北渡建設で新築し、今年9月に入居したIさん。最大の特徴は4層のスキップフロアプラン。このプランに至るまでは、6年にわたるIさんと北渡建設との「縁」があります。
玄関土間とペットスペースの不思議な関係
床から土間の高さまで掘り下げた階段下のペットスペース、1階、吹き抜け階段の踊り場、踊り場から出入りできる書斎、そして2階と、Iさんのお宅は内部が4層構造のスキップフロアになっており、玄関を入ると大工さんの丁寧な仕事ぶりが感じられる造作収納家具や建具が出迎えてくれます。
玄関からすでに木の温もりたっぷりなI邸。上がり框(かまち)はステップがついており、小さな子どもでも上り下りしやすい造りになっています。左手には一面に大容量の靴収納があります。右手にも靴収納...と思っていましたが...。

玄関側の扉を開くと、中には愛犬のトイレスペース!ここは、リビングの吹き抜け階段下を利用したペットスペースにつながっているのです。ペットの排せつ物をトイレに運ぶ際に、なるべく室内を通りたくないという要望からこの形が生まれたそう。これなら部屋を汚す心配もなく、スムーズに処理が出来そうです。
吹き抜け階段と三角形のダイニングがつくり出す伸びやかで明るい1階





吹抜け階段の踊り場に謎のドア。まるで秘密基地のような書斎でした!


敢えて床の高さを踊り場より高く、2階より低くした遊び心を感じさせる設計は、まさに「大人の秘密基地」といった趣です。
2階は収納を完備した個室をしっかり確保

腕の良い大工さんが集まる北渡建設。デザインの工夫と共に、高級感のある美しい仕上がりには目を見張るものがあります。まずは実感されている「暖かさ」についてうかがいます。
床暖、北面トリプルガラス、日差しが入る設計で「暖かさ」実感

また1階ダイニングの腰窓、キッチン、洗面脱衣室、2階主寝室など、北側の窓にはトリプルガラスを採用し、開口部からの冷気対策も万全。キッチンと玄関土間には床暖房が入っています。
暖房費についてうかがうと、以前住んでいた2LDKのアパートの時と比べても、同時期で同程度ということです。本格的な冬を迎えても快適に過ごせそうです。
「隠す」だけじゃない!機能性・デザイン性に優れた造りの良さに感激







要望以上の出来栄えに満足。随所につくり手の想いを感じる家
I邸では、北渡建設ならではの腕の良い職人の仕事をあらゆる場所で確認することができます。次はそんな事例をいくつか見ていきましょう。

リビングドアは担当の老川さん自らがデザインした制作ドアで、ドアノブには南部鉄を使ったハンドルを採用しています。こちらもスリットが入ったデザイン。
テレビの壁面照明の受け台やダイニングの照明レールも老川さんによるオリジナル。豊富な経験と老川さんの抜群のセンスで、唯一無二の作品を生み出しています。
唯一、プラスの要望で来客用の手洗いスペースを希望していたIさん。玄関ホールのトイレ手前に、こちらもタイルをあしらった手洗いスペースが設けられています。
函館の地がつなげた不思議なご縁。6年かけて築き上げた信頼関係
まるでカフェの特等席のような居心地の良いこちらのダイニングで、北渡建設さんとの家づくりについて、Iさんと担当の老川さんに改めてお話をうかがいます。
「僕が家を建てたいと大将に話したら『俺が家建てた会社の社長さん、紹介してやろうか?』と言われて。札幌なんですと伝えると、『いやいや、息子さん札幌でやってるから』と。そんな経緯で出会ったのが渡部社長です」。
北渡建設は、東京の有名工務店で日本の伝統的な建築技法「数寄屋造り」の腕を磨いた渡部会長が、約30年前、函館で腕利きの大工と2人で創業した工務店。小樽の老舗旅館・銀鱗荘の大規模改修工事でも中心的な役割を担い、多くの邸宅や有名旅館、料亭などを手掛けてきた本格和風住宅を得意とするビルダー。地元函館でもその腕の良さには定評があります。
「僕も函館出身。そして函館は仕事でも担当エリアだったので、行く機会も多くて。出会いから6年ほどの間、家づくりや土地について、色々相談させてもらいながら個人的なおつき合いが続きました。最終的にはこの土地を決める際にも相談させてもらい「すこし変形土地だけれど、環境はベスト(奥さまのご実家の隣で自然豊かな閑静な住宅街)。それは即買いでしょ!」と社長に太鼓判をもらいました」。
元から北海道の気候に合った家づくりができる地元ビルダーに施工を依頼するつもりだったというIさん。数社にプランを出してもらった中で、最終的に北渡建設に依頼を決めた理由についてうかがうと、社長とできた信頼関係に加えて、札幌の担当者が「見ている方向性が一緒で、寄り添ってくれたことだった」とIさん。
「実際に住み始めてからも、『こういう家が欲しかったんだね、私たち』と改めて実感しているくらいです」という言葉に、その真意がうかがえます。
シンプルな要望の奥を探り、その先を引き出す提案力が施工依頼の決め手に

「ご要望がシンプルだったので、初めのプランは本当に試行錯誤、苦労した記憶があります」とは担当の老川さん。プランを見ることで、「気づき」が出てくるのではということで、初回打ち合わせから1か月後に老川さん渾身のプランが提示されました。
老川さん「コンセプトは「山」。景色の良い山の中腹に建つ家なので、窓からその風景を眺めることができるよう、大きな窓のあるダイニングと階段ホールを提案しました。また、予備間が必要ない、書斎が欲しいというご要望があったので、吹き抜け階段に子どもが遊べる広めの踊り場を設け、書斎にいるお父さんと会話をしたり、奥さまがキッチンからその様子を見守ることができたら、家族のコミュニケーションが生まれるのではないかということで、吹き抜け階段のあるこのプランをご提案しました」
ご夫婦ともにこのプランが気に入って、施工の依頼に至ったそう。その後、プランは様々な変更があったものの、このダイニングと吹き抜け、書斎などの基本形は変わらなかったと言います。
老川さん「結果的にミルフィーユのような家になりましたが、それも、山が連なっているイメージに合っていて、良い家が出来たと思います」。
Iさん「担当者が老川さんで本当に良かった。『暖かい家』くらいの要望しか出していない中で、本当に良い家を考えてつくってもらいました。大事に住んで、永いおつき合いをさせてもらえればと思いっています」。
記者の目

ニレの床材や木の収納など、温もりたっぷりな中にもモダンで凛とした要素を感じるのは、和風建築で磨いた「日本の伝統美」が自ずと表現されているからかもしれません。お父様も日本家屋の大工さんだったというIさん。Iさんと北渡建設さんとの出合いに深いご縁を感じた取材でした。
2018年12月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。