Column いえズーム コラム

【連載3】キッチンの高さを決める作業点


※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

キッチン寸法の優先順位は、『高さ→奥行き→間口』です。
中でも最も重要なのは重力寸法ともよばれる「高さ」です。JIS規格では理想のキッチンの高さは日本女性の平均身長が160センチの場合、85センチ(身長÷2+5センチ)としています。

侮るなかれ 1センチ

キッチンの高さは「1センチ」で大きく変わります。

実際に、私のキッチン講座では1センチごとにキッチンの高さを変え、包丁をもって作業をしたときに、「こんなに違うとは思わなかった」とみなさんが驚いていました。たかが1センチ、されど1センチなのです。



この1センチの快適さの違いは「作業点」の考え方に基づきます。

作業するときに使う道具と手の接点を作業点といいますが、洗う作業はシンクの深さ分だけ作業点が低くなり、切るときはまな板の厚み分だけ作業点は高くなる、というように、作業点は行う動作によって数センチ上下します。

この中でワークトップ(天板)での作業時間が長いことから、システムキッチンではワークトップ(天板)での作業を基準に、高さを決めています。



そしてキッチンが高すぎると肩こりに、低すぎると腰を痛めるなど身体的な負担がかかるので、作業点の範囲ができるだけ一定になることが理想です。家族で身長差が著しい場合は、身長が低い方、またはキッチンの利用頻度が高い方に合わせます。

身長が低い方に合わせた場合、背の高い方が作業する時には食器洗い乾燥機により、洗い物で腰を曲げる負担を軽減する、まな板に脚をつけて高さを補うなど、機器類の選択や道具の工夫で作業点を調節できます。またショールームで高さを確認するときは、実生活でスリッパを履くのか、なども考えて高さを確認しましょう。

キッチンの「高さ」で、作業のスマートさが格段に違ってきます。



☆ポイント☆
「作業点」の視点でキッチンの高さを考える

快適キッチンのミカタは連載です。
次回はある法則の観点からキッチン空間の安全面について考えます。
次回記事はこちら 第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則


阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表

住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。

公式サイトはこちら

連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方

2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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