寺社建築を主に手掛ける北一タカハシ建設さん。いつも取材に伺うのは個人の住宅ですが、宮大工が手掛けるだけあって鑑賞をさせてもらっているような気持ちになります。
その中で、空間を引き立てる上質なインテリア小物も魅力のひとつ。オーナーさんに聞けば「北一さんにある在庫品から選んだものです」という答えが。
いったい、どんなものが並んでいるんでしょうか。
それなら、会社を訪問してみよう!とさっそく北一タカハシ建設さんへ。
場所は札幌市の白石区。特徴的な和風のつくりですぐに分かりました。
入ってみると敷地が広く、積まれた大量の木材にビックリ!奥に見えるのは宮大工などの職人さんたちが働く第二作業所。さらに第三作業所もあります。それぞれの建物にも木材が所狭しとストックされていました。
樹種はスギにケヤキ、青森ヒバ、ヒノキ等々。さらに価値ある古木までと、銘木店どころではない目の保養になるお宝の山です。
案内していただいた高橋社長によれば、ある業者さんから訳ありで「(木目の美しい)杢単板貼のフローリングを1500坪すべて引き取ってくれないか」という打診があったとのこと。「北海道・札幌で和風建築を手掛けているところは少ないから、うちに来たんでしょうね」と高橋社長。ほかにも銘木材など「和風住宅に使われそうな木材・建材は北一タカハシ建設さんへ」という言葉が木材販売店の業界であるらしく、より安く仕入れることができるのだとか。
現在、北一タカハシ建設さんでは、青森県にある明治25年ころに建てられた築120年のお寺の建て替え・再生を任されているそうです。こちらはいったん解体して持ってきた飾り彫刻の一部。長い年月ですすけていたものに洗いをかけて汚れを落とし、今はウレタンの下地材を塗ったところ。塗り職人の石田さんは銘木塗装60年の大ベテラン。こんなところにも"お宝の職人"がいらっしゃいました。
特別に見せてもらったのは、札幌市三吉神社の山車(だし)彫刻を手掛けた時(詳しくはこちら)の仏師による下絵の一部。いやあ、すごい迫力です・・・
思わず本題を忘れるところでした。高橋社長、個人住宅に使うインテリアの在庫品を見せてください!
「どうぞ、いろいろありますよ」と、まず見せていただいたのは彫刻欄間(らんま)のごく一部。定価を聞いたところ「すみません、使うのは遠慮します」と言いたくなるお値段ですが、これも木材販売店さんから在庫オーバーのため安く譲ってもらったそう。しかも、欄間を含めたこれらの在庫品、どれを選んでもすべて建築費に含まれます。「これらの商品の売価が赤字になっても、家全体で我々は利益を出せばいいわけです。だから、こういった良質な資材や品々をご提供することで、少しでもオーナーさんに還元したいと思っています」と高橋社長。
こちらは焼き物の洗面ボウル。
展示会などへ顔を出しては、社長の目利きでまとめ買いをして安く仕入れるのだそうです。
画像でお分かりの通り、在庫スペースにはかなり無造作に商品が置かれていますが、ひとつひとつを見ると「これは結構なお品で・・・」と手に取って眺めたくなる逸品ばかり。
なるほど、こちらでNさん邸(記事はこちら)にあった
信楽焼の洗面ボウルや、
ドアの飾りガラスや、(こちらもたくさん種類がありました)
LEDシャンデリアが(実はかなり高価)選ばれたのですね。
ほかにも、北一タカハシ建設さんには鉄職人さんに依頼して造ってもらった造作パーツや、レンガ職人さん製作の花台などもありました。
日本の伝統建築の良さと美しさを伝えたい、そのために個人の住宅であっても完璧を求めるという社長の姿勢と、すべてに上質なものを使いながらもコストダウンを図れるカラクリに、「参りました!」という気分です。
2014年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。