札幌市西区。緑豊かな住宅街に北渡建設で新築したOさんのお宅を訪ねました。ご夫婦と設計担当の老川さんにお話を伺います。
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外観は京都の町家を連想させるようなモダンな造り。弾性塗り仕上げの外壁は2階が刷毛引き、1階はうずまきと凝った仕上げで、格子に見立てたルーバーはバルコニーの目隠しにもなっています。
2階にリビング・ダイニングを設け明るさとプライバシーを確保
希望したエリアに見つかった土地は南向きの好立地でしたが、敷地面積は40坪を切る狭小地。老川さんの提案でより採光を確保しやすい2階リビングのプランになりました。
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階段を上がると広いオープン・キッチンがあり、その奥にリビング・ダイニングが広がっています。
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リビングの天井はヒノキを使った羽目板仕上げ。床はタモの無垢材です。ダイニングの天井は間接照明を施し一段低くなっていて、天井の美しい木目が照らし出されています。
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ヤナギの天板を使った大きなダイニングテーブルはOさんご夫婦が気に入って購入したもの。老川さんおすすめの曲げワッパを使ったペンダントライトとの相性もばっちりです。奥さまの希望で壁面にはパソコン使用や書き物に便利な作業カウンターを造作。向かって右端にある白い障子戸が収まっているところは収納になっています。
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障子を閉めるとスッキリとした空間に早変わり。障子はあまり存在感を出し過ぎないように桟(さん。障子の骨組み)が隠れるよう、表にも裏にも障子紙を貼った太鼓張りとしました。
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バルコニーは高い壁で囲われており、外からの視線を気にすることなくバーベキューや水遊びが楽しめます。開放感を出すために設けられた縦格子の一部は雪捨てのための扉も付いています。サッシは無機質な印象にならないよう無垢材でカバーされていて、細部まで丁寧な仕上がりです。
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畳スペースにはリビングから一段下げ、そのスペースを活かし引き出し収納を確保。中にはお子さんの着替えやオムツなどが一式入っていて、重宝しているそうです。
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畳スペースには京寺をイメージした円窓を提案。からし色の和紙を張った壁面によく映えています。窓越しに見える格子も良いアクセントになっています。
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円窓には障子が仕込んであり、閉めるとまた違った雰囲気が楽しめます。バルコニー側の大きな開口部にはご主人が使う文机が用意されていて、ノートパソコンや書き物ができるようになっています。家族と生活時間が異なることもあり、ご主人はこのスペースで寝起きすることもあるそうです。
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ソファの背面にはDVDレコーダーなどが収まる引き戸棚を造作。スマホの充電などもここで出来ます。まるでアイアン手すりのように見えるのはなんとパネルヒーター!裏は階段室になっており、お子さんの落下防止に提案されたもの。
こだわりのキッチンをはじめ水回りの使いやすさを追求
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「夫婦二人で料理を何品も作ることができる広いキッチンを希望していました」とOさん。キッチンの天板はエイジングしたコンクリートのような風合いが魅力のキッチンハウス社のグラフテクト・べトングレー色を採用しました。
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器が好きで、陶芸市にもよく行くのだそう
「まだ子どもが小さく外で食事やお酒を楽しむことが難しいので、お店のカウンター席のような感覚で、子どもが寝た後につまみやお酒を楽しんでいます」とご主人。キッチンには料理好きのご主人が立ち、カウンターには奥さまが座ることも多いそう。
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背面には大容量の収納が設けられています。ゴミ箱は収納と同じ面材を取り寄せ製作したオリジナルで、移動に便利なキャスター付きです。隅々まで美しく整理整頓された引き出しに思わずうっとり。
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奥さまの希望で実現したキッチン横のランドリー。洗う、干す、たたむ、アイロンがけをするといった一連の作業がここで完結するようになっています。
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ランドリーの横には洗面・脱衣室が続いています。ゆったりサイズの洗面化粧台を設け、鏡はフラットなものを希望しました。歯ブラシ専用のニッチ棚も奥さまの希望です。
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トイレの天井には外壁にも使っている飫肥(おび)杉を貼りました。
1階は趣向を凝らした玄関などデザイン・収納ともに充実
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玄関は4.5畳のシューズ・クロゼットがあり、こちらは家族玄関にもなっています。中には靴はもちろん、タイヤやベビーカーなども収めることができます。
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ドアを閉めるとこんな感じ。上部は間接照明が施されていています。上がり框までの段差も相まって、天井・床ともに2層になったデザイン。
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アパレル関係にお勤めのご主人は衣装持ち。約5畳ある大収納のウォークイン・クロゼットは使いやすいようパイプ・ハンガーの高さや配置にこだわりました。有孔ボードにディスプレイしながら収納を楽しんでいます。
北渡建設との出合いで叶った納得の家づくり
お子さんの誕生をきっかけにマイホーム購入を考えるようになったというOさん。実は他社のハウスメーカーと仮契約まで交わしていました。
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プランが進むにつれ何か希望を伝えるとひとつひとつがオプションという扱いになり、決まった枠組みの中で妥協したり、諦めたりする場面が続きました。「一体誰のために家づくりをするのか。一生に一度の大きな買い物なのだから、納得した家をつくりたい」と強く感じるようになったといいます。
そんな矢先、札幌良い住宅.jpの中で北渡建設のホームページにたどり着き、和風建築の美しさに魅了されたOさん。早速公開中だったモデルハウスを訪れ、そこで担当の老川さんに出会います。
「この世の終わりみたいな顔で入って来たご主人にビックリしました。この人どうしたんだろうって。家づくりは楽しいはずなのに、すごく辛そうで。とても印象に残っています」と老川さん。ご主人はそのくらい家づくりに疲れ果て、希望を失っていました。
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「気密・断熱・換気などの住性能の高さに加え、デザイン性も重視していました。もともと京都の町家などに興味があり、自宅にも和風モダンを採り入れたかった。おじいちゃんになってもカッコいい家が理想でした。担当の老川さんはイメージをその場でラフに描いてくれて、それがとても分かりやすく好印象でした」とご主人。ここなら希望する家が建てられる。契約していた会社と契約を解消し、北渡建設に依頼することを決めました。
「老川さんは私たちの24時間の行動をヒアリングした上でプランを出してくれ、コンセントやスイッチ、トイレットペーパーホルダーの高さなども一つひとつ実際に確認しながら決めてくれました。大変丁寧で思いやりのある対応でした」とOさん。
「住んでいると何万回と繰り返される動作なので、使いやすい位置でないとストレスをためることになりますから」と老川さん。
続けて、「私が担当するお客さまは大変かもしれません。数回の打ち合わせで双方が納得のいくプランを決めることは難しいし、お客様のことを全て理解するには至りません。そのためお客様には当社にたくさん足を運んでいただきます。そうやって会えば会うほど、よく話せば話すほど満足いくものが出来上がると思います。お客様だけでなく私自身も、限られた中で100点を目指して家づくりをしているので、自分自身が納得できない家は提供したくないと思っています」。
記者の目
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障子の開閉や引き戸の移動によって部屋の印象や見える面が変化する様子は大変興味深く、窓の格子や障子の太鼓張りは、中からも外からも美しく見える上、目隠しの役割も果たします。
オーナーの希望を汲み取り、さらに高みを目指して創意工夫した匠の技を随所に見た取材でした。
2019年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。