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断熱・耐震性が低い住宅を暖かく安心な住まいに 札幌リフォーム座談会(3)

この記事は連載です。第1回 住宅断熱リフォームの裏事情(寒さ・結露問題)札幌業界人座談会1 をお読みでない方はこちらからどうぞ

リノベーションの際に断熱リフォームもいっしょに。暖かい家は血圧を下げる効果があることもわかってきました。ただ、宣伝文句だけのチラシやホームページだけで判断するのも怖いという声も聞きます。
今回は専門家に「断熱改修・外壁交換」の注意点を中心に話を聞きました。〈3回目〉

中古物件の性能は、見た目だけではわからない

編集長/最近のリフォーム・リノベーションの動向についても教えてください。

河合/最近は若い方が中古物件を見つけてきて、リフォームした方がいいか、新築した方がいいか迷っているケースが時々ありますね。


山本/耐震や断熱に関心のある若い人も多いですよ。中古物件を買うのは心配だから、誰かに見てもらいたいという相談も増えています。見た目ではなく地盤を気にしたりする人もいますね。
入山/札幌市の場合は、市から委託された耐震改修診断士がいて、中古物件を診断してくれる。助成金が出る制度もありますよ。
 

吉田/道でも、良質な既存住宅を安心して取り引きしてもらうための「北海道R住宅システム」という仕組みがあって補助金も出るんです。この制度を利用してリフォームされたお客さんもいました。

最初に大手のリフォーム会社に見積もりを頼んだらしいんですが、たまたま通勤途中にうちの現場があったとかで私にも見積もり依頼が来て。結局、うちの方が圧倒的にスペックがいいのに価格が安いというので契約に至りました。
 

良心的なリフォーム店を見つけるために


編集長/プロの目から見ると残念な工事も少なくないなか、建築の素人である一般ユーザーはどのようにリフォーム店を選べばいいんでしょう。

入山/屋根の不具合で代表的なスガモリや、外装材の表面のはがれは、屋根工事や外壁工事が悪いように思いがちですが、実は家の断熱・気密性能などが原因になっている場合も多く、その原因から直さないと再び起きてしまう危険性があります。

ですので、木造の住宅をリフォームする場合、例えばスガモリなどの不具合とその直接原因、そしてそれを引き起こしている根っこにある原因を突き止める検査技術があること、その上で改修工法を提案できることがポイントになります。

ただ単に業者を呼んで修理の見積もりを依頼するのではなく、不具合の理由を調べ改修工法を提案してもらうという依頼の仕方がいいでしょう。それに応えられないリフォーム店には頼むべきではありません。


河合/外壁の改修や屋根の張り替えは、断熱改修の絶好のチャンスでもあります。

壁や屋根を工事する際に一緒に断熱改修すると、その費用は断熱材と施工の手間賃程度しかかからず、割安になるからです。外壁改修と同時に断熱性と耐震性を高めるリフォーム工法はすでに開発されていますから、それを知っている業者なら誰でもできます。

ただ、リフォームは現場ごとに状況が違うので、状況の診断と改修方法の提案が必要です。それに応えてくれる業者に頼むと失敗はないでしょう。


吉田/よく3社くらいから見積もりとって比べてみなさいというけど、片方は金属系サイディング、片方は窯業系となると比べようがないですよ。同じ図面の同じ仕様で出してないから、素人が見たって分かるわけがない。

本当は第三者的な建築のプロが中立的にアドバイスしてくれる窓口があればいいのですが。

山本/数社からリフォームの見積もりをとるのであれば、全く同じ条件にして、部屋ごとに分けて金額を出してもらうといいですよ。そうしたら予算がオーバーしたときにどこをやめるか考えやすい。

ひっくるめて金額を出されても判断しようがないですから。

河合/本当は見積もりも同じ書式にして、同じ項目で数字を入れてもらえればいいんですけどね。一式いくらじゃわかりません。

編集長/北海道建築指導センターの相談窓口では見積もりのチェックをしてもらえるのでしょうか。

山本/どこの会社がいいとは言えませんが、ただ「ここを見てね、数字が違うでしょ」と指摘はできますよ。一般の方は単価しか見ていませんが、数量をチェックしたり、見積もりの見方はアドバイスしています。また、サイディングの提案が金属系と窯業系で違っているなら、それぞれのメリット・デメリットも説明します。あとは業者の担当者との相性もありますから、最終的に決めるのはお客さまです。

※参考 北海道建築指導センター住宅相談のページ
編集長/なるほど。今日はリフォームの参考になるヒントをたくさんいただきました。お客さまはついつい間取りやデザインを重視しがちですが、目に見えない部分の施工こそ気を配る必要があるのかもしれませんね。皆さん、お忙しい中、どうもありがとうございました。
< 完 >

大規模リフォームで新築並みの断熱・気密性能に(ヨシケン1級建築士事務所)
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外壁改修時に断熱改修も行って快適な住まいに(あったかハウス河合建築事務所)
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増築も含めた大規模な断熱リフォーム(サンケイ建匠)
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北海道建築指導センターの住宅相談ページから。山本さんも相談員として活躍している
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断熱リフォームの連載座談会はこちら

住宅リフォームの深層~住宅の寒さ・結露問題を業界人が語る(札幌座談会その1)

施工次第でタイルでも凍害。お勧めの外壁は? 札幌リフォーム座談会(2)

断熱・耐震性が低い住宅を暖かく安心な住まいに 札幌リフォーム座談会(3)




2015年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。