Column いえズーム コラム

【連載17】意外と見落としがちなシンクと水栓の距離


※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

先日のキッチンお悩み相談会でのこと。お客様から「娘が築24年のワンルームに住んでいて…キッチンが○○メーカーだったかな? ちゃんと名の知れたメーカーなのに、シンクの割りに水栓が長いんです。洗い物をしたら天板がビチャビチャになるので困っているんです」という相談がありました。
 
これは意外と見落としがちで、メーカー側でも気が付かないところです。まして賃貸物件選びの時に、お客様はそんなことまで気が付かないですね。


水栓が長いと天板や床がビチャビチャになることも(写真はイメージ)


「水」の動線・性質を考えることが大切

水栓は、シャワーヘッドが脱着可能か、デザイン性はどうかなど、見た目や機能は重視しても、その長さやシンクから吐水口までの高さ、水のはね具合などを想定して選ぶことはあまりありません。

また、お客様からは、デザイン性に気を取られ、シンク面と吐水口までの高さが十分取れていないケースで「水筒やペットボトルなど筒状のものを洗う時に、洗い物を横にしたり斜めにしないと、中まですすぐ作業がちょっと不便」というお声を頂いたことも。これは水栓の立ち上げ位置も大きく関係します。


シンク面と水栓の吐水口までの高さや、水栓の立ち上げ位置なども、実際の使い勝手に大きく関わる


さらにシャワーヘッドが脱着できるタイプでは、「ホースをしまい込む時に、スムーズに収まらない」「水が入りやすいためサビが気になる」というお客様もいらっしゃいました。新築物件にも関わらず、水栓だけ入れ替えを検討している方もいらっしゃいました。

このほか、シンクの素材と水栓の相性もあります。リフォームしたお客様は、シンクをステンレス製から人工大理石製にしたところ、以前よりも水はねが気になるという声を寄せてくれました。ステンレスと人工大理石の厚みや硬度が、影響しているのかもしれません。

これらのケースでは、吐水口がシンクの奥行きの1/2より手前にこないよう水栓の可動域を確認したり、水はねを軽減できる泡沫水栓を選ぶなど、「水」の動線・性質を考えることが、キッチン作業のストレス軽減につながります。

☆ポイント☆
水栓を選ぶ時は高さ、距離、長さの視点をプラスし、一歩先の提案を

快適キッチンのミカタは連載です。
次回記事はこちら 【連載18】似ているようで違う! キッチン天板の選び方


阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表。

2011年からキッチンアドバイザーの先駆けとして活動を開始。キッチンショールーム勤務の経験を活かし、独自のコンテンツでキッチンの楽しみ方を伝えている。

公式サイトはこちら

連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方

2022年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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