中古住宅の売買が盛んで、建てた時より高く売れることもある欧米諸国とは異なり、日本では木造住宅の場合、築20年で価格が付かなくなってしまうのが現状。20年後、30年後に家を手放さなければならなくなった時、ローンが残っていたら、借金を抱えたまま家を出なければなりません。そうならないために、20年以上経っても売れる住宅を建てたいものです。
築20年の家を売るためには

記録残すことが大切 道立北方建築総合研究所 居住科学部長 福島 明さん

施工写真あると早く売れる
北方型住宅サポートシステムは住宅の情報をずっと保管しておく仕組みで、図面や設計性能、現場の施工写真などが記録され、ほぼ完璧なデータとして約50ページの書類が電子情報になり、半永久的に第三者機関に保管されます。施工写真を撮っておくと、販売価格はどうなるかわかりませんが中古で売買する時に早く売れるといいます。それは不動産業者が自信を持って売れるからで、記録がある住宅は圧倒的に早く売れるそうです。 住宅の資産価値の維持について言えば、100年の耐久性は至上命題ですし、今では築15年の住宅にもプライスが付いているので、性能がしっかりした"売れる住宅"を建てておけば確実にリセールバリューが出ます。住宅を維持して100年以上使うことは孫の代まで残すことと同じと言われていますが、それは幻想。結局は売買して次のオーナーが入居するわけですが、その人が「この住宅はお買い得」と思えば高く売れるんです。その時のために必要なのが、高い耐久性や断熱・気密性能など性能・価値を証明する手段であり、住宅の情報をずっと保管しておく仕組みなのです。
福島 明さん Profile-----
1953年11月生まれ。1976年北海道大学工学部建築工学科卒業。
1978年北海道大学大学院博士課程前期修了。同年北海道立寒地建築研究所(現北方建築総合研究所)入所し、2007年から現職。住宅の断熱・気密・暖房・換気などの現実的な課題に取り組み、家づくりに関する様々な情報を建築技術者や一般消費者に広く提供しているほか、現在の北方型住宅には立ち上げ時から参画し、技術基準の設定や技術者の育成にも携わっている。工学博士。
お役職は当時のもの
連載・住宅の正しい購入法
その1 10年経てば新築住宅も見た目がダサくなる問題~住宅デザイン
その2 住宅の暖房費、光熱費は将来どうなるか 住宅の省エネ・創エネ
その3 家を建てる人で間取りを学ぶ人は1割。「将来部屋が余る」問題
その4 資産価値が20年でゼロになる住宅、20年後も売れる住宅の違い
その5 工務店・ハウスメーカーが倒産?苦い経験から学ぶ住宅会社選び
その6 住まいの維持費を安く抑える賢い家作りとは
その7 正しい住宅購入法「街が変わって暮らしにくくなる」問題とは
2009年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。