住宅「北の宮大工が建てるQ1数寄屋住宅」は09年に「北のブランド認証」も受賞しました。オリジナルの照明類やステンドグラスなどの提案もありますし、もちろんキッチンなどは最近の商品もご提案します。
<写真:若いご夫婦が建てられた数寄屋風住宅(札幌市内)>

kitaichi01_img04.jpg一番大事なのはお客様が暮らし初めてからの満足だと思っています。ドアノブの修理などはありますが、お客様が不満に感じられるような大きなトラブルはこれまでありませんでした。本物の家を作ろうと努力し、そのために大工を育成してきたことが実を結んでいるのだと思います。北一タカハシ建設には住宅ローンや土地のご紹介、住まいづくりに関する様々なノウハウを持っている藤野、お客様の目線で家づくりを考えられる柴田、そして和の提案などに関してはたくさんのアイデアを持っている私もいます。力を合わせてお客様の満足をお手伝いしたいと思っています。内覧会を実施するとこだわりの家だからかなり高いのでは?と質問されることも多いのですが、当社のような会社だからこそメーカーが掘り出し物を持ち込んでくるということもあります。
<写真:エントランスやガレージも含めて和を演出した事例も>

宮大工育成の方法は?

kitaichi01_img05.jpg高橋 技能士の訓練校を卒業させること、そして大工たちが同じ釜の飯を食べること、そして断熱や気密工事はもちろん現場の清掃からマナー、関連業種の職人さんたちとのコミュニケーションや円滑な行程管理をその現場の棟梁だけでなく、大工が全員担えるレベルにまで知識や腕、人格を磨くということです。

昔の大工さんは町内一の常識人であり知恵袋でした。当社では大工を責任を持って雇用・育成し、着工から竣工、その後のメンテナンスまで、全大工が自分の責任として受け止められるような体制を作っています。今や不景気で住宅会社は大工を抱えることができず、受注ができたらその時に大工を手配するという時代です。でもそれでは住宅会社の技術力は高まらず、お客様に対して責任を持てる施工もできないと思います。
<写真:株式会社北一タカハシ建設社屋>

記者の一言

 高橋社長の家づくりはオーナーと意気投合することから始まる。一般的な工務店社長なら採算面も考えて「ここまではやらない」というところまで家づくりに全力投球するタイプ。「伝統」「和」「手造り」「省エネ」「室内環境」などのキーワードに魅力を感じる人におすすめしたい。

2009年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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