※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら
1:29:300の法則をご存知ですか。
1回の大事故の背景には小さな29個の「ハッ」とするような出来事が起こって、その陰には「ヒヤリ」とすることが300個重なっている、というもの。
「ハインリッヒの法則」、別名ヒヤリハットの法則といいます。今回はこの法則をキッチン空間の安全面から考えてみたいと思います。
「よかれ」と思ったところに…
キッチンは他の居室と異なり「火」と「水」「空気」「光」「音」「ゴミ」「害虫」「臭気」「スペース」等、環境問題が複合的に絡む唯一の空間です。だからこそ安全に使うことが快適キッチンの視点の一つです。
実は気が付かずに自分では「よかれ」と思ったところに危険が潜んでいることがあります。
一番多いのは、レンジフード周りの使い方です。
最近は「SNS映え」するキッチンが人気で、マグネットを使った吊り下げ収納やインテリアとして、レンジフードの整流版の上におしゃれな鍋やグリーン(観葉植物)をディスプレイしている場合、またコンロ周りに油や調味料等を置いている場合がありますが、おしゃれなキッチンとして素敵な反面、安全性の視点からみるととても危険です。
加熱機器の選択にもよりますが、落下による事故や火災、想定外に起こりうる地震等にも備え、調味料類は使いやすい大きさの入れ物に移し、トレイにまとめ、面倒でも使うたびごとに出し入れするなど、安全対策を十分工夫しましょう。
また、床には極力モノを置かないことです。ついつい、漬物置きやポット、根菜類等を直置きしていませんか。危険なだけでなく動線も妨げられます。そして一番見落としがちなのは配線コードです。
配線コードがキッチン下に這っていたりすると、移動時に足をひっかけたり事故のリスクが高まります。そのためには電源の位置や高さの検証がポイントになります。
「安全」なキッチン空間は、当たり前を見直すことです。そのさきに「安心」できる時間があります。
☆ポイント☆
安全のA、安心のAは当たり前のA
ということを、もう一度確認しましょう
快適キッチンのミカタは連載です。
次回は快適キッチンをご提案する時の『会話の見える化』についてお伝えします。
次回記事はこちら 第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表
住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。
公式サイトはこちら
連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方
2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。