風や空気の温度差を活用し、自然の力だけで室内の空気をめぐらせる「パッシブ換気床下暖房システム」を採用しているエコットハウス(松浦建設)。
エコットハウスに建築・施工を依頼したNさん夫妻の新居は、札幌市内の住宅地にある奥さまのご実家に隣接しています。30代のNさん夫妻と2人のお子さんが暮らすお住まいを訪ね、Nさん夫妻とエコットハウスの松浦社長にお話を伺います。
母娘+松浦社長がアイデアを出し合いプランを形に
Nさん夫妻がマイホーム建築を考え始めたのは、子どもの成長とともに、住んでいたアパートが手狭になったことがきっかけでした。
奥さま 親が所有していた実家の隣にある土地に家を建てることは決めていました。ちょうど10年ほど前まで松浦建設で働いていた母から、パッシブ換気や高断熱・高気密の家づくりの良さを聞いていたこともあり、お願いすることに決めました。
2級建築士の資格を持つインテリアコーディネーターとして働いていたお母さまが、娘さんの好みをくんで作成したプランをベースに、松浦社長が高断熱・高気密で設計する二人三脚で家づくりがスタートしました。
松浦社長 通常は隣家の気配を感じにくい設計にするものですが、N邸は隣のご実家とゆるやかな繋がりのある設計を希望されました。例えばダイニングの窓からは、ご実家の庭が見渡せます。明確な間取りの希望があったからこそ実現した、Nさまらしい住宅です。
勾配屋根の明るいダイニング・キッチン
それでは、玄関から順に拝見していきましょう。
写真左/玄関ポーチには、ダイニングからウッドデッキに出られるテラス窓を付けました。
写真右/デッキ部分の木製階段は、奥さまのお父さまがDIY。娘さんが生まれた時に植えたというプルーンの木は、毎年実をつけるようになりました。
写真左/シューズクローゼットがある広々とした玄関。
写真右/リビング手前のルーバーは、大工さんがまるごと取り外しできるように造作してくれたそうです。
1階フロアは、階段とヌックを囲むようにLDKと洗面室、ユーティリティーを配置しています。
玄関ホールからLDKに入ると、右手にダイニングとキッチンがあります。「unico」のダイニングチェアのブルーがアクセントに。
松浦社長にとって思い入れがあるのは、ダイニング・キッチンの勾配屋根です。
松浦社長 ご実家とコミュニケーションが取りやすい北東側のダイニングを明るい空間にするため、勾配屋根に天窓を付けました。2階の壁につながる通気や防水を踏まえた屋根断熱を施す設計に苦労したので、とても印象に残っています。
ダイニングやキッチンのワンポイントになっている照明は、照明のオリジナルブランド「flame」のもの。
裏庭の家庭菜園に野菜を収穫しにいける、勝手口付きのキッチン。対面式でつながるダイニングともコミュニケーションがとりやすい造りです。
「LIXIL」のシステムキッチンは、アクセントカラーのブルーをチョイス。
キッチンの棚は、お父さまがぴったりのサイズでDIYしてくれたものです。
階段下のヌックを挟んで広がる吹き抜けのリビング
ヌックの奥に、吹き抜けのリビングが続いています。
リビングは2階フリースペースと空間でつながっています。グリーンに塗った手すりも良いアクセントに。
階段下を活用した秘密基地のようなヌックは、子どもたちのお気に入りスペース。正面の壁にはテレビがついています。お友だちが遊びに来ると、みんながここに集まるのだとか。将来は、本棚などに変えることもできる空間です。
リビングの横には主寝室があります。
壁紙やベッドカバーの色柄の組み合わせが素敵です。
キッチン奥にまとめた機能的な水回り
水回りはキッチン奥にまとめました。
奥さま 洗面台を開放的なスペースにしたかったので、あえて扉は付けませんでした。鏡の下に貼った薄いグリーンのタイルは名古屋モザイク製です。ミラーの枠やナラの床材といった少しずつ異なる木の色をつなぐ色を吟味した結果、洗面台の色はベージュを選びました。
洗面台の左手にある広いユーティリティー(写真左)は、家族の下着やハンカチ、パジャマもしまえる大容量の収納付き。奥のバスルームには、掃除がしやすいように鏡や棚は付けていません。洗面台の右側にはトイレ(写真右)があります。
2階のフリースペースはヨガや洗濯干しに大活躍
吹き抜けに面した2階のフリースペースは、奥さまが趣味のヨガにも使っている広々とした空間です。
壁に取り付けた室内物干しワイヤーを使って、シーツなど大きなものも干すことができます。
2階はフリースペースの他、2室の子ども部屋で構成されています。こちらはブルーでまとめた息子さんの部屋。
一面だけ黒板シートにしており、壁全面を使って絵が描けるので、小さな画伯が大胆にお絵かきを楽しんでいました。
こちらは、かわいらしい娘さんの部屋。
パッシブ換気の採用で夏も冬も省エネで快適
N邸には、エコットハウスが推奨しているパッシブ換気が採用されています。床下に取り込んだ外気は、床のガラリや壁の通気口を通じて室内をめぐり、最後は2階天井の排気口を通って排出されます。初めての冬を越して驚いたのは、光熱費の安さだったそう。
エコットハウスのパッシブ換気
https://www.ecot-house.jp/passive/
奥さま 以前住んでいたアパート時代よりも部屋数が増えているのに、暖房と給湯も含めたガス代は、当時よりも安い1カ月2万円台に抑えられました。
試行錯誤の末、昼間は床下暖房の温度を20℃に設定。就寝時だけ少し下げて、一日中つけ続ける使い方に行き着いたそうです。
一方、夏は2階のフリースペースにエアコンを付け、冷たい空気が下に降りる性質を利用して吹き抜け天井のシーリングファンで空気を回しています。
【記者の目】
ネパール出身のご主人は、ネパールカレー店の店主として腕をふるう料理人です。新居に越してから、友人やお子さんの友だち家族がたくさん集まるようになったのだとか。時にはカレーをふるまうこともあるそうです。
裏庭にある家庭菜園はご主人が手入れしているそう。
ご主人 ブロッコリーやカボチャ、ピーマンやトウモロコシをはじめ、たくさんの野菜を育てています。毎朝、子どもたちが大喜びで収穫しています。
すぐ隣のご実家とも気軽に行き来できるのも魅力。とても居心地のよいお住まいでした。
写真:本田 光
記事:布施 さおり
編集:iezoom 松下 綾
2025年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。