ネコ6匹が住む「ニシン御殿のような家」があると聞き、札幌市内のそのお宅にうかがいました。ネコがのびのび暮らせるプラン上の工夫や、ご夫婦のこだわりもいっぱい。見どころ満載のお宅でした。
室内外に和の雰囲気が漂う
玄関上のひさしと縦に三つ並んだ丸窓が印象的なK邸。 がらがらがら...と引戸を開くと広い土間。 北海道の家で引戸の玄関は珍しく、どこか懐かしい和の雰囲気が漂います。
反対側の壁は、波のような櫛引き仕上げの塗り壁。
シックな廊下の先にある階段を上がって、2階のリビングへ向かいます。
階段ではネコちゃんたちがお行儀よく迎えてくれました。
ネコも人も暮らしやすい家とは?
Kさんのお宅はご夫婦とネコちゃん6匹暮らし。 「ネコのために家を建てた」というほど、愛猫の暮らしやすさを優先してつくられています。サンケイさんに伝えたのは、「ニシン番屋みたいなイメージの家」。 奥さまは「もともと床におっちゃんこして、膝の上でネコをなでなでするような生活をしていたので、和のテイストを取り入れたかった」と話します。
リビングの壁には、ネコちゃんが歩き回れるようなステップを取り付け、吹き抜けの梁の上まで一周できるキャットウォークをしつらえました。 3階の寝室には自由に出入りできるネコ穴も設けています。
設計したのは、サンケイ建匠の湯浅岳雄社長。 湯浅社長も、ネコのかわいさにとりこになり、K邸が完成した後、ご自宅でネコを2匹飼っています。最近は、社長ブログにも頻繁にネコが登場しています。
3階には奥さまが趣味の洋裁を楽しむための作業部屋を設けましたが、ここにもネコが遊べるタワーを用意。 寝室にはネコが窓枠から外の様子を眺められる、大きな窓も取り付けました。
一番の特長は、3階の屋根からさらに突き出した塔屋部分。 「ニシン番屋には『煙出し』といわれる屋根から突き出した櫓のような部分があるんですが、ネコが顔を出せるような小さな窓があったらいいね、くらいの気持ちで考えていました」と奥さま。 サンケイ建匠さんとのやりとりを経て、3階の天井から階段を引き出して屋上に出られる塔屋となり、屋根の一部にはバーベキューができるウッドデッキを設けました。
トイレや和室は、純和風なイメージ。ご主人がコレクションしている日本手ぬぐいを飾り、ほっと落ち着く空間に仕上げています。
大工さんが薦めた、「建ててる最中から暖かい家」
家の中をぐるっと見せてもらって、どこにもパネルヒーターがないのに気がつきました。 聞くと、暖房は2階と3階に設置したエアコンだけ。壁の中にエアコンの暖かい空気を循環させて、家全体の暖房を行う仕組み。また、札幌市独自の省エネ住宅認定制度・札幌市次世代版住宅基準もクリアし、札幌市から建設費の一部補助を受けることができました。おかげで、真冬でも素足やTシャツで過ごせるほど暖かいのだそうです。
「中学時代の友人が大工なので、暖かい家にしたいと言ったら、サンケイ建匠さんを紹介してくれたんです。大工さんが『建ててる最中から暖かい』と言うなら間違いないかなと」とご主人。 家の中がどこも暖かいから、ネコちゃんたちはそれぞれお気に入りの場所で、自由気ままに過ごしています。 玄関横の小さな植え込みには、この土地を譲ってくれた方が大切に手入れしていた庭木を移植。 クリスマス時期に、ツリーに見立ててライトアップしたところ、いつの間にかネコのオーナメントやお菓子のプレゼントがぶらさがっていたそうです。
また、1階の丸窓に季節ごとの日本手ぬぐいを飾っていたら、見知らぬ人から「酉の市の手ぬぐい、素敵ですね」とお手紙が届いたこともあるのだとか。 窓際で外をながめるネコたちや、手ぬぐいのディスプレイなどで、道行く人をも楽しませる、不思議な魅力のある家です。
記者の目
K邸は完成して3年が経っています。ネコちゃんが6匹もいるのに、ペット臭が全くしません。換気システムがきちんと働いているからだと感じました。 ほかにも、ネコ砂が散らばらないように床を低くくりぬいたトイレスペースや、幅20センチほどのネコ専用バルコニー、爪で引っ掻いても傷が目立たない凹凸のあるクロスなど、ネコと一緒に暮らす工夫がいっぱい。 カーテンも裾だけ上げてネコの視界を邪魔しないシェードタイプを選択するなど、とことん「ネコ目線」を追求した、こだわりぶりでした。
2018年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。