ともに北海道出身ながら、転勤で長く神奈川県に住んでいたTさん夫婦。ご主人の定年退職を機に北海道に戻り、2024年8月に終の棲家を建てました。
札幌市南区にある奥さまの実家のすぐ隣に建てたのは、26.6坪のコンパクトな平屋です。設計・施工は高断熱・高気密の家づくりに取り組む恵庭の工務店(株)キクザワが行いました。
ガルバリウムの一部に道南杉を使用した外観もTさんのお気に入り。キクザワとの家づくりについてお話をうかがいます。
家具はほとんど処分し、造作家具で統一感ある内装に
新居は18.4帖のLDKと夫婦の寝室、趣味室のシンプルな間取りです。木のぬくもりを随所に感じる内装ですが、持っていた家具のほとんどは処分し、ソファや椅子以外の家具をキクザワで造作してもらいました。
テレビボードとテレビ背面のアクセントウォールは、タモ材とレッドオーク材を使用した造作家具です。
ダイニングテーブルや、キッチンカウンターなどもキクザワのオリジナル。天井などに加えた木製ルーバーもアクセントとなり空間を引き締めています。木の色合いに統一感があり、とても落ち着いた印象の居心地の良いダイニングです。
北欧テイストの幾何学模様をあしらったタイルが印象的なキッチンは、カウンターや吊戸棚も使い勝手に合わせて設計されたオーダー品です。
ダイニングテーブルそばには食料品の備蓄に大活躍のパントリーを、リビングの奥(写真右手)には1帖分の収納を設けました。たっぷりと収納スペースを採ったことで、LDKがいつもすっきりして、使い勝手がよいそうです。
簡易防音を施した趣味室では、夫婦で楽器演奏を
寝室は約10帖で、奥に間仕切り壁を活用した夫婦それぞれのクローゼットがあります。ベッドもキクザワによる造作で、クローゼットの壁とベッド幅がぴたりと合ってすっきり見えます。ベッドの脚もロボット掃除機が通れる高さにしてもらいました。
こちらはご夫婦が親しみを込めて「趣味室」と呼ぶ部屋です。モニターで映画を見たり、趣味の楽器を楽しむために設けました。
Tさん夫婦は以前一緒にバンド活動をされていて、ご主人はギター、奥さまはキーボードを今も楽しんでいます。そこでこの部屋には防音ドアを取り付けてもらい、簡易的な防音室にしました。
モニターで映画を楽しんだり、パソコンを使って曲作りをするため、モニターを置くためのカウンターも造作してもらいました。壁から壁までの長さとなるため、難しいかと考えていたTさんですが、実際の仕上がりを見てその長さと出来映えに驚いたそうです。
キクザワとの家づくりについてうかがいます
Q 家づくりのきっかけは?
退職に合わせて札幌に戻って家を建てようと決めたのが、定年の2年前になります。当時は神奈川に住んでいて、直接北海道に足を運ぶことができなかったので、インターネットで調べて家づくりのパートナーとなる会社を絞り込んでいきました。中でもとくに「iezoom」のサイトはとても活用させてもらいました。地域ごとに住宅会社が分かれて紹介されているので、そこから地場工務店を探したり、それぞれの工務店のつくる家の記事は大変参考になりました。結局、大手ハウスメーカー3社、北海道の工務店3~4社から見積もりを取り、吟味していきました。キクザワさんもその中の1社でした。
Q キクザワを選んだ理由は?
高断熱・高気密の性能の面はもちろん重視していました。また、一度北海道に来てオープンハウスの見学をしたのですが、そのとき木を活かした造作家具が得意であること、設備や間取りが大手メーカーに比べて自由度が高く、柔軟に対応してもらえると感じて、最終的にキクザワさんにお願いすることにしました。
Q 家づくりでの要望は?
これから年を取っていくことを考えると2階建ての家を建てるのは抵抗があり、暮らしやすい平屋を希望しました。また、オープンハウスを見学した際、キッチンや天井や床材、造作家具などを見せてもらって素敵だなと思い、同じように造ってもらいました。そのおかげで、自分たちが思い描くような家ができたと、満足しています。
Q 冷暖房は何を選択しましたか?
冷房はエアコンで、暖房は床下を利用した温水セントラルヒーティングです。各部屋の窓際の床にスリットの入った通気口があり、床下の放熱器から暖かい空気が上がってきます。それぞれの部屋にパネルヒーターがあるよりもすっきりしていていいですね。
Q キクザワとの打ち合わせは?
遠方に住んでいたため、打ち合わせは主にメールでのやりとりが中心だったのですが、何度か担当の菊澤専務にこちらまで来ていただきました。工事が始まってからも実際に現場に確認に行けたのは、基礎の検査と竣工時だけだったのですが、キクザワさんは現場写真をたくさん送ってくださったので、細かく確認できて遠方でも安心できました。
Q 家づくりを振り返っての感想は?
自分たちの要望をかなり採り入れていただき、2年に渡って細部まで検討してきた家なので、とても納得して満足しています。久しぶりの札幌での生活ですが、やはり暮らしやすいですね。これからこの家で、ゆっくりと新しいライフスタイルを作っていきたいと思います。
【性能】
屋根 | グラスウールブローイング 500mm充填 |
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外壁 | 高性能グラウスール140㎜充てん+フェノールフォーム90㎜外付加
(高性能グラスウール換算 323mm相当) |
基礎 | ビーズ法ポリスチレンフォーム外側120㎜+内側60㎜ |
土間 | ビーズ法ポリスチレンフォーム60㎜ |
窓 | APW430 PVCサッシ・Low-Eトリプルガラス |
換気 | ダクト式第3種換気システム |
気密性能 | C値0.17㎠/㎡ |
外皮平均熱還流率 | UA値0.15w/㎡k |
耐震性能 | 耐震等級3(許容応力度計算による) |
写真 studio9 中原一雄
2025年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。