障がいがありながら自立生活をしている人はたくさんいます。今回紹介する札幌市在住のIさんもその1人。下半身麻痺のため日常生活には車いすを使っているIさんが新築したのは、生活動作に支障が無いバリアフリーです。バリアフリー住宅は、機能性を重視するあまり病院や施設のようなデザインになりがちですが、Iさんはその点についても重要視しました。その結果、車いすでも快適な洗練された空間が実現しました。
小さな不便がストレスに
オートバイの事故の脊髄損傷により、下肢麻痺となってしまったIさん。障がいに負けることなく、仕事にスポーツにと活発に取り組んでいます。 Iさんは以前、奥様と2人で分譲マンションに暮らしていました。車いすでも使いやすいようにそのマンションを改装し、それほど不自由を感じることなく生活していました。 しかし年数が経過するうち、そこかしこにあるちょっとした不便にストレスを感じるようになっていたそうです。子どもの誕生を機にバリアフリー住宅の新築
ストレスが増える生活が更に大きく激変していったのが、お子様の誕生です。 3人の子宝に恵まれたのは大変嬉しいことだったのですが、どうしても居住空間が手狭になってしまったこと、そして元気な盛りの子どもが3人もいるため、近隣から苦情が来てしまうようになったそうです。そのような生活に疲れてしまったIさんと奥様は新居の建設を決意。以前からお付き合いのあった建設会社の友人に相談し、完成したのが今回紹介するお住まいです。
使いやすさだけでなくデザインも重視
以前のマンションでストレスを感じたような部分を無くしていくことを重要視したことに加え、いかにもバリアフリーという、いわば施設のような雰囲気にしない...それが大きなテーマでした。 車いすでも生活しやすいように平屋建てを想定していたため、ある程度広さのある土地が不可欠でした。いろいろ探すうち、近隣が緑いっぱいに囲まれた現在の土地を見つけることができました。 庭を車いすでもアプローチできるように工夫し、休日はもっぱらその庭で子ども達と遊ぶことが多いそうです。 理想どおり一見バリアフリー住宅には見えないスマートなデザインの中に、細かな工夫と配慮が隠れています。《プロフィール》
西村裕広(にしむらやすひろ)
障害者に関連するNGO職員などを経てフリーライターに。福祉や住宅、自転車など様々な分野で執筆。
事例レポート一覧
●工夫を積み重ねて自立生活が可能な環境に
●日本家屋の美しさそのままに 快適なバリアフリーを実現
●適切なバリアフリー住宅レポート
●昔のままのデザインを残し 自立と介護双方に配慮
2010年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。