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札幌の宮大工がなぜ断熱リフォーム/リノベーションを手掛けるのか!?

うその説明で必要のないリフォーム工事を何100件も契約させた福岡市のリフォーム会社「愛建ホーム」に対し、消費者庁が2015年6月、特定商取引法違反(不実告知など)で、新規勧誘や契約などの一部業務停止(6カ月)を命じたそうです。

どんな業者にリノベーションを頼めばいいのか

私たちは、どんな業者にリフォームを頼んでいいかわからない。家のことを誰に頼んでいいかわからない。愛建ホームのホームページを見てみましたが、そこに消費者が心配になる情報などあるはずもありません。だからこそ、私たちは信頼できる情報が欲しいのです。

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そんな覚悟を持って、今回取材したのは、札幌の宮大工職人集団・北一タカハシ建設さんです。

札幌圏で住宅のリフォームやリノベーションを扱う会社は大小を合わせて100社以上に上ります。その中で伝統的な宮大工集団・北一タカハシ建設にリフォームを頼むメリットは何でしょうか。
実際の例を交えながら、高橋一彦社長にお話を伺ってみました。

純和風の住まいを洋風モダンにリノベーション

まずは、実際の施工例を見てみましょう。
宮大工集団だから、家も純和風のリフォームになるかといえば、答えはNo!

もちろん、和風はお手のものですが、実は洋風を採り入れた住宅建築・リフォームも手掛けているのです。これが、またひと味違った重厚感のある洋風テイスト。

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室蘭市、光傳寺の本堂につながる庫裏(くり・住居)。こちらに住むのはお寺の4代目・副住職のご家族です。

築30年で家が寒かったのと、3人兄弟の長男が小学1年生になったのを機に、北一さんにリノベーションを依頼しました。奥さんが希望されたのは、和室だった50坪のワンフロアを、すべて洋風スタイルにすること。
奥さんが明確な好みをお持ちだったので、一つ一つ相談しながら設計やインテリアを決めていきました。

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和室の段差はすべてフラットにし、元のリビングと床の間のある和室を一つの開放的なリビングルームにしました。区切られていたキッチンもオープンカウンターに。間接照明を効果的に施したことで、高級感が漂うシックモダンな空間に変身しました。

もちろん、断熱性能も大幅に強化。冬の寒さから解放されて、家じゅうの暖かさをご家族で実感しているそうです。

長期優良住宅化リフォームで暖かな家に! 宮大工だから性能にこだわる

こちらは、長期優良住宅に断熱と耐震性能をリフォームした家です。11月に着工して、その1カ月後に完了。
本格的な積雪期の前に工事が間に合ったので、暖かな冬を過ごすことができたとオーナーさんからも喜ばれたそうです。

2015_0612kouji.jpg〈左:外壁をはがしてみると、断熱材が入っていない部分があるなど、施工が雑。また壁の中を空気が動くため、黄色い断熱材がホコリで黒く汚れている〉
〈右:新しく断熱材を入れ直して合板を張っている。金物による補強が見えている〉

実は、北一タカハシさんが依頼されてからこの家を調べたところ、建物の変形を防ぐために斜めに使う「筋交い」が規定通りに釘打ちしていないなど、いろいろな不具合を発見したそうです。外見からは分からず、暮らしていたオーナーご家族もまったく気づかなかったそうですが、そのままでいれば何らかのトラブルが起こりかねませんでした。

リフォーム工事前に徹底した検査を実施

そこで、工事は外壁をいったんすべて剥がして、このような不具合を徹底的に検査することになりました。同時に、家全体を暖かく改修するために、どの部分にどのような改修が必要か、高橋一彦社長が大工と一緒にチェックを進めていったそうです。

その結果、補強によって耐震性能を現在の基準に引き上げることが可能と判断。傷んだ構造柱を入れ替え、強度を高める部材で補強を行いました。
断熱材は、グラスウールやウレタンを使い分けてすき間なく施工しただけでなく、その上から61ミリ厚の高性能硬質ウレタンフォーム保温板を外張り、窓はトリプルサッシに変更しました。

これらの施工は、ご家族がお住まいのまま行い、負担のかかる短期の引っ越しをする必要がなく済みました。また、窓を小さくしたトイレや、上げ下げ窓に替えたベランダには、サービスで杉を板張りにしてオーナーさんにたいへん喜ばれたそうです。

2015_0612win1.jpg〈窓サイズの変更を板張りデザインでインテリアに生かした〉

「同じリフォームでも、うちなら勝てる」高橋社長

高橋一彦社長に、住宅リフォームを手掛ける理由を聞いてみました。

「うちは、和風建築に断然の自信があります。でも、それだけじゃない。間取りやデザインを変える、また断熱や耐震性能を高めるリフォームでも当社は違う。他社のリフォームを見て思いましたよ。『うちは勝てる』」

―――それは、どうしてですか。

「他社では、大工は下請けというところが多いでしょう。北一タカハシ建設は全員の大工が社員です。それも宮大工の集団ですから、仕事に対する責任感、心構えがまったく違うのです。

技術に関しても、我が社では社員に資格を取ることを強く勧めています。この1月にも、我が社の大工たちが建築大工技能士1級を取得しました。彼らは、常に自分を磨き続けています」

2015_0612namecard.jpg※2015年1月に行われた技能士試験を受験した4名全員が合格。
石山、成田両氏が国家資格「建築大工技能士」1級、大坂、村上の両氏が国家資格「かわらぶき技能士」2級を取得した。畑山氏は世界技能オリンピックに日本代表として派遣された日本を代表する若手宮大工の1人だ。北一タカハシ建設の大工は、全員が名刺を持っている。

―――人材の優秀さのほかに「勝てる」と思う理由は。

「機動力です。
北一タカハシ建設には、木材や建材類をかなり在庫しています。これは常に社寺建築を手がけている当社の特徴。また、当社には加工工場・重機・トラックが全て揃っているので、何かが足りずに注文して待っているような時間のロスがありません。
リフォームにありがちな予定外の工事でも、在庫の中から建材をえらび、必要な加工をしてすぐに施工できるのです。重機の資格を持つ者もおります」

―――そうはいっても、社寺建築のほか、既に個人住宅の予約待ちもあるそうですが。

「そうですね。住宅もそうですが、リフォームをご依頼いただいたお客さまには施工までお待ちいただくこともあるかもしれません。
それでも、私たちは技術的に"これでいいのか"と思えるような他社のリフォームを見てきました。それならば、私たちにお任せいただきたい。絶対の責任を持って施工に当たりますから」

2015_0612ko.jpg〈子どもの夢・大工。その夢を実現した男たちがかっこよく仕事をする会社。そんな会社になりたいと高橋社長が語る〉

記者の目

いったん手掛けたからには絶対の責任を持つ。これは高橋一彦社長をはじめとする会社の姿勢であり、それは木村総棟梁から若手大工まで一貫している。リフォームに関しても、デザイン・技術ともに「ここまでやるのか」と思うほどの技術と数寄を凝らすのは、住宅建築と変わらない。和風にこだわらずとも、永く快適に住むためのリフォームを考えている人なら相談する価値はある会社だ。

2015年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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