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4ヵ月で6万円以上安く! オール電化光熱費の節約リフォーム/札幌市Mさん

安いはずの電気代がメチャ高騰

深夜電力料金の引き下げなどをきっかけに、北海道内では2004年ころから「暖房給湯一体型電気ボイラー」が発売され、大いに人気となりました。給湯用の電気温水器と暖房用の電気ボイラーが一体になった製品で、最盛期は1年で2000台は売れたようです。


2007年に発売されたフルオートタイプのシステム図(メーカーpdfからとりました)


このころの電気料金は、深夜電力が1kWhあたり4.97円、暖房用の電力(ホットタイム22ロング)が1kWhあたり6円以下だったと思います。都市ガスよりも灯油よりも、電気が最も割安なエネルギーでした。

ちなみに、2022年8月の深夜電力料金は1kWhあたり14.38円、ホットタイム22ロングは15.68円です。これに再生可能エネルギー発電促進賦課金として1kWhあたり3.45円、燃料費調整単価として1kWhあたり3.66円が上乗せされています。
電気料金の値上がりについては、こちらの記事にまとめています



再エネ賦課金だけをみても、こんなに上がっています。

なお、泊原子力発電所の休止に伴い、現在は深夜電力(ドリーム8)もホットタイム22ロングも新規契約が終了しています。

当然、電気料金は暖房費も給湯費も激高になっています。北海道の場合、年間に使うエネルギーは暖房が給湯の2倍を超えて3倍近いので、とにかく暖房費が痛い・・・。

ちなみに自宅に暖房給湯一体型電気ボイラーを設置した高断熱・高気密住宅に暮らす編集スタッフAは、オール電化住宅の年間電気代が、10年前の2010年に25万6000円だったのが、直近の1年は40万円を超えているそう。この値上がりってすごくないですか。

そんなわけで、暖房給湯一体型電気ボイラーを設置した住宅のオーナーは、電気代の高さに頭を悩ましています。Mさんもそのひとりでした。

暖房・給湯ボイラー交換で電気代は安くなるか?


設置された高効率型の暖房給湯一体型電気ボイラー


きっかけは、ほくでんさんの子会社がMさんに『現在のボイラーをエコキュートと呼ばれる高効率なボイラーに交換しませんか』と提案営業し、見積もりをもらったことでした。

Mさんはあったかハウス・河合さんと10年以上にわたりいろいろなリフォームを頼んできた信頼から、見積もりの妥当性と、リフォーム提案のチェック、いわばセカンドオピニオンを依頼しました。

Mさんは最初、ほくでん以外の電力販売会社も探してみたそうです。北ガスなどいわゆる小売電気事業者さんです。

電気料金は、携帯電話の料金と同じくらい複雑で、ちょっとやそっとで料金試算できない仕組みです。それでもいろいろ調べた結果、既存のオール電化住宅の場合、電気料金はほくでんが有利、ということがわかりました。もちろんリフォームを機に暖房給湯のエネルギーを電気から都市ガスなどに変更するなら、電力会社の選択肢は大きく増えます。しかし、それはガス工事などが必要になります。


既存ボイラーを大人2人で運び出します


そんなことで、電力会社は乗り換えず、どうしたら電気料金を抑えることができるか検討した結果、河合さんが提案した高効率型(ヒートポンプ式)のボイラーに切り替える工事を行うことに決めました。

電気配線や置き場所などを考えると、これまでの電気ボイラーをヒートポンプ電気ボイラーに置き換えるのがベストな選択と思われました。ヒートポンプによって効率は約2倍になるので、契約電力容量を下げて、冬場の固定費を下げました。

1月だけで2万円以上安く!!



写真のように暖房・給湯ボイラーは階段の下に収納されています。電気ボイラーは排気ガスが発生しないため、こういった階段下や玄関クローク、クローゼット内など、意外な場所に設置されているケースも少なくありません。

その階段下から既存のボイラーを運び出したあとの作業がこちら。新ボイラーのために配管などを整えます。




屋外にはヒートポンプの室外機が並びます。向かって左から2台が暖房、右が給湯用です。

冷房(エアコン)もつけて夏も快適に



夏の暑さがだんだん本格的になる札幌。せっかくの機会なので、夏は冷房、冬は補助暖房を兼ねてエアコンも設置しました。今年の夏は7月だけで真夏日が7日、去年は最低気温が25℃を下回らない熱帯夜が4日もありましたから、やはりエアコンはありがたいですね。

そして、この冬の暖房費がでてきました。



厳寒期の4ヵ月を比較した表とグラフを見ると、ピークの1月に8万円を超えていた光熱費は、燃料費調整単価が上がっているにもかかわらず、6万円以内で納まり、2万円以上の節約になりました。ここでいう光熱費とは、暖房・給湯・調理と照明などの一般電灯を含むすべてのエネルギー代を指します。

厳寒期4ヵ月合計でみると節約額は6万5千円ほど。これはなかなかの節約効果ですね。

とくに2022年に入ってから電気料金が急激に値上がりしているなかで、「もし機器を入れ換えていなければ…と考えるとゾッとする」とMさんは話しています。

夏は冷房も使って5千円安く

夏の電気料金も出てきました。これまでは15,000円台だった夏の電気代が、2022年は新しく冷房も使って1万円台に低下したそう。暖房を使わない時期でも電気料金が下がるのは、ヒートポンプによって給湯料金が下がっているから。ボイラー交換の効果は大きいようです。

2022年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

あったかハウス河合建築事務所の取材記事