片付けのサポートをしていると、「家族が片付けてくれないんです」というお悩みをよく耳にします。出したものを戻さない、使ったらそのまま置きっぱなしにする…。ルールを決めても続かず、「なんで私ばっかり片付けなければならないの?」と感じてしまうことも少なくないようです。
このようなケースは、「やる気」や「意識」の問題だと思われがちですが、現場で多くの暮らしを見てきて感じるのは、“ 片付けの仕組みそのものが使う人に合っていない” ケースが多いということです。
整理収納の分野では「ゴールデンゾーン」と呼ばれる考え方があります。目線から腰の高さの範囲は、出し入れしやすく、最も使いやすい収納位置とされています。このゾーンに日常的に使う物を配置すれば、使った後も自然と元に戻しやすくなります。
ただ、実際の住まいでは大人の目線を基準に収納の高さが決められていることも多く、子どもには手が届きにくい位置になっている場合もあります。見た目や完成形を優先した収納が、人によっては結果的に使ったものを戻しにくい仕組みになってしまうこともあるのです。
設計や収納計画の段階では、「使いやすさ」を考えることが多いと思います。ただ、その使いやすさが誰を基準にして考えられているのかは、家づくりで意識しておきたい大切な視点。身長や動き方、生活時間帯は、家族それぞれ異なるからです。
具体的に想定することが難しい場合は、必要に応じて棚板の高さを変更可能にしておくなど、使い方を柔軟に変えることができる仕組みとしておけば、暮らしの変化にも対応しやすくなります。
オーナーの奥さまは使い勝手のよいパントリーを希望。奥さまが指定するサイズで収納棚とカウンターを造作
収納は「物がきれいに収まること」よりも、「物を使ったあとに自然と戻せること」が大切です。
仕組みは、使う人のためにつくられているか。その視点を持つことが、家族みんなにとって使いやすい家づくりにつながるのではないでしょうか。
このコラムを書いた人
のんちさん:整理収納アドバイザー1級
2014年に資格取得後、4度の引越しを経て2021年から活動開始。訪問・オンラインでの片付けレッスンを行いつつ、手仕事のコミュニティも主宰。片付けなどに関する100軒以上のお悩みに触れ、サポート実績は300時間以上にのぼる。インスタアカウントでも楽しくためになる発信を続けている。
のんち 片付け×家事シェアの専門家 https://www.instagram.com/nonchi._.kurashi/?locale=ja_JP
※この記事は北海道住宅新聞 2026年3月5日号に掲載されたコラムです
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