Column いえズーム コラム

【連載12】「料理」を家事として見た時のキッチン選び

料理は食器などの洗い物を終えるまでが一つのプロセス。食洗機があっても、食洗機にセットする前の食器や鍋などはシンクに置かれることを考えてキッチンを選びたい(写真はイメージ)


※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

コロナ禍にあって、在宅勤務など生活様式の変化によって、今までわからなかった家事の大変さを目のあたりにした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

家事には終わりがなく、報酬も発生せず、仕事のようにON・OFFの切り替えもできません。

その家事の中でも一番大変な仕事が「料理」、反対に一番好きな家事も「料理」という調査結果があります。

このように家事の中で「料理」は欠かすことができない仕事であることから、その作業場所となる「台所」はスムーズに家事ができる環境が求められます。

「料理のしやすさ」より「洗い物のしやすさ」

先日、お客様の仕様決めでショールームに同行した時のこと。

担当アドバイザーが「こんな料理のときは、こう使います…汚れや傷はつきません」と説明すると、お客様は「料理のしやすさより、洗い物のしやすさが大事」とおっしゃいました。
 
料理というと、作る手順をイメージして道具の収納場所や調理スペースの広さなどを説明しがちですが、作る人にすれば、料理はそのあとの洗い物までがプロセスなのです。
 
また、食洗機を組み込めば、シンクは空くと思い込みがちですが、シンクが空くことはありません。食洗機にセットするまでシンクには、食器や鍋が存在します。

この場面では、「どんなお鍋をお使いですか」と一言聞いたことで、その先の会話が進み、納得の商品を選ぶことができました。

ちなみに、奥行きがあるシンクは、大きい鍋や中華鍋のような形状の調理器具を洗うのにおススメです。

5㎝の奥行きは間口の15㎝に匹敵するといわれるように、シンクも真ん中の奥行きがあると、広く使えるのです。

キッチン選びは、料理の事前準備から洗い物まで、それぞれの作業がしやすい環境にバランス良く配慮することが大切です。

☆ポイント☆
快適キッチン提案の秘訣。
料理前後の家事プロセスまで考える

快適キッチンのミカタは連載です。
次回記事はこちら 【連載13】安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも


阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表

住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。

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連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方

2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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