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ニセコ移住。ネコと自然の中で暮らすロフト付き平屋 ニセコ町・Yさん/アウラ建築設計事務所

今回、「ニセコで建てたオーナー様の素敵なおうちがあるので、見に来ませんか」と、アウラ建築設計事務所の山下一寛さんからお誘いがありました。海外からの観光客で賑わう地区からは少し離れた、静けさに満ちたエリアです。
aura0370t.jpg 大阪から娘さんの住むニセコへ。自然に囲まれた生活

オーナーのYさんは、息子さん、猫たちと暮らしています。ニセコの山々に囲まれたこの土地をあらわすような屋根の形と、大地の色を感じさせる外壁のシンプルなたたずまいが印象的。

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写真の右手前にあるのは、娘さんのおうち。ずっとスキーやスノーボードでニセコに通っていたという娘さんが、この地に惹かれて移住したのは3年ほど前。

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取材当初はくもり空でしたが、家の中へおじゃまするとかなりの明るさ。右側の壁に沿って、テラスに面した窓が連なっています。玄関から奥の部屋までが見える、見通しの良さもポイント。ネコちゃんがさっそく出迎えてくれました。数匹のネコちゃんが代わる代わる顔を見せます。

スキップフロアを効果的に使った、眺望重視の開放的な2DK aura0287t.jpg

Y邸は平屋にロフト付きの2DK。先ほどの玄関から張り出した壁は直接リビングやダイニングが見えない目隠しの効果もあります。壁の裏には、ロフトに上がる階段箪笥を造作しました。関西の町家で普及し始めたと言われる伝統的な階段箪笥を、山下さんは現代的にアレンジしました。

壁を山並みのシルエットのような形にしたのは、住み手らしさやその土地らしさを家づくりに反映する、建築家の山下さんならではのデザインです。

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Yさんの部屋は、リビングダイニングから4段ステップを上ったところにあるスキップフロア。部屋の外には桜の木が植えられていて、シーズンになれば窓越しに満開の花を楽しめます。また、部屋の隣には車いすでも入れる広さのYさん専用トイレがあり、愛猫たちのスペースも同じ高さに配置しています。

愛用のカーテンに合わせて窓のサイズを決める P1060448_ccr_s.jpg

ご主人の仕事の都合で、イギリスなどご家族で海外での暮らしが長かったというYさんご家族。息子さんや娘さんも子どものころはインターナショナルスクールで学んできました。Yさんは暮らしてきた土地で購入した家具や絵画などを、いまも大切にされています。なじみの物に囲まれた生活は、慣れない北海道の暮らしでも安心感を与えてくれます。

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ご主人が札幌市内の病院で療養しているため、今のうちにと大阪からの移住を決意されたYさん。アウラ建築設計事務所の山下さんは、大阪の家で使ってきたカーテンに合わせて窓のサイズを決めるなど、Yさんが大切にしてきた物への思いをくみとっています。連なった窓からは、晴れた日には羊蹄山やニセコ連山などの大自然の眺望が楽しめます。

窓に囲まれたキッチンスペースは眺めが抜群 aura0321.jpg

リビング・ダイニングの奥には、大きな窓に面した明るいキッチンがあります。実は、山下さんへの希望でとても重要だったのが、Yさんの部屋とこのキッチンの窓からの眺めでした。

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お料理をしながら、窓越しに四季が感じられるキッチン。北海道らしい樹木や、遠くにはニセコアンヌプリなどの山々も見えます。これだけの窓があって水仕事をしていても、キッチンスペースはまったく寒くないのだとか。

「イギリスでは、裏庭を見渡せるようなキッチンのつくりが普通だったんですよ」と話すYさん。主に、家づくりの打ち合わせはメールで行ったそうですが、この眺望を大事にするために、プラン時には山下さんとYさん親子3人が現地に集まって間取りの位置を決めていったそうです。

大容量の小屋裏とロフトで収納も安心、一部は部屋として使える工夫も P1060438_ccr_s.jpg

ニセコでマイホームを建てるのに、「ハウスメーカーのつくる家は、どれもありきたりに思えて」と話すYさん。どこにお願いしようか、とインターネット検索をした中「ピン!」ときたのが、山下さんが手がけた家でした。さらに、シニアにやさしい家づくりもしていることから、「平屋でも眺望の良い家を」とお願いしたそうです。

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家づくりの打ち合わせをするうちに、アウラ建築設計事務所の山下さんが必要と感じたのが、Yさんが海外生活で大切にしてきたものをしまうための、大きな収納でした。そこで、この家では片流れ屋根の大きな空間を利用して、小屋裏を収納に利用しています。また、ロフトは階段を上ってすぐ左側にあり、たくさんのものをしまっておけます。

階段を上った小屋裏の、奥まった突き当たりには一部屋として使える広いスペースもあります。小屋裏には天窓をつけることで、階下のLDをより明るくする効果も。

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小屋裏からLDを見下ろしたところです。右側がロフト。自然光だけでも、じゅうぶんに光が回る家になっていることが分かります。

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静かな暮らしを望んでいたというYさん。大阪では自動車やバイクの騒音が気になって、当時としては珍しい二重窓を取り付けたりしていたそうです。

「ニセコに住んでからまだ1ヵ月ですが、こちらはとても環境が良いですね。毎日を静かに暮らせるのもうれしい」と話すYさん。「行動力のあるうちに、こちらへ来てよかったと思っています。娘の家と行き来する渡り廊下も造ってもらいました。ネコたちも渡れるようにね」と、穏やかな微笑みを見せてくれました。

記者の目 P1060435_ccr2_s.jpg

シンプルでありながら、どこを見ても端正な美しさが感じられるYさん邸。上質で美しいものを見分ける目を持ったYさんのセンス、そしてお母さまの感性と静かな暮らしを大切にされる息子さんの願いに、山下さんが見事にこたえた形です。家のなかでの暮らしを楽しむために、とても大切な窓からの眺望、そのためにお母さまが暮らすスペースをスキップフロアにする工夫や、細かな部分までスムーズに動けるように配慮された設計も山下さんならではと思いました。

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