和風住宅で会社を選んだわけではない?
雪や寒さに強い石州(せきしゅう)瓦の屋根に、杉の下見板を使ったMさん邸。夕暮れ時には丸窓の障子からもれる淡い灯りが映えて、和のおもむきを感じさせます。
お寺も近くにあり、ちょっとした下町の風情が感じられる立地。
純和風の家が好きで北一タカハシ建設さんに決めたのですか?
Mさんご夫妻に伺ってみると、「いえ、違うんですよ」。意外な答えが返ってきました。
一生住む家として何が大事かを考える
こちらは、玄関から続くホールを兼ねたご主人の趣味の部屋。高校生の息子さんと男2人で憧れていた薪ストーブ、そして目を惹く上品なミニシャンデリアがあります。釣りの仕掛けを手作りしているそうで、「職場の仲間と海へ行くんですよ。サバやカジカなどが釣れますね」とうれしそうに話してくれました。
ご主人は公務員。長い転勤生活の後、ようやく念願の一軒家を構えることになりました。土地は、通勤や交通の利便性を考えて購入したそうです。
「わたしが"なんとなくいいな"と思っていたのは、ナチュラルアンティーク系の家でした」と話す奥さん。中には契約間近まで進んだ別の住宅会社もあったとか。「けれど、どの会社も『良いことばかりを言うけれど本当なの?』と思うことがあって。自分たちで調べてみたら、家の構造などに疑問が出てきて結局やめてしまいました」
10年や20年で飽きてしまうような家は要らない、何十年住んでも味があるような、一生住むための住まいが欲しいと考えたMさんご夫妻。そのためにも基本構造や性能を重視した「本物の家づくりをしてくれる」会社をインターネットで探しました。特にご主人は"しっかりとした梁(はり)の見える家"を希望。
そうして見つけたのが、在来(木造)軸組工法で宮大工が家を造る北一タカハシ建設さんでした。
現しの梁(はり)がアンティークでナチュラル
部屋の吹上天井には2本の大きな梁が重厚な存在感を放っています。欄間(らんま)には、「せっかく宮大工さんが建てる家なので、つくってもらいました」と社寺建築で見られる飾り彫刻もありました。
リビングにある造作の対面カウンターで高橋社長と談笑するご夫妻。
奥さんがポップな柄のチェアを合わせて、カフェ風のカジュアルな空間になっています。キッチン裏の収納棚は、ビビッドな黄色を選択。
ナチュラル系志向だったMさんご夫妻は、北一タカハシ建設さんの和風住宅をどのように感じたのでしょうか。
「特に違和感はなかったですね。こういった感じも素敵だなと思いました」と奥さん。ご主人も「ほかと似たようなスタイルの家よりも、外観に個性があるのはいいですよね」と、すでに愛着をお持ちの様子。
「建築中は、毎日仕事帰りに現場を見に来ていました」とご主人。「わたしも物づくりが好きですから、家が出来ていく過程を見るのは楽しかったです。大工さんたちもいろいろ親切に説明してくれました」。同時に、ご夫妻の要望も伝えていったそうです。
完成間近の時には、キッチンわきの壁にあった横長の窓を「あと少し下げたら手稲山が見える」という奥さんの希望で付け直してもらいました。さらに高橋社長の提案で、玄関の庇(ひさし)裏には杉板を張りました。当初の予定にはなかったのですが、家の美観を重視してとのこと。ちなみに、追加料金は発生していないそうです。
換気や暖房もエコにこだわり「パッシブ換気」
ご家族の食事は、奥行きをたっぷり取ったカウンターでいただきます。「(反対側にある)サイドの窓からは手稲山が眺められますし、前のリビングには息子や夫がくつろいでいる。こうしてキッチンに立っているのが、私のいちばん好きな時間です」と奥さん。
リビングルームにも、杉板の吹き上げ天井に、がっしりとした木の梁が組まれていました。天井の半分には、ひと部屋分の広さがあるロフトが設けられています。
Mさん邸は、自然な空気の流れを利用したパッシブ換気システムを採用。和紙クロスの効果もあって、新築時から家のニオイはまったく気にならないそうです。また、全室がヒートポンプによる温水床暖房で、真冬でも十分な暖かさを保ちます。環境にもやさしく、光熱費が節約できるのもポイントです。
和を生かしつつ、使い勝手の良さも追求
社宅暮らしの長かった奥さんは生活のしやすさ、使いやすさを追求しました。玄関にもそのアイデアが生かされています。
写真の玄関は、ケヤキの上がり框(かまち)に坪庭がしつらえてあり風流な印象ですが、実はもうひとつ、隣に家族用の玄関を設けてあります。とっさの来客に靴の乱れを気にする必要もなく、壁一面に設けたシューズクロークのおかげで季節ごとに入れ替えをする必要もありません。
「引っ越しが多く、社宅の狭さもあって大きな家具はまったく買わずにきました。これからは、少しずつお気に入りの家具をそろえたいと思っています」と話す奥さん。ご主人も「これから自分で棚を作る予定です」と、大工さんに色に塗ってもらったという木材のストックを見せてくれました。"我が家"の完成からまだ半年。一生の住まいを手に入れ、さらに充実させていく楽しさがMさんご夫妻の姿から感じられました。
記者の目
北一タカハシ建設さんといえば「宮大工の造る本格的和風住宅」と思っていましたが、和の重厚さとカジュアルな空間がバランスよく調和したMさん邸は、より身近に感じられました。 また、美しい飾り窓やシャンデリア、芸術品のような信楽焼きの手洗いボウルなどは、社長が折々に仕入れたストック品から選べるものだとか。何万円、もしくは何十万もするものを選んでも、最初の建築費からの追加料金はありません。身近なところで素敵な小物インテリアを選べるのもありがたいですね。2014年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。