床から天井近くまである大きな窓から自然光が差し込む明るいLDK。日差しに映えるのは、タモ材のフローリングと天然木のオーダー家具です。
ペンダント照明のガラス製のシェードやテレビ台の扉は、ガラス作家である奥様の作品たち。木や塗り壁とガラス工芸が光をまとう、すがすがしい住まいにお邪魔しました。
高低差のある敷地を生かして
道路より高い位置に宅地がある場合、道路から玄関まで外階段を設けるのが一般的ですが、雪が降る札幌市では階段が凍ってしまい滑りやすくなるなどリスクも伴います。
そこで、T邸ではカーポート分の土を搬出し、敷地内の一部を道路とフラットにした後にカーポートを設け、玄関に入ってから家の中に階段を設ける設計にしました。
2台分の車を並列で駐車するカーポートは、約80㎝の土を搬出してスペースを確保しました。
製作カーポートから直接玄関へ
玄関ドアはカーポートからひと続きになっており、雨や雪にあたらず出入りができるため、とても便利です。
玄関の上がりかまちからすぐに内階段。
階段横には高低差を生かした3帖分の床下収納が用意されており、外物置には置きたくないキャンプ用具などが収められています。
高低差を利用した設計のもう一つのメリットは、玄関の土間に開放感が生まれたこと。玄関は天井まで約3.5mの高さのある縦の空間が広がります。
玄関とリビングを仕切るドアもなく、シームレスなひと続き。オーナーのTさんは「帰宅したときの『ただいま』の声もリビングまで自然に通る」と、うれしそうに語ります。
光を取り込む工夫があちこちに
リビングは南向きに天井近くまである大きな窓がしつらえてあります。
床はタモの無垢材、窓枠も内側を木製サッシにしました。
思わずソファでひなたぼっこをしたくなる気持ちのいい空間です。
2階に上がる階段の正面には細長いフォルムのはめ込み窓があります。
窓からの光が映し出すのは、珪藻土入り塗り壁のコテの跡。職人の丁寧な手仕事が光の陰影となって伝わります。
光を上手に使った演出は、ほかにも家のあちこちに散りばめられています。
というのも、奥様の絵里子さんはRikospoppo(りこずぽっぽ)のブランド名で作品を発表しているガラス作家。札幌にあるオーダー家具のメーカー「澪工房」とのコラボレーションでも知られています。
Rikospoppoの公式サイトはこちら
ペンダントライトも、トイレのドア窓も、キッチンの壁面収納も、さりげなく使われているのは奥様の絵里子さんの手によるガラス作品。板ガラスをカットして焼き合わせるフュージングという技法でつくられた作品が、光を美しく装飾しています。
きっかけは澪工房での出会い
ご夫婦が出会ったのは澪工房のクリスマスイベント。そして家づくりを担当した工務店SUDOホーム札幌の支店長、須藤隆さんも、偶然そのイベントで同席していたというから、運命的な出会いだったのかもしれません。
SUDOホームを選んだ理由について、Tさんはこう話します。
「須藤さんのモデルハウスやホームページを見て、木を使ったしつらえや、センスのいいデザインに惹かれていましたが、一番の決め手になったのは、標準仕様がしっかりしていて安心だったからです」
高断熱、高気密、計画換気、全館暖房と、住宅性能が確かなのはもちろん、床は無垢のフローリング、壁は珪藻土入り塗り壁、建具や階段もオリジナル製作というクオリティが安心の理由でした。
プロの提案に感心する日々
SUDOホームからの提案は、敷地の高低差を生かして玄関に内階段を設け、1階をひと続きで使えるLDKにして、2階に居室とお風呂、洗面室をまとめるプランでした。
「最初は2階にバスルーム、と驚きましたが、実際暮らしてみたら、すごく便利ですね。子どもをお風呂に入れてパジャマを着せたら、そのまま寝室に直行。階段を上がったり降りたりしないからスムーズです」とTさん。
入居後に赤ちゃんが生まれてから、動線の合理性をより実感している様子です。
Tさんがもうひとつ気に入っているのが階段裏、キッチンと一直線でつながる書斎スペースです。
2.2mのカウンターデスクが造作されており、背面には大容量の収納棚。LDKのバックヤードになっています。
落ち着く雰囲気でパソコンワークをするにはもってこい。Tさんはイスに腰掛けて窓からぼーっと外を眺め、瞑想タイムに入ってしまうこともあるそうです。
木の経年変化を楽しみに
柱や梁の木を壁で隠さず、あえて見せているのもSUDOホームの特徴です。
LDKには、Tさんが「絶対に入れたかった」というクルミ無垢材のダイニングテーブルのほか、キッチンカウンターのフロント収納、テレビボードやソファ、チェアなど、木の素材感を生かした家具がたくさんあり、どれも澪工房のオーダーメイド。陽に焼けて少しずつ色が変化するのも楽しみです。
木といえば、道産杉を板張りした外壁も印象的。よくある茶色の塗装にはせず、絵里子さんがグレーの色味を選びました。
「最初はナチュラルな色がいいと思ったのですが、須藤さんにほかのカラーもあるとアドバイスされて、なるほどと納得。ナチュラルな木はいずれグレーっぽくなるから、それなら最初からグレーにしようかと決めました」。風合いのある仕上がりになっています。
玄関土間にギャラリースペース
間取りのプランはほとんどSUDOホームの提案通りですが、後から1カ所だけ要望したのが玄関土間のギャラリースペース。
土間を少し拡張して、絵里子さんの作品を置くショールームを作りたいと要望しました。
外からも覗ける展示スペースは、将来ショップとして活用できそうな広さです。
プロに任せるのも大事
2021年の年末に入居し、すでに2年近くこの家で生活しているTさんご夫婦。お子さんも生まれ、すくすく成長しています。
「玄関とリビングに仕切りがなく、つながっているのに、冬でもすごく暖かいんですよ。逆に夏はそれほど暑くないんです」と絵里子さん。気密や断熱の性能を実感する日々が続いています。
最後に、これから家づくりをする人にアドバイスをお願いすると、お二人から返ってきたのは「プロにお任せするのがおすすめ」という回答。
「こだわりを言えば言うほど素人の家になっちゃう。細かいことは言わず、大枠をお任せして、最終的に微調整したほうが、いい家になると思います」とご主人。絵里子さんも「プロはやっぱり経験値が違うと思うので…」と同意します。
そのためには、なによりもまず信頼できるハウスメーカーを見つけることが大切なのかもしれません。
写真:studio.samedi(スタジオサムディ)川村一之
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