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和室の良さ再認識!札幌に本格茶室がある家/アシストホーム

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「天井構成が3種ある茶室をやったのは今回が初めてだよ」と話すのはこの道40年以上の大工棟梁、原田末吉さん(65)。
「茶室も10数件手掛けたけど、ここまで細部にこだわったのは初めて。「通常の和室は天井裏に入り込めるけど、ここは気密住宅なので気密施工した天井の下に、新たに茶室天井を組まければならなかったのが、一番工夫が必要で難しかった」天井が低く目視できるので、ボロがあるとすぐ目につくのでそこは特に気を使った」と当時のご苦労をお話しいただきました。

仕事ぶりを感謝されたのでは?とお聞きすると「感謝したいのはボクの方。それはそうだよ!自分が今まで大工をやってきてこんな仕事ができたんだもん、これは巡り合い、本当に幸せだった」
高揚しながらオーナーさんとの出会いに感謝していた原田さん。機会があれば、ぜひまた挑戦したいと熱い思いをお話しいただきました。

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こちらの美しい茶室の持ち主は、表千家※1の教授者であるオーナーさん。
茶道を始めて30年ほど経ってもなお、さらに稽古に励みたいという専心な思いから、2016年3月に「茶室」のある家を実現させました。建物本体が完成したのは2015年の12月ごろ。しかし茶室はまだ未完成。資材の取り寄せを待ちながらの居住だったそうで、竣工までの間、徐々に完成する茶室を眺めながら過されたそうです。

当時の様子を語ってくれました。いくつかの住宅メーカーに足を運んだり電話で相談しましたが、茶室は技術的に特殊ですから、予算内での施工は難しいと数社から断られました。そんな中、オープンハウスで出会ったのがアシストホームさんです。茶室の構想を練った展開図を見ていただいきましたが「できます!」という頼もしいお返事をいただけました。決め手は私たちの話に真剣に耳を傾けてくれたことです。設計士さんはお若い方で茶室を手掛けたことのない方でしたが、いちから一緒に勉強してくれたことがとても嬉しかったです。

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趣を重んずるという茶道の世界。その流儀にそって、ひとつずつ施工をすすめたそうです。
今回は茶室の事はあまりわからないという方にも茶の湯の「わび」「さび」を感じていただけるように-茶道用語 ミニ辞典-を用意しましたので、読み合わせながら日本伝統である「茶道」の美しさに一緒に触れてみませんか?

茶室の間取り

茶室の間取りとは平面構成をいい、畳の数と敷き方、炉※2の切り方、そして床(とこ) ※3と出入口の位置で決まるそうです。オーナーさんの茶室は四畳半切(よじょうはんぎり)の出炉※4と言われるもの。

床の間近くに設けた雪見障子は石垣張りになっていて、その名の通り石垣を組むような張り方をされています。その主張しすぎない装飾が、慎ましい茶道の世界の美しさを際立てています。雪見障子を全開にすると、縁側のように使用できるそうで、随所にオーナーさんのこだわりが見受けられます。

天井にも「真行草」

天井には多様な素材が使用されていますがこちらの天井、高さが3段階あるのに気がつきましたか? 3種それぞれに意味があるそうで、美意識の表現として広く用いられる【真行草】(しん・ぎょう・そう)の世界が茶室の天井にも取り入れられているそうです。

正客が座る場所の天井は平天井(ひらてんじょう)※5と言い、杉の薄い板を編んだ網代(あじろ)天井にしました。一段下げた落ち天井(おちてんじょう)※6は、もてなす側の亭主が座る場所で、一段低く作ることで客に対して謙譲の気持ちを表しています。ここには葭(よし)編んで仕上げています。そして屋根裏がむき出しの状態を表現した傾斜がある駆け込み天井(かけこみてんじょう)※7は、そのほかの客が座る場所。こちらは北山杉の磨き丸太を化粧母屋に使い、竹竿を組んでいます。
平天井との境目の垂れ壁には北海道産の辛夷(こぶし)が樹皮を残したまま渡されています。

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水 屋

こちらは茶の湯のための茶道具を整える場所です。住まいで言えば勝手、台所にあたります。両脇に茶道具を収納できるスペースが設けられていて、扉を開けると金箔を張られた様な金色の装飾が施してあり、見えないところに煌びやかな配色をするところがまた、表千家のゆかしい「わび」「さび」を感じます。

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日常と非日常を分ける「にじり口」

"にじる"という動作は現代の日常生活ではほとんどしない動きですよね。茶室の出入りに使う「にじり口」※8はおよそ2尺3寸の高さ(約70cm)が標準で、人ひとりがやっと潜って入れる大きさ。 にじり口の前には踏み石という少し大きめの平らな石が置かれていて、かがみながら反動をつけて中に入るそうです。 皆が同じように頭を下げなければ入れない、茶室に入れば皆平等であるという意味が込められているそうです。

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オーナーさんが最後にお話し下さいました。

「茶道では茶せんを振る姿が注目を集めがちですが、窯を掃除して錆びないように扱ったり、掛け軸も傷つけないように巻き上げられないといけないなど、人の目には触れることのないような仕事をきっちりとこなす事が大切です。

退職したらお弟子さんをとる事があるかもしれませんが、今はとにかく自分が楽しみたい。私は先生に恵まれていろいろな事を教えてもらいました。いつかこちらにお招きして恩返しをしたいと思います」

記者の目

近年、和室の施工が減少傾向にあります。今回初めて「茶室」を拝見させていただきましたが、趣のある室内を眺めていると、畳や障子など和室というデザインそのものが、斬新で新しくモダンに感じました。騒がしい日常を忘れてゆったりとした気持ちで過ごせる和の世界。和風テイストを盛り込んでの家づくりもまた、大変魅力的なものになるのだと改めて感じました。  

-茶道用語ミニ辞典-
※1表千家(おもてせんけ)...茶道流派の一つ。千利休を祖とする千家の家督を継いだ 千家流茶道の本家。
※2炉(ろ)...畳の一部を切って床下に備え付けた囲炉裏
※3床(とこ)座敷において掛物や花入れなどを飾る場所のこと
※4出炉(でろ)...点前畳(てまえだたみ)※9に接する畳に炉を切る事。対して点前畳に炉を切る入炉(いりろ)がある。
※5平天井(ひらてんじょう)...天井面が水平になっているもの
※6落天井(おちてんじょう)...平天井に高低をつけて二段づくりとなっている場合、低い方の天井の事を指す。一段低くすることで下座を表す。
※7掛込天井(かけこみてんじょう)...屋根裏の構成を室内に見せて傾斜天井になっているもの。
※8にじり口...客のために設けられた片引き戸の小さな出入口
※9点前畳(てまえだたみ)...抹茶をたてる作法を点前というが、茶席で亭主が茶をたてる位置の畳のこと

2016年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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