長年住み慣れたお気に入りのマイホーム。快適な生活を維持していくためには、補修や改修、リフォームは避けて通れません。では、その必要に迫られた時、一体どこに依頼すればよいでしょう?
すぐに思い浮かぶのは、ホームセンターや住宅設備メーカーのショールーム、外装専門店などではないでしょうか。店頭に一般的な価格が書かれ、窓口もあるので相談に行きやすいのが特徴です。
では、工務店はどうでしょう?
地元密着、かつ一から新築の家を建ててきた豊富な経験・実績から品質面に対する安心感があります。ですが、「価格がはっきりしない」、「どんな工事に対応してくれるのか分からない」「いろいろな工務店があってどこに頼めばいいのか…」など、はっきりしない点が多く、相談しようにも「できない」「しにくい」のが現実です。
そこで、今回は豊平区を中心に多くのリフォームの実績を誇る建匠に取材し、工務店のリフォーム工事の実態についておうかがいしました。
工事の内容は大小さまざま。ですが、いずれにも工務店だからこそできる共通のポイントが見えてきました。
家づくりの経験を活かした工事に強み
1.依頼された不具合や傷みの修繕をする前にその原因を調べ、原因を取り除く工事も行っている。
これは、家の構造や建て方、経年劣化した時の状態などを熟知している工務店だからできること。なので、将来、同じ現象が起こるのを防ぐための工事も行うことができます。
2.お客さまの要望に対し、一歩踏み込んだ工事ができる。
例えば、リフォームの内容によっては部分解体を伴うケースも出てきます。その機会に、解体した壁や天井、床に断熱材を入れれば、室内の快適性を向上させることができます。また、解体によって新たな不具合が発見されれば、修繕につなげられます。
このように、お客さまが気づかなかった点を見つけ、「プラスα」の工事で家をより良く、より快適な状態に生まれ変わらせていくことが可能です。
3.効率よく作業を進められる。
たとえ補修する箇所が一つであっても、作業の内容によっては大工、板金、電気工事、設備関係、内装、外構といった専門の工事業者が入り、複数の工事が必要となるケースが出てきます。スムーズに工事を進めるには、全体の工程を把握し、各工事業者が作業を行う時期や資材納入のタイミングなどを調整して管理していくことが必要になります。工務店は普段から家づくりに携わっている経験から、そうした“監督”としての役割をすることができます。
では、以上のポイントを踏まえたうえで、実際に建匠が2021年に手掛けた8つの事例をジャンルごとに見ていきましょう。
雪の影響による外壁・屋根の傷み
①コストを抑えて軒天井の剥がれを修理
参考価格:6万円(税込)
【Before】
部分的に剥がれてきた軒天井を補修した事例です。
一見すると分かりづらいですが、角のあたり塗装の剥がれが見えます。
現場の状況を確認すると、屋根から軒先へせり出す雪や、その溶けた水などの影響で軒天井の表面が傷んだようでした。また、それにより引き起こされる可能性があるスガモリなど別の障害を防ぐために、軒先から20cmのところまでトタンのつなぎ目をコーキングで埋め、水の浸入を防ぐ措置を施しました。
【after】
軒天井の修理では、既存のものを剥がさず下地として活用。その上に鉄板を重ねて貼ることで、防水機能を高めました。
ちなみに、今回の工事は1階部分であったため足場をかける必要がなく、脚立で作業ができました。これにより、一般的な屋根の修理よりも大幅なコストダウンが実現しました。
②外壁の傷んだ箇所を集中的に補修
参考価格:320万円(税込)
【before】
こちらの家は、道路に面した南面の外壁が傷んだ状態でした。特に傷みがひどかったのが、角の部分と土台水切りから下に1メートルほどの部分です。はっきりとした原因は分かりませんでしたが、日当たりの良さ、落ちてきた雪による水の跳ね返りなど、複数の要因が重なったことによるものと考えられます。
「今回と同様の不具合が出ないよう、水に強い素材の壁にしたい」とのお客さまの要望で、既存の窯業サイディングを金属サイディングに張り替えることにしました。
一方、南面以外の外壁には、ほとんど傷みが見られませんでした。そこで、お客さまと相談の上、他の壁面は塗装をすることに。同時に、屋根も傷んでいる箇所を補修しつつ、塗装を行いました。
併せて、玄関ポーチの段差部分もキレイに補修しました。
畳の張り替え、部屋の換気口やお風呂の換気扇の交換といった室内の改修も行いました。
【after】
工事終了後の外観です。南面は、金属サイディングに張り替え、濃いブラウンの壁になりました。
改修箇所を1面のみに絞ったことで、すべての壁を改修するよりもコストを抑えることができました。
③断熱・防水対策で雪に強い屋根に
参考価格:105万円(税込)
【before】
経年劣化した屋根を補修した事例です。トタンの腐食が進んだ状態で、煙突の周りには、雪や融雪水の侵入を防ぐ「雪割り」もありませんでした。
お客さまは自分でコーキングをするなど応急措置に苦労されていたそう。この屋根が長年、悩みの種でした。
既存の鉄板は剥がさず、その上に断熱材を敷き詰めていきます。
その上に、防水シートを施工し、雪どけ水や雨水の浸入を防ぐ措置を施します。
【after】
最後にトタンを貼って完成です。
煙突には、「雪割り」を新設。積雪に耐えうる屋根に生まれ変わりました。
※この事例は2020年の工事になります。
④張り替えと塗装を組み合わせた外壁補修
参考価格:94万円(税込)※塗装費は含みません
【before】
外壁の傷んだ箇所を部分的に張り替えた事例です。
今回のケースでは、まず塗装屋さんがお客さまからの依頼を受け、その塗装屋さんが建匠に塗装以外の作業を依頼。それぞれの会社が「塗装」と「補修」の作業を分担して行いました。
傷んでいた箇所は、外壁の下の方。特に、三角屋根のところから雪が落ちやすく、外壁に当たって徐々に劣化したことが原因と考えられます。
こちらの家は、もともと全面が白の外壁でしたが、前に補修した際、下の部分にブラウンの外壁を重ね貼りしていました。
今回の補修では、後から重ね貼りしたブラウンの外壁を剥がし、窯業サイディングの外壁を新たに貼りました。
外壁の白の部分と屋根は、足場を組んで塗装屋さんが塗っていきます。
【after】
玄関周りと2階のくぼんだ部分の外壁と、1階と2階をつなぐ柱にも、下の部分と同じ木目調の窯業サイディングを施工。以前と同じ場所にアクセントを採り入れた外観に仕上がりました。
暴風雨による屋根の破損
⑤徹底した原因究明と雨漏り対策
参考価格:32万円(税込)
【before】
暴風雨の後、天井からの雨漏りが発生した事例です。
数年前、建匠が屋根を葺き替えたことがあるお客さまからの依頼でした。
まずは、屋根の上から水をかけ、雨漏りの原因となった箇所の特定を行いました。
その結果、屋根と庇が垂直に接合した箇所から雨漏りしたことが判明。その部分にコーキング処理を施しました。
屋根のコーキングは8月末ごろに行いましたが、室内の天井の補修は11月に行いました。
これは秋雨の時期の降雨を利用して、屋根から雨漏りがしないどうかを確認するため。万全を期した上で、室内の天井の工事を進めていきました。
【after】
最後に天井を張り替えて補修は完了です。
天井の右寄りにある継ぎ目から左側が補修した天井です。右側の既存の天井とほぼ同じ柄の天井材で施工したので、補修したことが分からないような仕上がりになりました。
⑥積雪期を挟み2回に分けて屋根を補修
参考価格:16万円(税込)
【before】
アパートの2階の軒先が暴風を受けて、めくれ上がった状態でした。
めくれた部分を元の形状に戻す作業を行っていきます。同時に、必要な箇所にはコーキングを施工します。
また、火災保険が適用されるため、その手続きも進めました。契約内容によって異なりますが、自己負担なし、もしくは一部の負担で補修費用が賄えることになります。
ここまでは応急措置として雪が降る前に行いました。残りの作業は雪どけを待って再開することになり、足場は一旦解体しました。
工事再開は22年10月になる予定です。
住環境を向上させる水回りのリフォーム
⑦浴室のバリアフリー化と断熱性アップ
参考価格:148万円(税込)
【before】
ユニットバスの交換を依頼された事例です。
脱衣室と浴室の間にある敷居を取り、バリアフリーにすることを要望されていました。
床をフラットにするため、土間コンクリートを解体して工事を行いました。
お客さまは中古住宅としてこの家を購入し、ユニットバスにリフォームして住んでいました。もともとあったタイル風呂の名残が見られます。
解体のタイミングで断熱材を入れ替え、お風呂の寒さ対策も行いました。
【after】
敷居をなくしたことで、浴室への出入りがしやすくなりました。
浴槽の脇の壁には手すりも設置。安心して入浴できるようになりました。
⑧既存設備を残しつつキッチンを使いやすく
参考価格:240万円(税込)
【before】
使いやすいキッチンにしたいとの要望で行ったリフォームの事例です。
30年以上にわたり、建匠がホームドクターとしてメンテナンスとリフォームを続けさせていただいているお宅です。
室内のものを全て運び出し、壁を剥がします。すると、排水管の破損が見つかり、一緒に修理することにしました。
「キッチンが寒い」というお客さまの話を聞き、壁と床に断熱材を入れ、窓のサッシも取り換えました。
【after】
ホーロー製の流し台は、お母さんの代からの思い出がつまったお気に入り。交換せずにそのまま活かしました。以前は窓に面していましたが、お客さまの使い勝手を考え90度回転。さらに、身長に合わせて下に5センチの巾木を入れてキッチン全体の高さを調整しました。
床もクッションフロアに変更。ポップなデザインにしたことで、キッチンが明るい空間になりました。
今回、紹介した事例のほとんどが、以前、建匠に何らかの依頼をした実績のあるリピーターのお客さまでした。施主と工務店が信頼関係を築いており、安心して補修やリフォームをお願いしていることがうかがえます。
また、他社の方が相見積もりでの価格が安かったものの、要望を最大限に取り入れてくれたという点から、建匠に依頼をした施主もいました。リフォームのプランがパッケージ化されている会社もありますが、工務店の強みは、依頼主の細かな要望やニーズに対応できること。大きな工事から小さな修理やちょっとした困りごとまで、幅広く親身になって対応してくれる点は、大きな安心感につながります。
家の修理やリフォームを考えた時、選択肢の一つとして「工務店」を考えてみてはいかがでしょうか。
2022年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。