家を建てた後の維持費なんて想像したことがないかもしれませんが、家にも維持費がかかります。建設費をかければ維持費がかからない家ができる場合もありますが、子育て世代としてはほかにお金の使い道もある。また、外壁サイディングが色褪せて再塗装が必要、トイレのシャワー便座が壊れた…。残念ながらこれらは住宅の『消耗品』扱いですから、『10年保証』の対象外です。
基本は高断熱・高気密
ピカピカの新車だって、何年か経てば古くなります。3年で乗り換えれば必要なくても、5年、7年、9年となると車検のたびに交換部品が出てきます。ボディ塗装のツヤもやや落ちて...。長く使うということは、そういうことです。 住宅は車よりさらに寿命が長い。また家族の生活サイクルから考えて、10年後にリフォームや部品更新で100万円単位のお金がかかるのは、正直きつい。とは言え10年も経てば寿命になる部品もあります。電球程度ならいいですが、外壁材、暖房・給湯器、シャワー便座あたりは、10年以降は徐々に寿命を迎えます。 1つの方法として、分譲マンションと同じように、『修繕積立金』を定期預金などで毎月積み立てるという方法があります。もう1つは、できるだけ寿命の長い建材・設備を最初から選んでおく、という方法です。しかし良いものはお高いのが世の常。予算に余裕がない場合は、この方法もいいとは言えません。 最もお金がかかるのが、基礎や建物の骨組み、断熱構造などに欠陥がある場合です。これを直すとなると、100万、200万円単位のお金がかかることは間違いありませんし、その費用が出せなければ、不満でもガマンするしかありません。欠陥であれば施工した住宅会社に修繕を依頼できますが、多くの場合、もめます。 基本はしっかりとした住宅構造をつくってくれる住宅会社に工事を頼む、またはそういう会社の建売を買うことです。基本構造がしっかりしている住宅とそうでない住宅との価格差は、30万円~50万円くらいです。しかもその価格差は、消費者には見えません。仕様やプランが全く同じならともかく、そんなことはあり得ないし、広告費や人件費など住宅の価格は複雑だからです。 手ごろな価格で長持ちする家、建材・設備は、プロに聞いてみましょう。親身になって相談に乗ってくれる住宅会社、設計事務所がきっとあります。<写真上:耐久性をうたう最近の外壁材(スコープ住まい) 写真下:リフォームの需要は多種多様(スコープ住まい発行の小冊子)>
素材を選ぶことも重要
札幌市 (株)スコープ住まい 代表取締役社長 柴田 哲雄さん
当社では壁や屋根などの外回りのリフォーム依頼が多いですね。築10~15年で外壁に薄手の窯業系サイディングを張ってる住宅を見ると、内心「ビジネスチャンスだ」と思います。耐久性が劣る「コーキング防水」と「釘留め」式だからです。コーキングの硬化による亀裂や釘穴から水分が入り込んで冬場に凍ったり融けたりを繰り返し、劣化しやすいのです。一方、モルタル外壁は無数のひび割れが入っていて具合悪そうな築30~40年の住宅を見かけますが、丁寧に建てた家で、メンテナンスを定期的に行い、全く問題が無い家もあります。最近は、30年保証の塩ビ樹脂サイディングなども手ごろになりました。素材などを選ぶことで耐久性は大きく変わります。
室内ドアを取り付ける枠材や巾木は、昔の住宅ではラワン材を使っていました。柔らかい材料で寸法も狂いやすく傷みやすいのですが、最近は木目調シートを使った新建材が主流で、こちらは質感は今ひとつかもしれませんが狂いにくくて耐久性があります。
不具合をなるべく初期の段階で発見して早めに手当てをすることも大事です。放っておくと取り返しがつかなくなることがあります。当社などのリフォーム会社や、施工した住宅会社に早めに相談することをお勧めします。
Profile-----
25年前に設立されたコープさっぽろホーム事業部でリフォーム事業を拡大。9年前に法人化して現在のスコープ住まいに変更時社長に就任、「あんしん・なっとく」をモットーに受注から施工・メンテナンスまで一貫して行っている。
スコープ住まい・ホームページ...http://www.scope-sumai.co.jp/index.html
連載・住宅の正しい購入法
その1 10年経てば新築住宅も見た目がダサくなる問題~住宅デザイン
その2 住宅の暖房費、光熱費は将来どうなるか 住宅の省エネ・創エネ
その3 家を建てる人で間取りを学ぶ人は1割。「将来部屋が余る」問題
その4 資産価値が20年でゼロになる住宅、20年後も売れる住宅の違い
2009年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。