ガーデニングに親しむ人が増え、以前なら雑誌の特集記事でしかお目にかかれなかったような素敵なお庭を目にする機会も多くなってきた。こうした達人たちに近づくにはどうすればいいのか、恵庭市恵み野の花の街づくりなどを通し、長年ガーデニングに携わってきた内倉真裕美さん(NPO法人ガーデンアイランド北海道 副理事長)に聞いてみた。
今ある木を生かすことを考える
内倉さんが考える美しい庭とは花と緑がバランスよく配置され、建物との一体感が感じられる庭。
草花が主役の庭はビギナーでもメンテナンスしやすいが、平面的で子供っぽく、賑やかすぎて疲れる。背の高い樹木が加わることで、より立体的で奥行きのある庭になり、住宅との調和も生まれる。
「木や芝生の緑があってこそ大人の庭。今ある木を切らずに生かすことから庭づくりを考えるようにしている」と内倉さんはいう。
新築の場合は動かさなくてもいい場所にシンボルツリーを植え、その周辺から少しずつ庭を完成させていくのも1つの方法だ。
家と同じように、庭も子供の成長や歳をとることによって役割が変わってくる。子供が小さいうちはバーベキュースペースなど遊び場の確保や維持管理に手間がかからないことが重視される。しかし子供が独立して自由な時間ができると、手入れそのものを楽しむための庭が欲しくなる。
「プロの手で完璧に造り込んでしまうより、ゆるやかな造りにしておく方が手を加えやすいし、お金もかからない。バーベキュースペースなどもインターロッキングでカッチリ固めてしまわず、枕木やレンガでザックリと仕上げてみては」(内倉さん)。
街がもっと美しくなる庭とは
塀の高さは低めにしてオープンな雰囲気に。防犯上の観点からもその方が望ましい。設置場所は敷地の境界線ギリギリではなく、道路から1mほどセットバックさせ、塀の外側に植栽スペースを設けるようにする。通りから見える位置に緑があることで住宅のグレードも格段にアップする。曲線状の塀を造り、通り側の凹んだところに木を植えてもいい。 「花と緑を上手にコーディネートした住まいが軒を連ねるようになれば、街はもっと美しくなる」(内倉さん)。
といっても、花も木も生き物。住まい手の意図した通りに育ってくれるとは限らない。
「木が育ちすぎて家族総出で植え替え作業をしたかと思えば、とりあえず植えたものが意外にいい風景を作り出してくれることもある」(内倉さん)。
これこそがガーデニングの面白さなのかもしれない。
2009年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。