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眺めの良い大空間で薪ストーブライフ/札幌市・Tさん/拓友建設

本州の設計事務所と札幌のビルダーとのコラボによる、大きな吹抜けのある家。薪ストーブがある開放的なダイニングでオーナーのTさんご夫妻と設計者の宇津義和さん(茨城県・宇津建築設計事務所)、施工を担当した拓友建設(株)社長の妻沼澄夫さんにお話を伺いました。

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新天地での家づくり。ビルダー選びが最大の課題

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2年前、大阪からご主人の故郷・北海道に移り住んだTさん。「借家に住んでいましたが、住み心地が悪くて...。近隣で条件に合う土地を探して新築することにしました(ご主人)」。とはいっても、引っ越して間もない土地で良い住宅会社を選ぶのは大変。そこで大阪時代の同僚で仕事ぶりも人柄もよく知っている宇津さんにマイホームの設計を依頼しました。

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宇津さん

「茨城―札幌間を頻繁に行き来できないので現場管理のしっかりしたビルダーを探すことが第一の関門でした」と宇津さん。「札幌良い住宅」などを参考に技術力のある数社に絞り込みました。
候補の1つであるA社の社長から『拓友さんは断熱施工の技術も現場管理もレベルの高い信頼できる会社』と聞き、「同業者からそこまで言われるなら...」と拓友さんに決めました。

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妻沼さん

北方型住宅や札幌版次世代住宅基準に早くから取り組んできた妻沼さんは、デザインや設計はその道のプロ=設計事務所 に任せても、「デザイン、プランに加え温熱環境の良いバランスのとれた家をお客さまに提供するという目標を共有できる設計者でなければ一緒に仕事できない」、と常々考えています。なぜなら、良い家はデザインだけでも性能だけでも成り立たないからです。

「宇津さんとのやりとりで、目指す家の方向性が同じと感じました。建物の構造や温熱環境を第一に考えている設計事務所さんだったんです」と妻沼さんは宇津さんとベクトルが同じであることを確認し嬉しくなったと言います。そして今回初めてのタッグが実現したのです。

デザインと性能を両立させた個性派の住まい

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温暖な関西での暮らしに馴染んできたTさんにとって1番の問題は冬の寒さと雪対策。「まず暖かく、雪かきしなくても外出できるように」などのリクエストを最大限に盛り込んで完成したのがビルトインガレージを備えた現在の住まいです。

「熱損失を少なくするため、バルコニーや庇のような突起物のないシンプルなデザインを提案しました(宇津さん)」。敷地が広いので、屋根形状は雪を1ヵ所に落とす片流れ屋根に。落雪で壁面が傷まないよう雪が落ちる側の外壁を地面と垂直ではなく斜めにしており、個性的なフォルム。外装は明るいレンガ色のタイル貼り。

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断熱・気密性能も国の省エネ基準よりワンランク上の札幌版次世代住宅基準・ベーシックレベルをクリアしています。

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上の写真は、札幌版次世代基準の性能表示ラベルと認定証です。札幌市から認定を受けた際にもらったものだそうです。性能表示ラベルは金属製で、断熱の厚みをわかりやすくイメージ化しています。認定証は性能の良さを数値化し、☆マークで表示しています。気密性能の0.2cm2/m2という数字は、国が定めていた気密性能の基準よりも10倍も高性能です。

雪景色が広がる迫力満点の大開口部

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1階は全体が吹き抜けになったダイニングキッチンを中心にリビング、和室、ロフト付きの子ども部屋2室を配置。「家族の一体感が感じられるオープンな間取りにしました。思春期の2人の男の子に対する親の目も行き届きますしね(ご主人)」。
通常の天井高のリビングからダイニングの吹き抜けを見上げると、空間的な広がりがよりいっそう感じられます。主寝室は2階に。各個室にはダイニングを見下ろす小窓が付いています。

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河川敷の遊歩道を望む条件を生かし、ダイニングの南東面に上下2段の大開口部を設けています。この日は取材スタッフのほかに本州から見学に訪れた方々も同席しましたが、一様に窓いちめんに広がる雪景色に見入っていました。

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Tさんの希望で主暖房は薪ストーブを使用。上段が炉室、下段がオーブンになったイタリアの製品です。

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窓辺には薪が積み上げられています。薪山越しに外の景色が見えるように敢えてこの場所に薪置き場を作ったそうです。「晴れた日は2月でも日中は暖房が不要ですし、朝晩も補助暖房のエアコンだけで十分暖かいのですが、やはり部屋の中に火があると落ち着きますね(ご主人)」。
オーブンも活躍しています。一見扱いが難しそうですが、「オーブンには温度計がありますし、薪ストーブは火が落ち着くと温度変化も小さいので意外に簡単。ピザやパウンドケーキ、キッシュなどをよく作ります」と奥様。ご主人もピザづくりに挑戦しました。灰の片付けなどの手間も含めて火のある暮らしを楽しんでいます。

記者の目

停電時でも使え、CO2排出量を増やさない(=カーボンニュートラル)ことから、昔ながらの薪ストーブの良さが見直されています。レトロなデザインに憧れて導入する人も多いようです。多少の手間はあっても、火を見ながら生活できると気持ちまで暖かくなりますね。

2016年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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