札幌圏で数百社あるハウスメーカー・工務店の中で、営業部を置かずに設計陣が直接私たちの話を聞いて注文住宅を建てるという、独自のスタイルを持つ三五工務店。設計スタッフと会話やプランのキャッチボールをしながら家づくりが進むのは願ってもないことだ。
でも、「設計者って気難しくないかな」とか「建築の専門用語に押されると、自分の希望を伝え切る自信がない」といった不安もあるかもしれない。そこで、今回は注文住宅について、主に打ち合わせをどう進めていくのか取材した。
三五工務店はなぜ営業を置かないのか
気になる住宅会社があれば、まずはそのモデルハウスや完成住宅見学会へ足を運んでみるはずだ。 普通なら迎えてくれるのは営業スタッフだが、三五工務店の場合は設計スタッフが接客・応対を行っている。いきなり?という感じもするが、私たちお客の質問や相談に、実際にデザインしているプロの目から答えてもらえることがメリットだ。それに、三五工務店の設計スタッフは、時として"設計者"という言葉にイメージしがちな「一方的で気難しそうなタイプ」では決してない。こちらの話を丁寧に聞いてくれるし、誠実に説明やアドバイスもしてくれる。
また、見学後に悩まされがちな、電話攻勢やアポなし訪問といった売り込みが、三五工務店にないのはありがたいところだ。しかし、逆に物足りなく感じられる人もいるかもしれない。
その代わり、不明な点や質問などは、こちらから聞けばその都度しっかりと答えてくれる。その際に売り込まれることもないので、三五工務店に興味を持ったら遠慮せずにどんどんコンタクトを取ってみよう。
〈床材はもとより外装材、構造材など、できるだけ道産無垢材、自然素材にこだわった家。現在の技術力が原風景の家を支えている〉
三五工務店はナチュラルな木の家ばかり?
三五工務店は、自社の得意な設計プランや施工にお客を誘導するといった、一部の会社に見られるようなことをしない。オーナーの要望を家というカタチにすることに何よりも喜びを感じる、家づくりが心底好きな技術者たちの集団だ。また、一般的に三五といえば、木をふんだんに使ったナチュラルな住宅というイメージがある。
だが、それは単純に「木を使った家」というオーナーの希望が多いだけで、実際はシンプルモダンを含む、さまざまなスタイルの住宅に対して対応しているという。
他社が「うちでは無理」と断った、ちょっとユニークなオーダーにも「かえってワクワクする」(設計スタッフ)というぐらいだから、オリジナリティーを求めた家づくりを考えている場合は、相談する価値はある。
これまでの取材経験から「こんな家をつくりたい」と希望がハッキリした顧客も少なくない。
ただし、たとえお客の要望でも、三五工務店が聞き入れない部分がある。それは住宅性能だという。
家族が健康的かつ快適に暮らす家として、断熱・気密などをしっかり保持できる性能面と施工品質は、決して譲れないというスタンスだ。
〈「年月を経たような、しっとりとした趣の空間にしたい」というオーナーの要望を生かして設計された空間〉
徹底的な打ち合わせとプランニング
それでは、実際に三五工務店との契約までの流れを見てみよう。- 1.家族が1人ずつ、家に対する希望やイメージをヒアリングシートに記入する。
- 2.それを元に、1つ1つの項目について設計スタッフと確認を行っていく。家族で異なる希望があれば、設計スタッフがそれらを採り入れたデザインをつくる、または複数の選択肢を提案する。
- 3.すべての要望をまとめたところで、家のプランと概算を提示する。
- 4.家族みんなが納得するまで、この流れを繰り返す。
- 5. 十分に納得したところで契約(期日を迫ることはない)。
1で、家族が個別にイメージを書くのは「誰かが我慢して暮らすのではなく、全員が快適に過ごせるように」という三五工務店のポリシーによるものだ。
また、希望したものが住宅全体のバランスに合わない、もしくは家族の意見を合わせたプランニングが難しいという場合には「なぜそのようにしたいのですか?」と、さらにヒアリングしてその根本にあるイメージを引き出し、それに合った別の選択肢をいくつか提案するという。
こうした打ち合わせの間に、三五工務店の完成見学会やモデルハウス、施工した家なども担当者と一緒に数多く訪れるという。
実際の住宅を見ながら話していくことで、図面が施主側にもリアルに分かるようになるし、良いと思った部分を採り入れることもできるからだ。
〈昔ながらの「お茶の間」の生活に憧れていたオーナー。「和」にこだわり過ぎず、花柄やビビッドなブルーをアクセントに用いている〉
このようにして出来上がった家に、施主側から「後からこうすればよかった」と言われることは、ほとんど無いそうだ。それは、完成する前から、既に住宅のイメージを顧客と三五工務店との間で共有できていたということ。つまり、打ち合わせにそれだけの時間と労力をかけたからと言えるだろう。
もっとも、いい家はほしいけれど、ここまでの必要はないと思う人もいるはずだ。もっとサックリ家がほしい。その話については次回取材する予定だ。
〈片流れ屋根の勾配を生かした空間構成。リビングは開放感にあふれ、寝室となるロフトは小屋裏風で落ち着きを感じる〉
三五工務店はゴージャスな家が多い?
住宅会社の中でも、三五工務店で建てるのは予算にゆとりのある方と思っている人も少なくないようだ。しかし、「小さな平屋やコンパクト住宅でいいので、自分らしい家を」という顧客も少なくない。写真の例は、約20坪でも広がりの中に程良い視界の仕切りを持たせた落ち着きのある住まい、そしてペットと暮らす住まいだ。いずれも、要望に沿って綿密な打ち合わせとプランニングが行われた三五工務店の家だ。
2015年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。