大きな改修をしなくても、身体状況を見定めて小さな工夫をすることで、格段に生活しやすくなる…バリアフリーのリフォームでは往々にしてそのようなことがあります。思いがけない病気にかかってしまう可能性は誰にでもありますが、誰もが自由に自宅をリフォームできるだけのお金があるわけではありません。最小限の工夫で最大の効果を生み出すようなリフォームといえるのが、今回紹介する事例です。
できることは自分で 自立をサポートするリフォーム
思いがけないときに襲ってくるのが重い病です。体調不良のため病院で受診したKさんは胆管結石の診断を受けて即入院しました。その際精密検査をしたところ、腹部の大動脈瘤が発見され、左足を切断せざるを得なくなってしまいました。 「手術直後は本当に痛みが激しくて、死んでしまったほうがましと思いました」と笑うKさんも、今ではすっかりお元気です。車いすの生活にはなるものの、自分でできることは全てやりたいという強い意志があったため、このほど築十年のお住まいをリフォームすることにしました。小さな改修と工夫を積み重ねて使いやすく
室内のドアは車いすでも使いやすい引戸にしたほか、キッチンや洗面台なども自由に使えるような工夫をしています。 バリアフリーの増改築で大きな課題になりがちなのがトイレです。Kさんの場合はユーティリティとトイレの間にあった間仕切りを撤去して、車いすでもトイレが使えるようにしました。 玄関は屋外への出入りや安全面に考慮されています。車いすを収納するスペースは、既存のシューズボックスをさかさまにして取り付けることで金額を節約するなどの工夫が見られます。不便を我慢せず、できることからやっていく
高齢の方の場合、身体的に大きな負担があるような生活環境で暮らしていても、ついつい我慢しがちです。ほんのちょっとした工夫をするだけでも、大きく使い勝手が良くなります。今回のKさんのリフォームは、まさにそれを具現化しているケースと言えるでしょう。
《プロフィール》
西村裕広(にしむらやすひろ)
障害者に関連するNGO職員などを経てフリーライターに。福祉や住宅、自転車など様々な分野で執筆。
事例レポート一覧
●適切なバリアフリー住宅レポート
●昔のままのデザインを残し 自立と介護双方に配慮
●デザイン性を重視した車いすでも快適な住まい
2010年12月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。