ダクト式第3種換気システムを採用する上で感じる不安や疑問を5つまとめ、住宅専門紙・北海道住宅新聞編集部に回答してもらう企画。今回は前回に続く完結編をお届けします。第3種換気システムへの疑問もこれでスッキリしますよ!
目次
<前回までのおさらい>
前回の記事では、第3種換気システムが冬寒いという噂は本当だが、換気設計の工夫で和らげる方法があることと、便利な部材が発売されていること、またトータルコストで第1種換気と第3種換気を比べると、第3種換気の方が若干有利なこと、さらに第3種換気のメンテナンスはラクなことをお伝えしました。
完結編となる今回は、残りの2つの疑問について、北海道住宅新聞編集部が答えます。
Q4. 高断熱・高気密の家には第1種換気が良いと聞きますが、あえて第3種を選ぶメリットは何ですか?
A4.メンテしやすく、性能を長期間維持でき、維持コストも安いなどメリットはいっぱい!
第1種熱交換換気のカタログなどにある「熱交換効率80%」という性能値は、風量設定や圧力損失などの条件を吟味した値です。取り付ける住宅には、高気密住宅でもわずかなすき間があり、外で風が吹くと、すき間から家の中に外気が侵入し、室内の空気が押し出されて漏れる(漏気)現象が起こります。この漏気は、熱交換換気で熱回収できない純粋な熱ロスとなります。
北海道住宅新聞2011年11月25日号、12月5日号に掲載した「高性能住宅Q&A」では、C値0.1のような超高気密住宅ではカタログ値に近い熱交換効率が見込めるものの、平均的な住宅の性能であるC値1.0では外で風速6mの風が吹いたときの漏気量が0.4回/時あるため、機械換気の換気回数0.5回にこの漏気量0.4回を加えた0.9回が実質的な換気回数となってしまうことを紹介しました。
そうすると熱交換効率80%の熱交換換気を入れても熱回収できているのは0.5×0.8=0.4回分なので、換気回数0.9回のうち0.4回分しか熱回収できていない計算です。
一方、第3種換気の場合は室内が負圧になるため同条件でもC値1.0で漏気量が0.19回、0.5だと0.04回に激減。そしてC値0.36で理論上漏気量は0回になります。第1種熱交換換気は、超高気密住宅でないとカタログ値の性能を発揮できないのです。
またダクト式第3種換気はメンテナンスがしやすく、しかも長期間の使用で性能が低下しにくいメリットがあります。メンテナンスコストの安さや工事費の安さなども含めるとダクト式第3種換気の方が魅力的です。
Q5. 第3種換気システムは、北海道の全館空調と組み合わせても効果を発揮しますか?
A5.全館空調と第3種換気システムで相性の良い組み合わせがあります!
全館空調は、高性能エアコンで作られた温風や冷風を専用ダクトや床下空間などを使って各部屋に配分し各部屋に設けた吹き出し口から送り込むことにより、家全体を24時間暖冷房するしくみです。
最近、ハウスメーカーを中心に採用する住宅が徐々に増えてきています。北海道の夏の暑さは年々増してきていますが、全館空調は夏も快適な室温を維持できることが最大の売りです。
全館空調とダクト式第3種換気を組み合わせる場合、温風や冷風の吹き出し口付近に第3種換気システムの給気口を配置することで、外気と吹き出し口からの空気が混じり合い、第3種換気システムの弱点である「冬は給気口から冷気が入る」を気にならなくすることができます。
北海道住宅新聞2023年2月15日号では、全館空調「コンフォート24」を開発・販売する(株)システック環境研究所と、第3種換気システム「ルフロ400」などを販売する日本住環境(株)、断熱材メーカーのアキレス(株)、高性能樹脂サッシのYKK AP(株)の4社が協力し、高断熱・高気密で全館空調をする快適省エネ住宅「エクセレントハウジングシステム(=エクシス)」を開発したことを紹介。
エクシスは地場工務店が高断熱・高気密住宅を実現し、全館空調を導入するための仕組みとして評価され、2022年度省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞を受賞しました。
リンク エクシスホームページ
<まとめ>
北海道で長年使われてきたダクト式第3種換気システムも、時代に合わせて少しずつ変わってきています。総合的に魅力ある換気システムとして、これからも多くの方に選ばれると予想しています。
この記事は連載コラム「住宅用24時間換気システムを考える」の第12回です。
「住宅用24時間換気を考える」シリーズ
24時間換気を住宅に設置することが法律で義務づけられていますが、「どこにありますか?」と住んでいる人に聞いても、「えーっ?どこにあるんだっけ」となることも。それぐらい、わたしたちは24時間換気のことを意識せずに生活しています。ところが、コロナ渦をきっかけに、24時間換気の果たす大切な役割がクローズアップされてきました。
そこで、住宅用24時間換気システムの開発・販売を長年行っている日本住環境(株)の協力で、24時間換気の役割から北海道に適した換気システムの選び方、メンテナンスなどをわかりやすくまとめ、連載記事としてお届けしています。
シリーズ「住宅用24時間換気を考える」
第11回 「第3種換気システム」5つの疑問に住宅専門紙が答える!
第10回 工夫次第で冬も寒くない!?「第3種換気システム」を調べてみた
第9回 北海道でも人気上昇中!夏も冬も快適な全館空調ってどう?
第8回 理想の換気システム~建材メーカーがダクト式第3種換気を推す理由
第7回 空気の汚れが見える!CO2モニターをリビングに置こう!~24時間換気を使いこなす~
第6回 24時間換気のメンテ問題を解消する取り組み 林基哉教授に聞く(2)
第5回 新型コロナの感染拡大防止に役立つ24時間換気 林基哉教授に聞く(1)
第4回 10年以上使い続ける24時間換気システム。掃除のしやすさが超重要!
第3回 電気代が高い! 24時間換気システムを止めたら節約になる?
第2回 住宅の空気をきれいに~24時間換気を「性能・メンテ・価格」で比較~
第1回 【熱交換換気or第3種換気】住宅の換気システム、どっちを選べばいい?
2026年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。