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絶景を眺めるスキップフロアの家 定山渓H邸/丸三ホクシン建設


札幌の奥座敷、定山渓温泉にあるパン屋「ヴェルジネバッカーノ」は、行列ができるほどの人気店です。小麦粉や牛乳、卵などの素材は北海道産にこだわり、手造りの石窯に薪をくべて焼いています。その店主のHさんが定山渓らしい豊かな自然を見渡す場所に家を建てたのは、2022年の冬のこと。



リビングからは眼下に流れる川や深い森が見渡せます。Hさんはこの場所に脚立を置いて上っては、この絶景をこの角度、この高さで眺めたいと試算。自ら構想を描き、いくつかの住宅会社に持ち込んで相談することから家づくりが始まりました。



施主が持ち込んだプランを受け止めてくれる設計者は多くありませんでしたが、イメージできるスケッチをすぐに描いてくれたのが、丸三ホクシン建設の設計・プランニング担当の兼田さんでした。



丸三ホクシン建設は木造住宅の外張り断熱工法「SHS工法」と大工の技能向上による省エネ性能の向上を重視していて、断熱性の高い家を望んでいたHさんには、その点でも合っていました。

今回はHさんと丸三ホクシン建設の家づくりを紹介していきます。

くつろぎの空間がつながる4層構造


リビングからは、2階のフリースペースと1階のキッチンが見渡せる。


Hさんはご夫婦と3人の子どもたちの5人家族。この家は4層構造のスキップフロアになっています。1階にはダイニングキッチンと家族の寝室が設けられ、数段下がったフロアは子どもたちの居場所と収納スペース。1.5階がリビングで、さらにその上には寝室とフリースペースとして使っている小屋裏が2カ所あります。



「1階、2階と分かれるのが嫌で、すべてがつながっている空間にしたかった」と言うHさん。当初はフルフラットの平屋も検討していましたが、床面積が広い平屋だと予算オーバーになるため、スキップフロアの2階建てを選択。それぞれが別のフロアで過ごしていても、家族の声や気配が身近に感じられるのは、この構造のおかげです。



リビングと1階のダイニングキッチンなどは無垢の杉板を使っています。愛犬、麦ちゃんの足に負担が少ないよう、いちばんやわらかい床材を選びました。「SHS工法」は壁や屋根の外側に高性能の断熱材を張ることで天井が現しになるという利点もあります。

L字型キッチンからは滝の絶景が



キッチンをL字型にしたのは、奥さまの要望です。この家に引っ越す前に住んでいた借家のL字型キッチンがとても使い勝手がよかったのだそうです。L字型にすれば窓越しに、向かいの山から流れ落ちる滝が眺められるのも魅力でした。



「朝の景色がとてもきれいです。家事が面倒に思えるときでも、さあ、やろうかという気分になります」と奥さま。



ダイニングキッチンからリビング方向の眺め。リビング下は間仕切りのない共有スペースで、現在は奥が収納、手前は子どもたちの居場所ですが、家族の変化に合わせて使い方は自由に変えていこうと考えています。

豊かな自然環境を求め、定山渓へ

Hさんは本州出身ですが、中学生の頃、山村留学で洞爺湖(旧虻田町)に。料理の世界を志し、東京、フランスで勉強と修業を重ねます。そして食材が豊かな北海道に22歳で戻ってきました。



店舗運営やメニュー開発などの仕事を経て、もっと自然豊かな場所で子育てがしたいと考えたこともあって道内各地を検討した結果、辿り着いたのが定山渓でした。



縁あって川沿いの広い土地を手に入れることができました。まずは店を建てましたが、まだまだ土地があり、子育て環境の面でも、自然が豊かな定山渓は魅力的でした。家づくりに興味があったHさんは、イメージを投影した構想を何度も描き続けてきました。

一時は、ログハウスにも住みましたが、広くて見た目はよいものの、冬は寒く夏は暑いことを実感。断熱も大事と、断熱性重視のハウスメーカーや工務店を軒並み見て回ることにしたそうです。



丸三ホクシン建設は、断熱性能の良さだけでなく、公式サイトの自慢の大工というページで施工力が高いこともわかり、また自然素材の家づくりという点もHさんの希望にぴったりと適っていました。


ビングの眼下に流れる川面。


予算は決まっていたので、できるところは自分たちでと、家族総出で内壁を塗ったり、キッチンのタイルも貼ったそうです。

設計担当の兼田さんは「高さなどの寸法を決めたり、細かい微調整はしましたが、形はほぼ最初の図面のまま」と話します。

Hさんも「そもそも私の家へのイメージを理解してくれる住宅会社さんは少なかった。その点兼田さんはちゃんと理解して丁寧にカタチにしてくれた。建築中の現場も何度も見に行って、大工さんたちとの交流も楽しかった。期待通りの良い家ができて本当に良かった」と振り返ります。



竣工して1年が経ちましたが、寒さが厳しかった冬も快適に過ごせたといいます。玄関土間が床暖房なので出かける前に靴が乾いて暖かいのも良かったです。家が暖かいせいか、以前ほど日帰り温泉に行くことがなくなったそうです。

このリビングから、春の芽吹き、鮮やかな新緑、色づく紅葉、そして雪景色と、それぞれの季節が織りなす絶景を眺めながら暮らしていきます。

ヴェルジネバッカーノ
インスタグラム @vergine_b


2023年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

株式会社丸三ホクシン建設

株式会社丸三ホクシン建設

社員全員が大工。本物の注文住宅づくり

昭和49年創業、石狩市の工務店「株式会社丸三ホクシン建設」は、15人の大工を擁する技能者集団。「手づくりの家をお客様に」をモットーに、大工をはじめとする職人さんとお客様、設計企画スタッフが、力を合わせて一軒の家を作っていくことが基本姿勢。無垢材、レンガなど自然素材を活かした家づくりと、造作の収納・家具、オーダーのキッチンなども人気。日本建築大工技能士会で大工育成のボランティア活動にも取り組む。高断熱・高気密住宅の普及にも熱心で、木造住宅の外張り断熱工法「SHS工法」の会長も務める。

腕の良い大工が揃っている

住宅業界は大工の高齢化と人材不足が急激に進み、しっかりとした品質の家を建てたり、施主の要望に応じたきめ細かい大工仕事の実現が危うい状況になりつつある。プレカットやパネルなどを多用して合理化・省力化が進む一方、仕事が単純化しスキルを磨く機会が減っている、必要な時だけ声がかかる不安定な状況、先輩大工も若手を教えたり、建て主や近隣の方と丁寧に接する時間がないなどが原因になっている。

丸三ホクシン建設は、大工出身の首藤社長が20代のうちに建築大工一級技能士・職業訓練指導員・二級建築士・二級施工監理技士を取得し、職業訓練校の講師として教壇にも立っており大工に直接指導ができる。大工を通年雇用し直営施工、「墨付け」や「刻み」などの技能も先輩大工が丁寧に教える体制がある。現在は大工出身の現場監督、帳場が育ち、指導・調整役として現場のレベルアップを支えている。住宅の完成後は、全大工、設計担当などが現場に集まり、担当大工の仕事を検証、厳しい指摘も含めた意見交換を行うことで、緊張感と技術向上につなげている。また施工物件は気密測定で施工精度、性能面のチェックも行っている。

自然素材を活かす

丸三ホクシン建設は、住宅の断熱を高性能断熱材を外張りですっぽりと包み込む、SHS工法で施工。そのため、断熱・気密性能、耐久性能などの高さに加え、室内側に構造材の木材が現わしになる。室内の壁、天井など多くの場所に木の風合い、質感、そして大工さんの技の成果を見ることができるのも魅力の一つ。外壁板張り、ウッドロングエコの塗装、オーダーのキッチン、レンガや無垢材の活用、そして大工の腕が光る木製階段、収納、テーブルなど既製品にはない造作の魅力もある。