家を買ってから20年もたてば、建ててくれた住宅会社がなくなることはそう不思議ではありません。問題は建てて数年で会社がなくなってしまった場合、特に倒産などで住宅供給者側としての責任を問えなくなってしまった場合です。家を買う前にどんな準備をしておくべきか、買ったあとの注意点は? 備えあれば憂いなし。
まるへんの苦い経験から
もう30年近く昔の話なので、悲しかった体験も笑い話に変わりました。しかし両親にとってはまだ笑えないかも。
お恥ずかしながら30年近く前のこと、実家の増築工事が始まってから建築会社が倒産し、高基礎工事が途中で止まってしまいました。わが一家は仮住まいが大幅に長引き、両親は工事を続けてくれる会社を探し、金策にまわり、それはたいへんだったようです。
こんな恥ずかしい話をしたのは、建築途中や、築後数年の倒産・廃業・撤退などは、地震や火事などによる被害よりも確率が高いかもしれないからです。
最近では姉歯事件がありました。法律が定める強度がないマンションを販売したH社は倒産し、マンション購入者は売り主の「瑕疵担保責任」を問えなくなりました。そこでできた法律が住宅瑕疵担保履行法です。この法律は09年10月から施行され、住宅に欠陥が見つかれば、建てた会社が倒産しても修繕工事の費用は保険などによってカバーされるようになります。
現代は激しい変化の時代です。建てた住宅会社が10年間残っていてくれることが、保証なども考えて何よりありがたいことですが、最低限、建て終わるまで残っていてもらうことが1番大切です。住宅会社がいい仕事をする会社で、欠陥もなく図面と違う部分もなければ、あとのことは『図面』さえあれば心配いりません。
それでは、なくならない会社を選ぶコツ、あるでしょうか。
大手なら安心という考えはやめましょう。それはただの思考停止に過ぎません。倒産はなくても北海道から撤退ということもあり得ます。また担当がいなくなれば住宅会社とのつながりは突然細いものになってしまいます。
過去3年間の決算書を見せてもらうというのは、1つの方法です。住宅会社の中には、求められなくても決算書を提示する会社もあります。
決算書というのは、会社のその年の損得を計算した損益計算書と、資産や借金の状況を見る貸借対照表が主なものです。これらをどう見るかは難しいですが、自分で勉強してみたり、決算書を読める人に相談したりという方法がいいでしょう。
契約の時に完成保証という保険に入るのも方法です。住宅会社が倒産しても、そのあとを引き受けて工事・完成・引き渡しまで保険会社が面倒を見てくれます。
まさかのための保険ですが、北海道では住宅会社側があまり薦めないようです。「おたくそんなに危ないの」と思われるのは心外、という気持ちだと思います。
大切なのはしっかりした図面
家を建てようと考えている友人がわたしに尋ねました。「先々、倒産の心配はないだろうか」
答えました。「先のことなどわからないよ。しっかりした図面を残して、工事を終えてくれればそれでじゅうぶん」これも実話です。
ではなぜ図面が重要なのでしょうか。
木造工法は、一部の特殊な工法を除いては、だいたい似たようにできていますが、完全に同じではありません。増築しようというとき、改修の時、構造がどうなっているかを図面を見るだけで判断できれば、費用はずいぶん少なくて済みます。ついでに写真があればもっといいでしょう。
つまり、しっかりした図面があることで、その家の構造がすべてわかるのです。ただし平面図程度では、ほとんど何もわかりません。
会社がなくなっていると、という前提で話を進めてきましたが、本当は施工会社が残っていても、担当社員がいなくなる、世代交代する、などが当然ある話ですから、しっかりとした図面が手元に残ってないと、あとあと困るのです。そうすると、会社がなくなる・なくならないにかかわらず、大切なのはしっかりとした設計図面一式、ということになりそうです。
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