Column いえズーム コラム

十勝・帯広で高断熱・高気密住宅を建てた7事例

十勝の寒さに対抗できる家づくり

厳冬期はマイナス20℃を下回ることさえある北海道内でも特に寒さが厳しい十勝・帯広エリア。これだけ厳しい自然環境だと、断熱・気密性能の低い住宅で暮らしていると大変な目に遭います。例えば  

1 暖かい部屋が居間だけ。寒い部屋は使えない  
2 寝ている時に湯たんぽが欠かせない  
3 脱衣所が寒くヒートショックで命の危険  
4 年間光熱費が30万円を超えてしまう  
5 窓や壁の結露、カビに悩まされる

といった住まいの性能の低さが日常生活を直撃してしまうわけです。


そこで、十勝・帯広地区では、地元工務店・ハウスメーカーも、住宅の断熱・気密のスキル向上のために、住宅団体、企業、そして現場の大工・職人単位で、高断熱・高気密の家づくりを進めてきました。そのため、全国的に見ても住宅性能面で優秀な住宅会社が多いのが十勝・帯広の特徴でもあります。とはいえどの住宅会社でも大丈夫、ということではありません。

高断熱・高気密で快適&省エネ&エコ

高断熱・高気密で省エネ性能、住環境の良い家なら、家の中に寒い空間がない、光熱費が劇的に安くなる、結露やカビなどの悩みがない、ヒートショックなどの危険も減り、住宅の寿命も延びる、化石エネルギーの消費やCO2の排出削減が可能になるなどさまざまなメリットが生じて、冬の暮らしが快適になります。    

今回は、住宅の寒さ、光熱費負担問題を解決できたご家族の体験談と、その住宅会社の取組をご紹介します。

事例1 日中は暖房不要、夜間は掛け布団不要。窓も壁も暖かく、つい薄着で外出してしまうほど暖かい家/音更町・G邸

ご主人「十勝の冬はマイナス25℃も珍しくありません。どちらの実家も家は古く、寒い家で育ちました。そのため、新居は省エネで暖かい家が第1の条件でした。住宅性能が売りの地元住宅会社3社を候補にしました。猪子茂昭社長と父が知り合いだったこともありますが、猪子建設は住宅性能も高かったのです」



奥様「私は家を暖かくするには床暖房が決め手なのかと思っていたのですが違いました。この家の暖房は温水パネルですが、断熱性能が高いので玄関やお風呂も含めてどの部屋も十分に暖かいです。日中は暖房が要りませんし、寝る時も掛け布団がいらないほどです。


ご主人「Q値は1くらい。窓はトリプルサッシで断熱ブラインド、ハニカムサーモスクリーンもほとんどの窓に設置したので、窓まわりや壁際も寒くありません」

奥様 「家の中で寒い場所が無いので、ついコートを着ないで外出して、玄関を出た瞬間寒くて引き返すことがあります。家の中にいると、外の寒さを忘れるんです」

ご主人「農業・酪農地帯では屋外に洗濯物を干すと匂いや埃が付いてしまうので、室内干しをする家庭が多く、多くが日当たりのよい2階に物干し部屋を作ります。でも一階で洗濯して隣に物干し部屋があれば、洗濯物をすぐ干せます。1日で洗濯物が乾きます」


モダンデザインに優しい気配り 住み心地と暖かさに感激 十勝・音更町G邸/猪子建設

取材記事 モダンデザインに優しい気配り 住み心地と暖かさに感激 十勝・音更町G邸/猪子建設

十勝・音更町の畑作地帯。真っ白な雪原に、モダンな新築住宅がありました。お邪魔するとご夫婦がすぐにこの家の住み心地、魅力を話してくれました。 ご主人「東向きの玄関で、窓から明るい光が射し込みます。来客...

事例2 高断熱高気密+太陽光発電=ZEHの光熱費ゼロ住宅 音更町・猪子邸

施主の猪子真治さんは、十勝・音更町の工務店「有限会社猪子建設」の猪子茂昭社長の息子さん。断熱・気密性能を高い水準にし、同時に太陽光発電による創エネも導入、家計に優しい住宅を目指すネットゼロエネルギー住宅(ZEH・ゼッチ)の挑戦や、猪子建設が重視する、子育て世代向けの住まいづくりにも役立つ新製品やアイデアの導入も行っています。



屋根には8.26KW(キロワット)の発電ができる28枚の太陽光パネルを設置しています。この家は、国土交通省がZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の普及拡大を目指して進めている、省エネや地球環境に優しいゼロ・エネルギー住宅(地域型住宅グリーン化事業)の補助金を受けています。

外壁の断熱は、高性能グラスウールで280ミリ。窓もトリプルガラスを採用し断熱ブラインド(ハニカムサーモスクリーン)も導入、玄関ドアも高断熱仕様です。窓をトリプルガラスにして、ハニカムサーモスクリーンも設置すると、窓からの冷気はかなり少なくなります。

このように、猪子邸は、家全体の熱の逃げにくさを示す熱貫流率(UA値)で0.25W/m2・Kを切る高性能住宅で、しかも太陽光発電を取り入れています。


子育て+省エネ(ZEH)の注文住宅/猪子建設・猪子真治部長の自邸・音更町

取材記事 子育て+省エネ(ZEH)の注文住宅/猪子建設・猪子真治部長の自邸・音更町

工務店の社員は、自分と家族のために、どんな家を建てるのか・・・興味ありませんか? 家族の生活環境が第1 今回取材に伺った猪子邸は、2018年2月に、音更町の住宅街に完成しました。 施主の猪子真治さんは、十...

音更の工務店・猪子建設とは?

有限会社猪子建設は大工だった猪子茂昭氏が1987年に創業した十勝・音更町の工務店。創業から11年目までは大手ハウスメーカーの住宅を施工する仕事がメインだったが、現在はお客様から直接受注。札幌で大工をしていた息子の猪子真治氏も2011年に猪子建設に入社、取締役営業部長として活躍しています。

実際に猪子建設で家を建てた人に話を伺うと「希望を叶えてくれるだけでなく、プロの経験でさまざまな提案をしてくれるので、凄く居心地の良い家になりました」「家が暖かく省エネなのも良かったですが、子育て世代向けの配慮もうれしい」などの声も。主に十勝圏で営業しているが札幌でも住宅建設の実績があります。▶猪子建設

事例3 窓の断熱と日射取得をコントロール。ハイブリッド給湯・暖房システムで経済性も強化/音更町・N邸

ご主人「住宅の高気密・高断熱、そして光熱費の削減は家づくりのポイントの一つでした。窓はトリプルガラスを採用し断熱性能を強化。その一方で、日射取得が期待できる南面窓はペアガラスにすることで、日射取得も重視しました。リビングには、冬でも暖かい日差しが入り、家族が心地良く寛いでいます」



暖房はパネルヒーターをメインに、キッチンは床暖房、そして冷房用としてリビングにエアコンも設置しました。熱源は、ハイブリッド給湯・暖房システムを採用。空気の熱を利用する「ヒートポンプ」と、熱効率が高く、ガスを節約できる「エコジョーズ」の両方の機能を持ち、エコを実現するだけでなく、ガスと電気を自動で最適運転する経済性も高い暖房・給湯器です。


子どもを大切に見守る、省エネ&平屋の注文住宅 /音更町・N邸 株式会社石井建設

取材記事 子どもを大切に見守る、省エネ&平屋の注文住宅 /音更町・N邸 株式会社石井建設

ガルバリウムだけど手作業の優しい風合い Nさまファミリーが音更町内の住宅街に新居を完成し、引っ越ししたのは2017年7月でした。男の子2人の元気な声が聞こえるマイホームの住み心地を伺いました。 外観...

帯広の工務店・石井建設とは?

石井靖久社長は元大工。デザインや生活動線、採用する建材など、家づくりのほぼ全てを施主と丁寧に打合せを行い、心を込めて、施主の要望に向かい合う住まいづくりが特長。モダンタイプやナチュラル系など、施工事例を見ても、タイプはさまざま。丁寧な打ち合わせを元に行うプランづくりや、性能を重視した住宅施工が欠かせないため、年間3棟が理想と石井社長は考えています。十勝2×4協会会員 ▶石井建設

事例4 結露とカビが新築の動機 高断熱高気密住宅で悩み解決/帯広市・T邸



奥さま 夫婦どちらも実家は戸建て住宅だったので、戸建て住宅の方が好きでした。でも実際に家族で住んでいたのはマンションでした。さほど古い建物でも無かったのですが、結露とカビの問題に悩まされていました。また、家の中で子どもが飛び跳ねたりすると階下の人にご迷惑をかけるなど、集合住宅は何かと気も使うので、いつか家を建てようとマイホーム貯金も頑張りました。

奥さま マンションに暮らしていた頃に結露とカビに悩まされたので、その点は朝日さんにもたくさん質問、相談しました。この家は寒さも結露の問題もありませんでした。  

朝日 この住宅は外壁が高性能グラスウール140ミリですし、北側の窓はトリプルサッシを採用、気密性能も十勝2×4協会の会員として、日頃からしっかり取り組んでいるので、住宅の省エネ性能や寒さという意味では十分満足いただけると思います。

芽室の工務店・カントリーヴィレッジとは?

カントリー系、インダストリアル系の住宅が得意。十勝2×4協会会員として住宅の断熱・気密性能などにも熱心。朝日良昌社長は、20代は地場大手ハウスメーカーで住宅の購買を担当し、住設機器や建材の知識・建材価格などを習得、30代はデザイン力の高い住宅会社で設計・提案・現場管理などの経験を積み、2017年に芽室町で株式会社カントリーヴィレッジを起業しています。▶カントリーヴィレッジ

事例5 壁の断熱厚は18センチ。トリプルガラス入り木製サッシも。陽射しが暖かく居心地の良い家/音更町・O邸



O邸の断熱仕様は、ツーバイシックス(2×6)工法に付加断熱を併用し、壁の断熱厚が通常の住宅よりも1.5倍以上厚く18センチもあります。とかち工房では最近増えてきている仕様で、十勝の厳しい冬でも暖かく暮らせます。さらに、標準採用している断熱性の高いトリプルガラス入り木製サッシも快適な暮らしに役立っています。



  「実家に住んでいた時は、外を通る自動車のエンジン音や、家が高台にあるため風が通り抜ける音がよく聞こえたのですが、新居に移ってからはこのトリプルガラスのせいか、遮音性が良くてほとんどわからなくなりました。静かすぎるんじゃないかと思うぐらいです」とOさん。  
また、冬はリビングの大きな窓を通じて陽が奥まで差し込み、それで暖かいのだろうと言います。ひと冬過ごしてみて、全く結露したことがないそうです。

暖房は、灯油ボイラーによるパネル式セントラルヒーティング。灯油タンクに毎月タンクローリーが配送に来ますが、毎回半分も補充しなくて良いので、「予想以上に暖房費が安い」と喜んでいます。  

気になるのは建築費が予算内に収まったのかということですが、「予想以上にお安い価格で建てられました。木をたっぷり使っていてデザインも良いのですごく高い家だと思っていましたが意外でした」とのこと。


プランもデザインも望み通りの農家住宅で新婚生活 十勝・音更町O邸/とかち工房

取材記事 プランもデザインも望み通りの農家住宅で新婚生活 十勝・音更町O邸/とかち工房

Oさん夫婦は、十勝・音更町に住む新婚のカップル。結婚と同時に新居を完成させ、幸せな日々を送っています。酪農を営む父親の後を継ぐため、毎日忙しく働いているOさんにとって、家のデザインや性能はもちろんで...

音更町のとかち工房とは?

とかち工房は、後藤薫社長が長年の設計経験を生かし、2000年に設立した工務店。目先の流行を追わず、いつまでも飽きのこないデザイン、天然素材の積極的な採用や造作家具、凝った建具の加工など手作りを重視した質感の高いインテリア、十勝の気候条件を生かした断熱・気密性能が特徴です。▶とかち工房

事例6 断熱性能は国の省エネ基準の2倍近い値0.25Wで家じゅう暖か/芽室町・T邸



住宅の性能面では、140mm厚の断熱材が入る2×6工法をベースに、付加断熱としてニューハウスボード(アキレス(株))を使うことで、外壁はグラスウール200mm相当の断熱性能。冬も晴れることの多い十勝なので、日の当たる南向きの窓は日射を効率的に採り入れるためにペアガラス入りサッシの「エルスターS」((株)LIXIL)を採用。北面など太陽が当たりにくいところは、特に断熱性能の高いトリプルガラス入りサッシの「エルスターX」(同)を採用。こうした工夫により、断熱性能はUA値0.25Wを実現。これは国の省エネ基準の2倍近い断熱性能です。              



暖房は灯油FFストーブとエコジョーズを使った土間床暖房。トイレなどは、補助的にパネルヒーターも使っているので、家中どこも暖かです。「当社ではこのような断熱仕様にしてから、お客さまからたいへん好評です」と清水社長。長く住む家だからこそ、後で手を入れにくい住宅の基本性能はなるべく高くしました。


市販の収納カゴがぴったり!造作家具で悩み解決した家 十勝・芽室町 Tさん/プラスワイド

取材記事 市販の収納カゴがぴったり!造作家具で悩み解決した家 十勝・芽室町 Tさん/プラスワイド

子どもが産まれたのがきっかけ Tさんは本州、奥さまは道内出身で、1歳2ヵ月の息子さん、柴犬と暮らしています。   二人とも十勝の出身ではありませんが、この先も住み心地のよい十勝で暮らしたいと思ったの...

帯広のプラスワイドとは?

プラスワイドの清水英貴社長は元大工。「自分で設計した家を建てたい」と、2016年にプラスワイドを設立。2級建築士やBIS-Mの資格を生かした設計・施工力と断熱性能が特徴。外構や庭、物置、カーポートなども含めたトータルデザインを提案。女性インテリアコーディネーターによるデザイン力の高い住宅づくりが顧客から評価されている。2×6+付加断熱工法が標準でUA値平均0.27W。C値0.5cm2以下を保証。十勝2×4協会に所属。▶プラスワイドとは?

事例7 200ミリ断熱のQ1.0住宅。断熱性能アップしつつも「ミニマムスタイル」で予算内の家づくり/芽室町・K邸



十勝・音更町にある(有)水野建設は標準仕様を従来の120mm断熱から200mm断熱に変え、トリプルガラス入りサッシの採用などで光熱費を大幅に低減。道産カラマツなど天然素材をたっぷり使う代わりに、ほんとうに必要な部屋の広さ、使い勝手をプロの目で見極めた企画住宅「プロトタイプ」を考え、家の面積を最小限に抑えました。性能面では、Q1.0住宅として光熱費を大幅に低減。住宅の性能や質が大幅に向上しながら、建築費用は従来の住宅並みに抑えることに成功しました。



昨年末に引っ越して約1ヵ月。「アパート暮らしの時は寒かったけど、この家はどこにいても暖かい」と言います。断熱の重要性は、水野建設のオープンハウスに行ったときにじっくり説明してもらって納得したとか。200mm断熱を採用して大正解だったようです。

南側の大きな窓からは、冬でも暖かい日射しが差し込みます。
「晴れた日は暖房がいらないと思うぐらいで、暖房費も思ったよりかからないし、ほんとうによかった」とKさん。


薪ストーブに200mm断熱、地産地消の平屋 芽室町Kさん/水野建設

取材記事 薪ストーブに200mm断熱、地産地消の平屋 芽室町Kさん/水野建設

ミニマリストに向けた家を提案 「ミニマリスト」とは、最小限の上質で必要なモノだけを持ち、お手入れをしながら大切に使うことで、最大限豊かな暮らしをする人たちです。 手造り品や自然素材のアイテムは、そう...

音更町の水野建設とは?

水野建設はカラマツ材など十勝の自然素材を活かしつつ、無駄をそぎ落としたシンプルな空間。そして在来工法ならではのダイナミックが構造現し仕上げが特徴。ミニマリスト向けの企画住宅「ミニマムスタイル」も提案中。▶水野建設

最後に

断熱性能・省エネ性能は、断熱材の厚みや製品の仕様だけでなく断熱・気密施工の技術や丁寧さが性能に大きく影響します。住宅会社によって断熱性能向上に向けた勉強、努力を重ねているか、気密性能を測定しているか、そして太陽光発電やZEHの対応などへの理解度も異なります。 住宅会社のカタログやホームページに記載された断熱仕様・スペックだけで、省エネ性能の高い家を建てる住宅会社かどうかは、わからない面があります。住宅会社の実力を見極めて頂ければ、後悔のない家づくりが実現しやすいかと思います。

2019年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。