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社員大工が安心して「自宅」を建てられる工務店とは? 札幌市Z邸


丸三ホクシン建設は、大工を社員雇用し「墨付け」や「刻み」、断熱気密施工などの高いスキルが特徴の技能者集団です。

https://www.hokushin-k.jp/staff/
大工不足と高齢化が深刻な住宅業界にもかかわらず、腕の良い大工が約17名、若手、中堅、ベテランとバランスよく育っており、資格取得、技能向上に加え、大工のキャリアとして、棟梁、現場監督などステップアップできる体制も構築されています。



今回ご紹介するお住まいの建て主は、1998年、ホクシン建設に入社し35歳まで大工。現在は工事課長として活躍する膳亀さんです。

日雇いなども多い大工の世界では、収入や将来面の不安から、実は家を建てるのを躊躇する人も多い現実があります。大工が自宅も建てるには、途切れることのない安定した仕事と、本人の確かな職能、収入などが前提になります。

しかし、ホクシン建設は大工を社員雇用し育成し、管理職への道も用意しているため、同社の大工(現場監督含む)は、若い大工も多いにも関わらず、およそ5割が自宅を建設しています。

なお、同社は、社長はじめ、社員の自宅建設にあたって、性能、品質、住み心地などを高めるために、社員の自宅で、新製品や技術などを積極的に導入し、その検証結果をお客様への提案につなげるように心がけています。

膳亀邸では主に

・自然素材の活用
・高断熱高気密+創エネ=ZEH
・住み心地

などにトライしています。では早速ご紹介します。

自然素材の活用



玄関を入った上がり框に立つ柱は製材所で出会った立派な道南杉の丸太を150角の柱に製材したものです。



和室の障子も道南杉。窓も道南杉です。「道南杉は色味と柔らかい雰囲気が好きです。い草の香りがほんのり香る和室もぜひとも欲しかった。両親が泊まるときには利用してもらいたいと用意しました」(膳亀さん)



外壁も玄関まわりや壁の一部にも道南杉を採用しました。



床は無垢(ニレ)のフローリング、天井は梁現し、室内の壁は石灰岩を原料とするハミルトンウォール。



キッチンの背面はレンガ。「黒川大工が自宅を建てた時に家族でレンガを貼っていて、自分たちもそうしたいと思って。朝から始めて昼にはできましたし面白かった」(膳亀さん)



木製の階段も大工さんの腕の見せ所。



洗面化粧台やキッチンの背面収納などは、造作が得意な大工、阿部さんが製作。

断熱高気密+創エネ=ZEH



断熱・気密性能を確保するため、家全体を断熱材ですっぽり覆うSHS工法を採用。(丸三ホクシン建設の首藤一弘社長は、北海道SHS会会長でもある)

外壁はスタイロフォーム50ミリを2重に施工し、壁内に高性能グラスウール16キロを105ミリ充填。窓はアルゴンガス入りLOW-Eトリプル、基礎断熱はスタイロフォーム30ミリ、屋根は同175ミリを採用。外皮平均熱貫流率 UA値は0.24、気密性能C値の測定結果は0.2となりました。


太陽光発電は、コスパに優れるトリナソーラーを20枚、6.8KWを屋根に設置しました。

「まだ1年経過していませんが、光熱費総額を太陽光で全額賄う、というところまではいかないものの、光熱費負担はかなり減らせています」(膳亀さん)

住み心地

住み心地についても伺いました。



家の暖かさと暖房に関しては「マンションでは温風を浴びて暮らしていました。今は家の断熱性能が高く、ヒートポンプで冷暖房しているので室温がどの部屋も22℃から23℃くらいで安定していて、パネルヒーターによってゆるやかに加温されている感じなので、室内で風を感じません。入居した最初の冬は、温風を浴びるというわかりやすい暖かさがないので、なんとなく慣れない感じもあったのですが、今は、むしろ輻射熱なので快適です」(膳亀さん)



キッチンは天板の傷が目立ちにくいバイブレーション仕上げ、シンクの排水の位置が端に寄っているので洗い物の食器を置きやすい、水栓金具のデザイン、費用などの面を踏まえてTOTOを選択。お湯が早く沸くのでIHクッキングヒーターを選択。料理のしやすさを実感しています。



キッチンの横に脱衣所、クローゼットを兼ねたランドリールーム(乾燥室)を設けました。



「以前住んでいたマンションは寝室やお風呂場、ベランダなど家のあちこちに洗濯ものを干していました。干す場所を探す苦労、そしてなかなか乾かない生乾きのストレスは大きいですね。この家は屋外には干せない環境だったので、ランドリールームを設けました。乾くのがとにかく早くて、半日すればすっかり乾きます。干す場所を探す必要もありません。毎日のことなので、ランドリールームがあって本当によかったと思っています」(奥さま)

※洗濯物の乾きが早い理由
洗濯物の乾きが早いのは、室温が安定していることや24時間換気、そして気積=床面積×天井の高さがマンションの倍近いこと、木造住宅のため木材が水蒸気を吸放出していることなどが要因として考えられます。



最後に一言

奥さま 夫が施工に関わった家は見学会や、施工現場などもたくさん見せてもらっているので安心でした。床の塗装やキッチンのレンガ貼りなど、家族や親も一緒に施工体験ができて、要望も実現できて、愛着のある住まいが実現しました。



膳亀さん 要望をまとめて設計の兼田さんに伝え、最初に描いてもらったプランがよくてほぼその通りの家になりました。施工は久田大工が中心になってしっかりやってくれました。

追伸:ZEHの先駆けとなった光熱費ゼロ住宅 首藤邸もちょっと拝見



なお、冒頭でご紹介しましたが、丸三ホクシン建設は社長をはじめ社員の自宅で、新たな建材や技術を試し、その経験を家づくりに生かしています。

2008年に完成し首藤社長が14年暮らしている首藤邸。左が14年前、右が2022年。外回りはメンテナンスをほとんど行わずとも美観、品質を維持できています。

SHS工法による高断熱高気密住宅
太陽光発電パネルを24枚、約4.3kw
地中熱ヒートポンプ

も搭載した、当時最先端の省エネ、創エネ住宅です。



首藤邸では、14年間ずっと、年間の使用電力を計測しています。暖房、給湯、家電、照明などを全て含め、太陽光で発電した電力を自家消費した部分、地中熱ヒートポンプを稼働させた分を差し引きした上で、実際に家で使用した光熱費は総額で年間で11万円~13万円台の範囲で収まっています。

太陽光発電で余った電力を売る「売電価格」は年々単価が下がっています。数年前までは売電収入が年間で14万円を超えることもあり、光熱費負担は実質ゼロの家でした。



現在は買取価格が下がっているため、別な方策の1つとして、首藤社長の自宅で検証中なのが蓄電池です。蓄電池2台で合計14キロの電力を蓄えることができます。一日で消費する電力は17キロ前後なので、1日分の消費電力をかなり賄えます。日中発電した電力を使うことで、光熱費の自給に近い状態を実現でき、災害時にも家族の安全を守ることができます。



天井や床などの無垢材も14年経過。年数を重ねても劣化するのではなく、すこしずつ風合いが増していくのが自然素材の魅力です。

大工など社員が安心して自宅を建てられる社内体制の構築、そして自宅を建設する際に得た経験を今後の家づくりに生かす。そういった中長期のスパンでも家づくりのレベル向上に取り組んでいる丸三ホクシン建設です。

なお、2008年、新築当時の首藤邸の記事はこちら
首藤邸で光熱費ゼロ住宅を検証


2022年11月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

株式会社丸三ホクシン建設の取材記事